記事一覧

なにが「崩壊」だ

 世界の諸国が固唾を飲んで見守っている原発事故への対処は、情報の誤魔化しだかマズい部分の隠蔽だか、発表の仕方が明らかに疑念を懐かせるもので、結果として多くの被曝者を生じさせることにならねばよいがと案ずる。 事実、それが重いのか軽いのか知らないが既に何人もの被曝が確認されている。 電力会社からの情報が遅かったのもあると言うが、それを隈無く吐き出させるのが経産省なり政府なりの役目ではないか。

 電力会社というところはほぼお役人根性で運営している。 早い話が、電力会社社員という人種は事務屋でも務まるのじゃないのかと思える程だ。 何をやるにも全て出入り業者が行うので、あそこにゃ技術屋なんぞ要らないだろうという風に見える。
 勿論、扱うのが国のエネルギーだけに、特別な存在にならざるを得ない面もある。 世の中でモノを売りながら 「あんまり買い過ぎないでくれ」 などとふざけたセリフ吐けるのはタバコ屋と電力屋ぐらいのものだ。 挙げ句には 「お前達が買い過ぎるから品不足だ、しばらく売らん」 としゃあしゃあ言ってのける。 実にけっこうな左団扇の商売ではないか。 それ故に根性がそのまま霞ヶ関と大差ない。 おそらくは官民宜しく手を取り合った固い絆なので、天下りも万全な歴史を築いてきたことだろう。

 想定外の揺れであったかもしれない。 しかし築後何十年という施設、また殊更に保安体制を要求される原子力発電なれば、電力屋も霞ヶ関も歴代政府も、もしもの危機想定を軽んじてきた事実は否めまい。
 今回の時系列発表にしても、その都度問題規模をなるたけ小さく小さく受け取らせようとする表現が多い。 建屋の上部が崩落しただの崩壊しただのというのには苦笑すら浮かぶではないか。 マスコミの爆発時映像を見れば、大爆発と共に木っ端微塵に吹き飛んだのだ。 なにが 「崩壊」 だ。

 問題を伏せたまま処理しようとすればする程、後に戻れなく追い詰められて行き、その結果、国民は重大な危機に陥るはめになる。 世界の原発国がみな注視している中で素人目にも怪しいと勘付かれるお粗末な隠蔽は、間違い無く国際的信用を失うことを自覚すべきだ。 あそこもここも次々と問題が生じるならば、それは正確に発表しなければならない。 さすれば世界の知恵を借りることも出来よう。 最悪の場合でも人々の避難はずっと先駆けて行える筈だ。 失敗を隠し責任もとらずという腐れ役人根性では、汚染物質撒き散らかしの末、多くの被曝者を生み、世界中から非難されて地球の厄介者扱いされる運命が待っている。