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天才女優

 ワールドカップの初戦も落としてしまったし、カープもタイガースも負けてばかり。 馬鹿臭くてプロ野球なんぞ見る気も失せてしまった今日この頃。 晩飯喰った後のささやかな楽しみは ANIMAX で放送している 「ガラスの仮面」。 ^^;)

 花登筺の商売根性物に出てきそうな “あくどい" カタキ役が、えげつなく汚い手段で主人公・北島マヤ達に襲いかかる。 ぬおおおお、なんて汚い奴等だとムカムカ腹を立てながらすっかり主人公の味方になって見てしまう。 ^^;)

ファイル 362-1.jpg 思えば、汚くずるいカタキ役の登場する作品がいつの頃からか敬遠され気味になっていなかったろうか。 現実にそのような輩が世の中に多々存在しすぎて、見る側の観客が退いてしまいがちなのか。
 自己保身のためならば非情だろうが非道だろうが、自己に利あれと周囲の者を傷付け踏み台にしてまでその場を凌ごうとする嫌われ者。 まぁ、まるで中国共産党のようなものだが、そのようなカタキ役を見ていると、それは物語の登場人物とはいえ、見ていて胸くそが悪くなり、気分を害し、あまり心地良い物語鑑賞ではない。 虐げられる善玉主人公に肩入れして感情移入となれば、尚更にムカっ腹が立ってこようというものではないか。

 「明日のナージャ」 ではローズマリーがその役を演じ、おかげで当時の幼女達から忌み嫌われるキャラとなった。 ローズマリーにあそこまでさせなければもう少し視聴率も稼げ、玩具も売れたのではないかと論じる人もいたくらいだ。
 例えば今この時代、 「小公女セーラ」 なるアニメを子供のゴールデンタイムに放送すればどういう反応が返ってくるだろうかと、どうでもいいような事ながらちょいと興味がある。 腐れミンチンだのひねくれラビニアだの、憎まれ役として強烈な存在に事欠かない。


ファイル 362-2.jpg 面倒な作業を嫌い、コンピュータ演算処理をフル活用する近代社会に身を置いていると、辛抱強く粘り強くといった地道さがどうにも焦れったく思えてしまう事がある。 コピペ多用の馬鹿学生を嘆かわしく見ていられるほど自分の生活は地道な積み上げで構築されてはいない。 ある種の求道者的人々から見れば自分の日常などまったく退廃的な堕落である。
 今の子供達は辛抱がないとか耐え忍ぶ徳がないとかおっしゃる評論家センセもいるようだが、その実、この自分を含める大人達こそそれが欠如してはいないかと、折に触れ感じる。 歳がそうさせるのか、時代の社会が影響するのか。

 辛抱良くその作品の流れに付き合って観る、という行為が知らず知らず綻んでいる。 物事を短絡的且つ直線思考で捉え判断してしまいがちな日常が、ドラマやアニメの鑑賞にも影響している。 これは性格と趣味嗜好によるところも大きいのだろうが、自分の場合、焦れったい展開が最近どうにも鬱陶しい。
 色恋沙汰によくある、右も左も好きで手放すこと出来ないという、ずるずる両方を引き摺ってしまう話などは見ていて喉元を掻き毟らなければならない。 おめぇはどっちが好きなんでぃ馬鹿野郎ゥ! さっさとどっちかに引導渡しちまえ! などと怒ってみたり。 また、意地の悪いひねくれ女を見れば、張り倒せ、そんな女、今すぐ張り倒しちまえ! とか喚いてみたり。 妹に言わせれば 「そりゃビタミンCが足りないね」 と冷ややかだ。 ^^;)


ファイル 362-3.jpg 「ガラスの仮面」 に見る欲深い大人達のえげつなさ、同年代な女子特有とも言える陰湿な嫉妬、醜悪なひがみ、そして幾多の妨害工作。 まったく次から次へと腹立たしい内容が繰り出される長大作品にこのような自分が惹き付けられるのは何故なのだろう。
 北島マヤが正真正銘の天才女優であるからか? ライバルのこれまた天才・姫川亜弓がフェアな正当派であるためか? その他この作品にはいろいろなフォローファクターがありそうだが、舞台女優という演技者世界の奥深さが迫ってくるのが自分にとって最も魅力ではないのか、と思う。 短絡的なこの自分に毎夜の楽しみを提供してくれる原作者・美内すずえには最敬礼しなければならない。