PreCure §3 それぞれ
なぎさは常に生徒達が形成する輪の中央に居ます。 彼女にはこの年頃に最も適した “華” があるのです。 後のMaxHeartでキャプテンとなるラクロス部では二年生ながら名実共にエースポイントゲッターという体育系ヒロインであり、靴脱ぎ場の靴箱には下級生の女子からレターが舞い込みます。
ベローネ制服姿の首元は常にルーズに解放されており、ブレザーのボタンは当然外されたままです。 それでラクロススティックなど持って歩いていれば、少しワイルドな髪型も手伝い、なるほど、なぎさお姉様に憧れる下級生も何人かはいるだろうと頷けるところではあります。 但し、当人は気になる藤P先輩の前に出ると石像の如くカチコチとなり、声も出せない純情可憐な少女であります。
運動神経抜群、何でもござれと云いたいところながら 『雪空のともだち』 に見る如くスキーの経験不足は否めず、第6話では泳げないのだとされています。 この辺りが完璧でない身近さを周りに与えているものと見え、持ち前の明るさと溌剌とした言動によりクラスの人気者であることは明白です。
なぎさに備わる “華” は決してカッコ良さだけではありません。 彼女にとっての自然体が愉快で面白い。 それは “可愛らしい” という表現にあてはまるでしょう。
机に向かうのは嫌い、試験は一夜漬け、お小遣い前借りは茶飯事。 ラクロスで汗をかけば後は食い気優先。 口の周りをソースだらけにしても一向に頓着無くタコ焼きを器用に投げ喰いし、ポイズニーのチョコレート釣りには軽薄にも火に入る夏虫が如く掛かってしまいます。
キルト細工の縫い物をしては自分のスカートの裾まで一緒に縫い込んでしまい、枕元が夥しいぬいぐるみで満たされたその乙女の寝相は決して良くないと見え、たまにベッドから転げ落ちます。
その乙女のプライバシーからか、弟にはなぎさ部屋への入室にドアノックを義務付けるものの、コブラツイストでその弟を折檻する辺り、今ひとつ乙女としての自覚に疑問符の残る日常です。
かような全てをひっくるめ、誰が見てもなぎさは少女として可愛いのです。 メップルが最初になぎさを見た際、「女の子メポ?!」 と発しています。
このように快活で “華” があり、その一面純情な人気者は男子にかなりモテそうなものでありますが、何故かそうなってはいない。 ベローネ男子部始めこの作品世界の少年達は余程見る目が無いと見えます。
なぎさの部屋が近代割付の6畳間だとすれば、ほのかの部屋は東西方向に2間半もあり、優に10畳以上はあるだろうという和室です。 (但し、東西2間半というのは第39話に見るもので、当初第3話では2間でそこに押し入れ襖があります)
人形のひとつもぬいぐるみのひとつも無く、中央にデンと据えられたベッドと勉強机。 一般的な中学少女の部屋とは思えません。 身だしなみはいつもきちんとされており、ベッドから転げ落ちることもまず無いでしょう。
ほのかは我が道を行くという芯を持っていそうです。 そのために今は多くのことを学ばねばならないと考えているようで、この歳にしてそれは決して多数派でなく、スポーツの世界ではトップアスリートと称される人々、或いは英才教育で育った音楽家達に共通するものがあります。 おそらくさなえお婆ちゃまの教えと躾でありましょう。
同年代の少年に胸ときめかせるようなそぶりは窺えません。 それよりもっと興味を惹くものが世の中にあるとでも言いたげです。 従って、名前のようにほのかな恋心など懐いたことは無く、その方面には全く晩生で疎いと云えましょう。
平均的な少女ならばとうに気付くであろう藤Pに対するなぎさのドキドキにも無頓着で、第8話の出来事がなければまだ後数ヶ月も “鈍い” ままだったろうと思われます。
男女関係を除き、それ以外の多くのものについてほのかは好奇心旺盛と思われ、そのせいか同年代では飛び抜けて博識であり、これがウンチク女王たる称号を与えられている要因です。
百科事典のその部分を読み上げるかの如きウンチクの連射は、聞かされる方にとって苦痛以外なにものでもなく、「そんなことアンタに訊いちゃいない」
とひとこと云いたくもなります。 ただ、彼女が救われるのは、鼻高々に相手の無知を嘲笑するかのような嫌みがないのでしょう。 月に1通程度男子からラブレターが舞い込むのは
「ヤな奴」 という印象を振りまいていない証しであり、雪城ほのかならしょうがない、あれが彼女の天然なのだと周りが容認しているようです。
更に、彼女が説教魔であるというのは、信念を曲げたくない強さと云うよりは 「他人事だから、ま、いいか」 のような妥協と放任の術を知らないのであろうと思われます。
ナンパ兄ちゃん達にも説教を始めんとし、宝石強盗三人を前にしてはそこへ座れと本当に説教を始めてしまう。これは実に痛快です。
ドツクゾーンのキリヤはこのウンチクも説教も共に戴き、これを機に 「人間とは」 を考えるようになります。 これは後に当管理人によって 『キャベツ畑の垂訓』
と呼ばれることになる重要なエピソードであります。
遊園地で初めてピーサードとザケンナーという化け物を相手にした後、なぎさは 「あの様なことはもう嫌だ」 とほのかに告げます。 対するほのかは 「こうして授かったのも運命」 として 「面白そうだし」 と楽しげに笑うのです。 ここは二人がよく表されている場面でしょう。
変身したなぎさはキュアブラックとなり、体育系らしくパワフルで逞しくもありますが、日常のなぎさはほのかよりも少女らしく、藤Pの一挙手一投足やその言葉に翻弄されては泣き笑い、非常に可愛らしい面が目立ちます。
未知なるものへの好奇心が強い分、自分でやるという能動性から苦境にも一人で耐えようとする痛々しさ、ある面孤高な尊厳を持ったまま歩もうと努めるほのかの方が、やや男性的であると云えないでしょうか。

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