Organic Fertilizer

趣くままに、これ日々、雑記

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「大丈夫です」

  • 2011年03月16日(水)05時33分

 誰もが恐れていた最悪の状況。 人体に影響の出るミリシーベルト単位の放射性物質が測定された。 逃げるしかない。 なるたけ遠くへ逃げるしかない。 地震と津波で壊滅的打撃を受け、ようやく津波注意報が全面解除されたというのに、未だ救助を待つ人々を救いに行こうとする活動にまで影響が出そうだ。

 事を小さめに裏処理したいと目論んだ電力屋と省庁、事態の把握にまったく遅れをとった政府は、国民や全世界に詫びて済まされる責任の重さではない。 初動対処のお粗末さの背景で、国のエネルギー政策と原発反対運動沸騰への憂慮が交錯していただろう。 仮に、震災対策本部である政府と当該原発現場の電力屋との隠し事無い速やかな情報伝達がなされており、恥も外聞もない早急な手立てに専念出来ていれば違った結果になっていた可能性も大きいだけに悔やみきれず、被害を最小限度に抑え込まねばならぬ事故対策の不手際に怒りは治まらない。

 電力屋の当該現場では軽微で済まない事態を充分認識していただろう。 それが官邸に上がる報告では 「大丈夫です」 「水素発生してますが大丈夫です」 となり、その他のイカれてしまった動力設備や不可欠な資機材等については何ら問題なしと伏せたままではなかったのか。 迫る危機と苦闘する現場を尻目に、本社は 「事を荒立てるな、なんとかしろ」 の一点張りで抑え込む構図。 よくある話だが、原子力という超一級の危険物を扱う組織でこれは致命的だ。

 怒号飛び交う中、放射線を浴びながら対処に懸命の現場からすれば、シャツの襟さえ汚すことがないであろう本社お偉方とその結託相手でもある経産省保安院は何を考えているのか、お前達はこの事態をどうするつもりだと思ったに違いない。
 本社の中にも 「このままソラ使い続けるのは無理ですよ」 という意見もそれは出たことだろう。 しかし保安院がそれを許しはしない。 自分達の立場だけを守り通そうと努めるのが省庁だからだ。 いよいよヤバくなれば一転手のひら返して全責任を電力屋におっ被せてしまえばよい。

 官邸は 「本当に大丈夫なのか」 と当然疑ってみる。 政府の失敗はそこで初期に独自ブレーンを構築しなかった点だろう。 全国掻き集めればその道の専門家なり識者、経験者をそれなりに集められる筈だ。 国の最高権力者が緊急招集の号令かければよいだけの話ではないか。 そうすれば毎日繰り返される 「大丈夫です」 にも目を光らせること出来ただろう。 悲しいかな、疑念と不安を抱きつつも最後は 「その道のプロの連中がやっているのだから」 という自身への言い聞かせに終始し、その結末がこれなのだ。 やはり信用できない、と腰を上げた時には事態は極めて深刻。 政府主導の統合連絡本部を設置するも、それは地震発生から5日目という取り返しのつかぬ遅れようで、今更何をやっているのかという国民の怒りは当然だ。

 責任所在はおそらくなすり付け合いの末、うやむやに、想定外の天災であると片付けられるのだろう。 それは誤りでもないが真相でもなかろう。 なりゆきを見ている事しか出来なかった国民が最もよく分かっている。 今となっては国民はその場を追われ、逃げるしかない。
 二度も原爆を落とされ、第五福竜丸は水爆を浴びせられ、今度は原発の恐怖から逃げ惑わねばならんのだ。 退去した人々の中には命からがらやっとこさ避難してきたばかりの人もいただろう。 それがまた放射線の恐怖から更にもう一度避難しなければならんのだ。 寝たきりのお年寄りや看護の人達、最後の一人まで圏外退去させねばならぬ使命感の警察と陸自。 これら最後の方の人々はいくらかの放射線を浴びながらの避難である。 なんてことだと胸が痛む。

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なにが「崩壊」だ

  • 2011年03月14日(月)01時15分

 世界の諸国が固唾を飲んで見守っている原発事故への対処は、情報の誤魔化しだかマズい部分の隠蔽だか、発表の仕方が明らかに疑念を懐かせるもので、結果として多くの被曝者を生じさせることにならねばよいがと案ずる。 事実、それが重いのか軽いのか知らないが既に何人もの被曝が確認されている。 電力会社からの情報が遅かったのもあると言うが、それを隈無く吐き出させるのが経産省なり政府なりの役目ではないか。

 電力会社というところはほぼお役人根性で運営している。 早い話が、電力会社社員という人種は事務屋でも務まるのじゃないのかと思える程だ。 何をやるにも全て出入り業者が行うので、あそこにゃ技術屋なんぞ要らないだろうという風に見える。
 勿論、扱うのが国のエネルギーだけに、特別な存在にならざるを得ない面もある。 世の中でモノを売りながら 「あんまり買い過ぎないでくれ」 などとふざけたセリフ吐けるのはタバコ屋と電力屋ぐらいのものだ。 挙げ句には 「お前達が買い過ぎるから品不足だ、しばらく売らん」 としゃあしゃあ言ってのける。 実にけっこうな左団扇の商売ではないか。 それ故に根性がそのまま霞ヶ関と大差ない。 おそらくは官民宜しく手を取り合った固い絆なので、天下りも万全な歴史を築いてきたことだろう。

 想定外の揺れであったかもしれない。 しかし築後何十年という施設、また殊更に保安体制を要求される原子力発電なれば、電力屋も霞ヶ関も歴代政府も、もしもの危機想定を軽んじてきた事実は否めまい。
 今回の時系列発表にしても、その都度問題規模をなるたけ小さく小さく受け取らせようとする表現が多い。 建屋の上部が崩落しただの崩壊しただのというのには苦笑すら浮かぶではないか。 マスコミの爆発時映像を見れば、大爆発と共に木っ端微塵に吹き飛んだのだ。 なにが 「崩壊」 だ。

 問題を伏せたまま処理しようとすればする程、後に戻れなく追い詰められて行き、その結果、国民は重大な危機に陥るはめになる。 世界の原発国がみな注視している中で素人目にも怪しいと勘付かれるお粗末な隠蔽は、間違い無く国際的信用を失うことを自覚すべきだ。 あそこもここも次々と問題が生じるならば、それは正確に発表しなければならない。 さすれば世界の知恵を借りることも出来よう。 最悪の場合でも人々の避難はずっと先駆けて行える筈だ。 失敗を隠し責任もとらずという腐れ役人根性では、汚染物質撒き散らかしの末、多くの被曝者を生み、世界中から非難されて地球の厄介者扱いされる運命が待っている。

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ハゲタカも吼えている

  • 2011年03月13日(日)21時53分

 この災難時、やむを得ない。無いものは無いのだ。 計画停電で難局を乗り切ろうとする努力に背を向けるは、それこそ国民に非ず。 TVのCMで 「贅沢言うな!」 とハゲタカも吼えているではないか。

 ラインに支障が出る製造企業の電力節約に比べれば一般家庭の不自由さは少し我慢すればそれで済む。 困るのは冷蔵庫ぐらいのものだろう。 氷をしこたま作っておいて最上段にでも並べるか。
 さすが、日本人は凄い、この整然とした秩序ある行動は中国人が50年経っても真似できないという声があるというではないか。 おそらくこの計画停電でもその通りだという驚異の感嘆反応になるだろう。

 オイルショックの頃から、徹底的な節約、経費節減を繰り返してきた日本人。 書類封筒の封をするセロテープをいかに短く効率的に用いるか、書類を束ねるホチキスはどうやって節約するか、不要書類はその裏面をノート代わりに使い、それでも余白が余ればメモ帳にする。 乾いた雑巾を更に絞りまくるのだ。 そういう経験があるからこそ耐え忍んで乗り切る術を持っている。 以前にも書いたが、我等の先人達は焼土の占領下で異文化を強制されつつも、菜っ葉と塩だけで子を育てたのだ。 アタマにDDTをパフパフ降り掛けられながらもだ。

 国難に際し、総理が国民に向けて呼び掛ける姿勢は悪くない。 ああいう場で 「なんで総理の質疑応答がないのだ」 とマスコミはつまらぬ突っ込みをしてはいかん。 国会でとぼけた発言ばかりしている時には大いに突っ込んでやり込めればいいが、未曾有の危機にある今、たとえ国民がら馬鹿だチョンだとボロカスに叩かれている総理だろうが、総理は総理だ。 今は国家のためにケツを押してやらねばならない有事の直中ではないのか。

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考えたくなくても

  • 2011年03月13日(日)01時04分

 過去のどの震災からも経験するように、死亡、行方不明の被災者数は日を追う毎にとてつもない増え方をする。 前日の二倍三倍などのレベルでない増え方だ。 今回は特に津波被害が大きく、海の方へ流されたままの被災者も多い筈。 また容易に捜索すべき場所に立ち入ること叶わぬという災害規模の大きさが悪条件のひとつとなっている。

 そこかしこで遺体らしきものが視認出来るといっても、実際そこまで救援部隊が辿り着けないようだ。 被災が広範囲すぎるし、津波警報、注意報がなかなか消えない。 何百人ぐらいの人があの一帯で倒れているようだ、としか言えないのでは時間との闘いである救出活動も人的被害数の掴みもはかどりはしない。 実際、現場でそれにあたっておられる自衛隊員や警察菅、消防の人々、更には地元の有志など、あまりの被害状況に当惑し、焦りともどかしさに苛まれているのではないかと思う。 もっと人と物資と機械を早くよこせという気持ちではなかろうか。
 各地で集落が根こそぎ持って行かれた事実から、考えたくなくても阪神淡路の震災を上回る恐ろしい被災死亡の規模が脳裏を過ぎる。

 何か出来ることはないか、毛布の一枚でも使って貰いたい、との被災地に向ける心情はもっともながら、今のこの状況下では個人的な物資援助は現地の煩わしさを増やし、むしろ対策最前線の邪魔になるだろう。 行政単位、企業単位でどかっと大口な物資援助が求められる。

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渚のマッチ箱

  • 2011年03月12日(土)16時38分

 ささやかな家族の団欒も、物心ついた頃から染みついた柱や壁の傷も、一瞬にして無くなった。 惨憺たる被災地状況映像から受け取るのは、我々の温かな生活基盤、我が家というのもは、渚の砂に置かれたマッチ箱のようなものでしかないのだという現実で、自然が猛威を振るった際に我等はいかに無力であるかと思い知らされる。

 古舘伊知郎が言うように、被災地の地元報道が 「ここに町があったのです」 と表現したのが強く耳に残る。 一夜明け、見渡せば何もかもなくなっている。 コンクリート製の建物だけが僅かに点在するだけだ。 それとて自重で踏ん張ってその場から流されなかっただけの話で、建物の中身は持って行かれ、躯体のみが砂漠の遺跡同様に佇んでいる。
 前夜の気仙沼大火災から朝の廃墟状況に至るまで、戦時中を知るお年寄りの方々の目には絨毯爆撃に遭った忌まわしい街の記憶が甦ったかもしれない。 先の大戦を知らぬ身にも、それはまるで戦争被災地のような酷さに思う。

 原発に於ける最悪の想定だけは現実にならぬよう祈るしかない。 近年のゲリラ的集中豪雨も然りだが、何年に一度あるか無いかの自然災害確立を見直さねばならない。 道路や橋や公共施設の箱物も、みなこれ建造時の経済性と強度の天秤で設計されるわけだが、こういう観測史上最大な災害は僅かな確立ながらも起こり得るのであって、単純に過剰設計だとして片付けているだけでは済まされまい。

 目の前で我が家も持ち船も、勤めていた会社も、音を立てて潰され陸地の奥へ、そしてまた海へといたぶられるように流されて行く。 それを高台から見ているしかない人々の心中、如何ばかりか。
 廃墟の家屋前に佇む人に間抜けなレポーターが 「お宅は大丈夫だったですか?」 などと訊いている。 見れば分かるだろう。 大丈夫な部分がどこにあるというのか。 こいつらはアタマの上に核爆弾落とされてもそんなことを訊いて回るに違いないと、妙な部分で腹立たしい。 私利私欲でしか動かぬ国会議員共がこの災害を機に少しは国家を考えるようになるのだろうかと、虚しさ混じりに思ってもみる。

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東北地方太平洋沖地震

  • 2011年03月11日(金)20時48分

 エラい事になってしまった。 被害全貌は全くと言っていい程掴めてないだろうし、発生規模が大きいので余震もすぐに治まりはしないとの見解だ。 まずは我が身を守らねばならない。 避難されている方々は大変な苦労をするはめになるが、下手に動いてその身を危険にさらすのは避けた方がいい。

 地震と津波の脅威をまざまざと見せつける各地のニュース映像。 油屋の精油所では爆発し、民家は倒壊、大規模火災となり、岸に近い低地の家屋は跡形もなく波に呑まれ、数分後の我が家は湾の沖にばらけ散っている。 海辺の町は壊滅だという。 耕して整地鎮圧された見事な畑地がどす黒いゴミだらけの津波に覆われていく。 空港はどちら側が滑走路だったのかさえ分からない。 来るぞ来るぞ、津波が来るぞと知らされていても、為す術なく眺めているしかない人類の、なんと儚く弱い能力か。

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八月のカクテル光線

  • 2011年03月10日(木)17時15分

 高校球史に一時代を築いた尾藤元箕島校監督が他界した。 星陵高校山下総監督の言葉にならぬインタビューに貰い泣きする。

 青年監督として母校で指導を始めた頃、県内の強豪校は市和商だった。 初めて甲子園に出場しても、所詮田舎チームだという見方が多かった。 誰が名付けたか 「尾藤スマイル」 はその頃には微塵もない。 鬼のしごきと強引さが前に出て、けっこう周囲との衝突も軋轢も多かったと聞く。 甲子園ベンチでのスマイルは二度目に監督登用されてからではなかったろうか。

 公立校での春夏連覇は尾藤箕島が最初ではないのか。 その夏の決勝相手だった攻めダルマ・蔦監督の池田校がその後の甲子園で強い公立校として一世を風靡する。
 他の球技と同様、高校野球にもバックアップ資金が要る。 遠征費も馬鹿にならない。 近年の甲子園大会優勝校を見てみれば、私立校や宗教校の名が居並び、公立校は指折り数える程度にすぎない。 さわやかイレブンのようなチームはもう出てこないだろうと思われる。 尾藤箕島が強かった時代、地元漁師や蜜柑百姓らが熱を入れていた。 地元援助無しには田舎の公立校はいささか辛い。

 バント戦法の箕島野球は面白くないとも言われた。 だが、そこしかないという1-3-4のピンポイント空隙に転がす絶妙なプッシュバント戦法は、後の高校球児達のバント練習に用いられる模範にもなった。 またその裏で長打力も備えていた。 連覇の年、春の選抜決勝で四番の北野は牛島-香川の浪商バッテリーからサイクル安打を記録している。

 箕島といえば星陵戦、星陵といえば箕島戦。 神懸かりのような延長18回に亘る死闘が忘れられない。 作詞家の阿久悠は 「最高試合」 とした詩を書き、スポーツ・ノンフィクション・ライターの山際淳司は 「八月のカクテル光線」 と題した短編で名勝負を分析した。 紙一重でこの勝負を制した箕島がそのまま勝ち進んで優勝旗を手にしたのがドラマ性をよけいに引き立てている。 星陵が勝っていてもおそらく後日に優勝したのではなかろうかと思わせる強烈な試合印象がそこにあった。

 最近は一回戦の試合からでもゲームセットで互いの選手による握手が認められているが、当時はそれが許されていない。 試合後のホームベースを挟んだ整列、一礼後に主審が握手を促したのは実に気の利いた采配だったと記憶している。 当時の両軍メンバー達による交流が時を変え場所を変え幾度も育まれ続けていると聞く。 星陵のエース・堅田と投げ合った箕島の石井は今は紀州レンジャーズの監督を務めている。 年月の流れは早い。 あの試合は随分と昔の話になったが、当事者達には去年のような想い出かもしれない。 森川のファウルフライを捕殺寸前で転倒した星陵の加藤をいつまでも気に掛けていたという敵将・尾藤監督にとっては尚更だったろう。

 不思議なことに、箕島の野球チームと聞いて脳裏に浮かぶ姿は東尾や島本、吉井ら選手達のそれではない。 ベンチから半身乗り出した尾藤監督のユニフォーム姿である。 南海ホークスのように肩ストライプの箕島ユニフォームが尾藤監督の仕事着であったのは勿論だが、それが最も似合う人だったように今は思うのだ。

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鬼畜の所業、後を絶たず

  • 2011年03月09日(水)01時24分

 大学生による女児殺害はスーパーのトイレが犯行現場だった。 そのテの猥褻マンガを自宅から押収したと警察が発表するからには容疑者の目的は十中八九被害者女児への猥褻行為だ。 だから言わんこっちゃない、と東京都が声を荒げそうではないか。

 何の罪もない幼気な女児へ向けられる鬼畜の所業は後を絶たず、常に世の中を震撼させる。 その度に大人は小さな子供達を守りきれない無力感に苛まれる。
 精神を病んでいたとでも言うのか。 捕まえるまではいいが二言目には精神鑑定だ。 世の中、おかしいではないか。 精神を病んでいようがいまいが、生じさせた罪は罪ではないか。 罪の重責はどこへ行くというのだ。 亡きホトケさんに泣いてくれとでも言うのか。 とんでもない話だ。 けっして許さぬという親御さんの御心中思い計れば、当然だと、ただ頷く事しかできない。

 かくなる性癖に陥ったのは猥褻マンガのせいか。 年頃の女性と会話も出来ないのは猥褻アニメのせいなのか。 そうではないだろう。辛さや痛みを恐れるあまり他人と触れ合う努力もせず、無垢で弱い子供なら己を癒してくれるとでも思ったか。 人形のように弄べるとでも思ったのか。 極めて身勝手な犯行動機には情状酌量の余地などまったく無い。

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外相の代わりはいるのか

  • 2011年03月08日(火)16時53分

 大国のエゴイズム、ごり押しによって国連が機能せず、ただのお茶会イベントに等しいのは言うまでもないが、そこで首脳らの個別会談が催される機会は重要だ。 国のトップとしてどちらかが相手国に出向く行為が平身に見えて芳しくないとするならば、世界の寄り合いで出会ったついでに話でもしましょうとのスタイルは双方にとってまこと都合良い。
 外交は詰まるところトップ同士の決め事になる。 そこまでの下拵えが事務方や国務長官だの外務大臣だのといった立場の役割だ。

 前原が辞めて後釜はいるのかと見渡せど、民主党内に代役はいそうにない。 鳩山や小沢、菅、仙谷といった連中がボロボロにしてしまった外交、国家姿勢をなんとか立て直そうと対外バランスをやりくりしていた矢先だけに、丸潰れだった世界の信用はもはや皆無に等しくなった。 もうどこもまともに相手にしないかもしれないという懸念だけならまだしも、これ幸いとばかりに付け込んでくる国は八方にいる。 首相は外務大臣の椅子に誰をあてがうのか知らないが、ここで自党に前原以外の適任者はいまい。

 対外的な考え方だけを見れば、前原は安部や石破らとさほどの違いが無いように思える。 さっさと辞めてしまった行動からは、民主党政権ではこの国が保たないという意思表示にも見える。 もっとも、自己保身が第一にあるだろう事は誰の目にも明らかで、「この身を賭して・・・」なる決意があればここで辞める事態が引き起こす更なる国家苦境も想像出来得た筈だ。 野党攻勢から察すれば、とても予算審議どころでなくなるという理由も分からないではない。 が、しかし、厚労省とその大臣の不手際もやり玉に挙げられる中では、この国会停滞は外務大臣の不適切な献金受領問題だけに納まらず、皮肉なことに結果として前原辞任は雪崩打つ政権崩壊の前にあまり意味をなさなくなるかもしれない。

 噂されるように、国家予算と解散が引き替えにされるのか。 まったくもって国民の生活が政争の人質だ。 与野党の攻防は自国民を苦しめるカダフィと大して変わらない。 故に 「それ見たことか」 と罵倒されるのだ。 政権交代後、速やかに政界再編に向けた段取りを底辺で固めていれば、国民の傷も少しはマシだったかもしれないではないか。 自民は駄目だった、民主は更に駄目だった、今や無党派層が圧倒している。 小学生ならばおそらくこう言うだろう。

 「そんなの、いいトコだけ拾い上げてひとつにすればいいじゃん。
            あとの要らないトコは燃えるゴミの日に出すんだよ」

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広葉樹を植える

  • 2011年03月04日(金)22時20分

 岡山の美作市で 「ドングリの森基金」 創設の条例案が議会に提案されたそうだ。 10 ha の市有林を広葉樹に変えていく計画らしい。 クマの生活環境を少しでも良くしてやろうというクマ被害面からの対策案でもあり、落葉広葉樹ならば今あるスギ・ヒノキより CO2 をよけいに吸うだろうし、山の表土保全にもなり腐葉土が保水力を持たせるとの環境側面もある。

 それはいいな、もっと広くやってしまえないのかと言っても、市有林の面積は限られている。 せめてこの 5 倍から 10 倍の広さが欲しいと思うが、他の民地は手が付けられない。 周囲はろくにカネにもならぬ荒れ放題のスギ・ヒノキが放置されているままなのだろうと勝手に想像する。
 しかし、このような試みは喜ばしい。 ヨーロッパ辺りだとこの類の運動はさほど珍しくないのではなかろうか。 我が国でもたとえ 10 ha からであろうと、始める行為に意味がある。 どうかお山の再生に使って下されとの寄付金に胸打たれた感激も否定出来ないにせよ、まずは行政から公費にてやりましょうという発案はいい。

 我が家の親父とお袋さんが僅かばかりながらドングリの苗を育てている。 家の周りとか畑の周囲になるべくそれを増やしたいのだそうだ。 山は用材でなく雑木が一番だというのが二人の共通な感覚であるらしい。 秋には葉を落とし春に芽吹き、四季と共に色を変える山でなければお山らしくないというのが口癖だ。 そいつは良い事に御座いやす、されど苗を植えて見事な枝振りになるまで少々年月が要りやす、御自愛なさってそれまで長生きしとくれやす、と言ってやった。
 だが、いいトコあるではないか、さすがはこのオレ様を産み育ててくれた両親だわいと、ビールをがぶ飲みしつつ込み上げるほくそ笑いを隠せない。

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