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朝日放送 PreCure



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講談社 デジなか


   PreCure §10    不思議なるもの    〜当初のファンタジー側面〜



 シリーズ当初には興味深い不思議な現象が描かれます。

 第2話でピーサードは街の家電店の掃除機をちょろまかし、それにザケンナーを憑依させて掃除機ザケンナーとして街中の電気エネルギーを吸い取ります。 プリキュアはこれに立ち向かい、退散させます。 ラストシーン、家電店のオジサンが実演販売でお勧めしている掃除機を見ると、キュアブラックが蹴りを入れたシューズの足形がくっきりと凹みになって残っているのです。
 ザケンナーとなって襲う掃除機は巨大化していますので、その時に見舞われた蹴りがキュアブラックシューズの原寸大であり、元の大きさに戻った掃除機ではそれに比例して縮小され、可愛らしい人形のものかと思える程の小さな足形になっています。 これは非常に面白く、はっと何か閃くものを感じます。

   




 第4話では美術館に於いて柏田真由という同級生がマリオ・ピッカリーニの 『星屑の晩餐会』 という絵画の中に入ってしまいます。 描かれていた少年が作者ピッカリーニ本人であり、そこへ彗星の如く落下している物体の絵はミップルコミューンであるとするところが大変興味深い設定で、この絵を見たミップルが懐かしさを覚えており、時間を超えた浪漫の想像に誘われます。
 ピーサードを退けて全てが元通りとなった筈ですが、真由が絵画 『星屑の晩餐会』 の中に入っており、ピッカリーニ少年と並んで夜空を見上げています。 なんと幻想的な場面であることか。 次の瞬間、真由はこちらの世界に戻っていて、絵の中に彼女の鉛筆だけを置いてきていたのでした。

   




 これらファンタジーはシリーズ当初にこの作品の一側面を飾る薬味として構成上含まれていたのかもしれません。 何かワクワクする不思議な感覚が残るエンディング。 これは面白いと興味を持った子供達もいた筈です。
 そもそもミップルコミューンが雪城家の蔵に保管されていて、さなえお婆ちゃまの持ち物であったというのが時を渡りゆく浪漫に満ちており、ミップルが光の園を出発した翌日にメップルが発ったというのに虹の園に現れた時間では100年もの開きがある、などの時空を扱うSFの味わいが楽しい空想を呼び起こしもしたでしょう。

 ピッカリーニのアタマに激突してからミップルコミューンはずっと長い時を人から人へと渡り、旅をし、その温かく不思議な力によって持ち主を救ってきました。 それはもう “秘宝” の扱いであったかもしれません。 さなえお婆ちゃまが戦火の中で拾ったのは自分の家の焼け跡なのかよその跡地なのか定かでありません。 焼夷弾をはじめめとする絨毯爆撃でも焼けていなかったそれを彼女は手中に収めます。 以降、不思議な力に護られてお婆ちゃまは厳しい世の中を生きてこられたのですが、彼女がミップルについてどこまで知っているのかは最後まで明かされず、謎のままです。

   



 なぎさとほのかがパートナーシップを築き上げてゆくと共に、ファンタジックな側面は姿を消し、謎だけが残されます。 二人の物語が進めば進むほどに彼女達の感情や内にある心理は等身大の中学生を求め、例えば第8話に見るようなリアルで繊細な心理描写とお伽のファンタジーは両立させることが難しいのかもしれません。
 もしも、シリーズ当初のファンタジー側面が “最初の掴み” 目的で組み込まれていたのだとするならば、鷲尾・西尾・川崎というトロイカ、恐るべしと申し上げねばならないでしょう。










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