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脳味噌にサクラ

 このおめでたい騒ぎは一体何なのか。 海老蔵謝罪会見に報道関係者500人。身体をエビ折りにした一人の坊主頭を朝から晩までTVは繰り返して流し、どいつもこいつも脳味噌にサクラ咲きまくっているかのようではないか。
 世の中はそれどころではないだろう。半島を中心にした中・北・ロと韓・米・日の緊張に包まれた中、国会議員共は何をやっているのかと言えば、国家の危機などまるでアタマに無いらしく、ひたすら保身。 このような輩を高額な税金で喰わしているのかと思うと無性に腹立たしい限り。

 日本のマスコミというヤツはせいぜいこの程度。暇なオバサマ方向けの報道が重要であるらしい。ひとたび有事となれば大本営に平伏しては嘘八百のプロパガンダメディアにしかならず、中国漁船攻撃ビデオの流出には犯人捜しの記事ばかりか、自分達の能無しを棚に上げ、ウィキリークスは悪の権化だと書き立てる始末。少しはあいつの爪の垢でも煎じて飲んでみる必要があろう。新聞屋の親玉が政権の中枢部でウロウロと仲介屋の真似事をしている有様なのだから、話にならない。

 酒場のもめ事でぶん殴られた男がそれほど珍しいのか。少し振り返ってみれば、海老蔵の不始末はかつて横山やすしがボコボコにされた一件と全く同じだろう。吉本のお笑いと伝統歌舞伎の違いはあれ、芸人の派手な豪遊ざまが招いた間抜けな酒場喧嘩以上のなにものでもあるまい。 さすがにイカ娘もこのエビは喰いそうでない

ここまで腑抜けに

 県知事選ではあるが一向に盛り上がらない。第一、どこの誰兵衛が候補者になっているのかさえ知らない有様だ。毎回落ち込む一方の投票率。完全にしらけきっている。選管などはなんとか投票率アップ出来ないかと頭を痛めている様子ながら、その辺をウロウロ歩いていても候補者の宣伝カーにさえ出くわさないのは、候補者も熱を入れてないのではないのかと思えてくる。

 全国屈指の保守王国である。それ故なのか、一票の重みを知らない民である。かつてこの地で投票により何かが変わったためしがない。よって、人々は地方政治に選挙権で参加する意志なんぞさらさら無さそうだ。やりたいヤツにやらしゃあいい、誰が当選してもいっしょではないかと言う。ここまで腑抜けにされてしまったのでは、治癒に相当の年月が要る。
 公共事業が盛んな頃はそれでも土建屋連中が仕事放っぽり出して族議員のサクラに汗かいていた。今ではそれが無くなった。つまりは、土建族議員共のために選挙があったようなものだった。その影が薄まった昨今、じゃあ選挙って一体何なのだと呆けるばかりで、事の本質を考えるまでに至らない。 思えば哀れである。

 ただ、この地に限らず全国的な閉塞感、絶望感の憂鬱は確かに漂っている。 政治も役所もまったく信用できないからだ。 こういう時代こそ人々の目が覚めるような演説をぶち上げるニューリーダー候補が求められるのだが、いずれもアヤシゲな団体の方を向いて喋ることしか能がないヒモ付き候補だと読まれているため、民は背を向ける。 道行く小学生や高校生達を見れば、彼等の将来のため国や地方についてもっと真面目に考えねばならんだろうと、深刻な現状を憂える。

ひどいもの

 かつての “ながら族” の末裔だと自負している故でもないが、ラジオ流しっぱなしで仕事したり掃除したりする癖がついている。国会中継なんぞ流していればついつい聞き耳立ててしまう。ところがこいつをまともに聞いていればムカッ腹立つばかりで、胃に悪い。

 昔お世話になったペットショップの御主人が現役引退を決め込んで、老後の楽しみだとばかりに東京へ度々通っていた時期がある。当時、不思議に思い、そんなに頻繁に 「はとバス」 遊覧ですかと訊けば、いやいやと手を横に振る。国会の傍聴だよとおっしゃる。これには参った。代議士の後援会員でもあったのだろう。そうでなくば、なんたら委員会というヤツの傍聴なんぞ出来る機会はない。
 面白いんですかと問えば、そりゃあ勿論と応える。居眠りこいてる爺さんばかりじゃないんですかと突っ込めば、そんなことはない、白熱すれば見応えもあるぞ、あんたもチャンスがあれば一度その場に行ってみるべきだとおっしゃった。あの人は今も元気でいるのだろうか、今の国会・予算委員会など聞いていてどう思っているだろうかと考える。

 国会が国民の前で議論になっていないのはいつからだろうか。攻める野党に防戦の与党という構図は然るべき形であれ、国家のための議論に至らない。これは随分昔からそうであるような気がする。肝心な国の方策というものは国民の目に留まらぬ処で決められていく。国会に持ち上げられた時点では議論もなく数の力で手打ちに終わるのだ。

 突っ込む野党をのらくら躱せば勝ち、時間切れだという背景には国民の生活が停滞してしまうぞという国民を人質に取った脅しがある。ひどいものである。国民にしてみればサギまがいの欺しに遭い、更に人質とされ、挙げ句に増税ばかり押し付けられたのでは一揆と打ち壊ししか生き延びる術がないではないか。
 高らかに演説した天下り根絶や公務員人件費2割カットはどこへ行ったのだ。バカボン鳩山がグチャグチャに掻き乱してしまった対外姿勢に付け込まれ、阿呆面を全世界に晒してしまった中・ロへの対処といい、能無しの失態を棚に上げ、虚勢だけで政権維持を目論む果ては票田養生の血税バラマキでしかない。

 鳴り物入りともいえる派手な交代劇による新政権は、蓋を開ければまったく能力が無く、寄せ集め集団内のチンケな権力争いと、批判政党根性丸出しの無知、無策。 自民党・麻生政権下の閣僚もそれはお粗末なものだったが、今の政府もその点では一歩も引けを取らず腐臭を放つばかり。
 まったくもって腹が立つばかりで、国政のニュースを見るのもいい気がしない。おそらくこういう人は少なくはなかろう。それは何を意味するか。国政への意識を萎えさせてしまうのである。ひいては国家の活力、更なる減退に至る。 民主党政権の最大の罪はここにある。ある程度の期待を抱かせ、直後に奈落へ突き落とす手法はナチスがよく使った手であると誰かに聞いたような覚えがある。自民は駄目だった、民主は更に駄目だった。我が国民がボート難民とならぬ未来をせめて夢見たい。

民の不安

 沖縄・尖閣諸島沖における中国漁船衝突の映像を流出させた件を告白した海上保安官について、起訴するのかしないのか、検察は悩んでいるようだ。
 政府が秘匿するとしていた映像を全世界にばらまいたのだから、公務員法に抵触するという動きはやむを得ぬところで、本人も承知の上での行為だったらしいではないか。しかし世の中の多くはその映像を目にすることを望んでいたのは事実で、日本の能無し政府がどのような裏取引やブラフに用いようとしていたのかは知らないが、多くの国民が事実を知るという重要な一点に於いて、その行為は多大な功績と言える。

 では当該海上保安官を法廷に引きずり出して裁けるのか。事の真相がここまで明るみになってしまった以上、難しかろう。衝突とはいうものの、これは相手国漁船による体当たり攻撃である。そいつを捕まえて拘束するは当然である。てめぇら発砲されなかっただけマシだと思えと主張するのが筋なのである。それがちょいと脅されて手揉みしながら釈放だ。愚かな政府のことだから手土産に沖縄の名産でも持たせたのではないのか。

 その犯罪者が母国に帰って英雄扱いでVサイン。片やその真相を同胞国民に知らしめた海上保安官は法廷に引きずり出されるのか。あまりにも理不尽ではないか。これは世論が黙っていまい。
 確かに、軍人や公務員が己の判断で国の意向に背く行為はクーデターにも国内テロにも繋がろう。だが、あえてそれに及ばざるを得なかった心情が汲み取れるではないか。国同士がせめぎ合う最前線に務める者の一人として、売国行為の如き政府の対応に国家を憂えるのはもっともだと、民の多くは当該保安官の胸中推し量るに難しくはない。

 火消しは可能だと官房長官もよもや思ってはいまいが、その答弁、理の展開、誰が聞いていても何十年も先まで及びそうな国家の失態は明らかで、現政権がズルズル国家の最高位に居座り続ける限りは、いずれ国内から発する火種を心配せねばなるまい。いわゆる戦前昭和のきな臭く暗雲立ちこめる事件の数々である。そうなっては収拾がつかないではないか。野党連中は一刻も早く解散総選挙に追い込むことである。

それも悪くはないが

 手放しで賛同していいものかどうか。高速道路の逆走に対して運転手に警告するカーナビシステムを開発するらしい。悪いことではないが、遂にそんなものまで機械が面倒見てやらねばならんのかという痛々しさの方が大きい。
 この道は逆向きに走ってはいけないのだという至極単純な道理が理解できないのであれば、そのような者に運転免許を与えている方が問題だろう。トイレへ入るに男性用も女性用も区別できないような者が鉄の塊を疾走させるのでは治安もへったくれもないではないか。

 西日本高速だけでも年間400件の逆走報告だとか。では未報告を含めればまるで法規無視の世の中だ。認知症もあるだろう。ならばそういう者からは早急に免許を剥奪せねば資格管理にはならないだろう。中には自覚の上で逆走する馬鹿者もいるだろう。その者は通り魔連続殺人犯と変わらない。未遂であれ計画的殺人犯罪で処理すべきではないのか。

勝負にもなっていない

 衆院北海道5区補欠選挙は町村が当選。 遠方から眺めている限り、与党民主党にはハナから勝ち目は全くなかったと言える。補欠選挙の発端は北海道教組から不正資金提供という問題で穴を開けた民主党の落ち度にあり、現与党としての能力にも数々の厳しいマイナス点ばかりでは勝負にもなっていない。一斉選挙でない分盛り上がりにも欠けるのだろう、投票率は低い。

 しかし仮にも衆議院議員を選ぶにこの投票率の低さは、それこそが有権者の懐くやりきれぬ思いを表してはいないだろうか。民主はまったくダメ、だが自民も候補者が派閥の領袖では若い幹事長がいくら口に泡して力説しても党の様変わりは期待出来ず、いかりや長さんよろしく 「ダメだこりゃ!」 と選挙戦そのものに対してシラケが先に来る。
 
 官邸が外交音痴なのは元より、どこに意地張る必要があるのか知らないが大多数の国民がやめろというおかしな政策も改める気配がない。ひとつの問題について政権与党として統一見解が出せるのでもなく、二言目には 「議論をして」 「検討する必要がある」 の繰り返し。国会答弁を聞いていても 「それは自民党時代からの・・・」 がやたら耳に付き、そんなことは誰もが分かっているのだと、今現在政権与党としてお前達はどう考えておるのだとの問いに答えられず、まこと癪に障る逃げようである。つまりは、こやつらは何も考えていないのだろうという最悪の評価を下さねばならなくなる。

 小沢も小沢で、幾分扇動された世論である気がするものの、ここまで嫌われる男もそういない。民主党はさっさと二分してしまえば世話もないと、そう単純に思う国民も多いのではないか。小沢も反小沢も政権の座を割りたくないという一点で繋がっているだけの非協力体制ではないか。そんな党が与党として切り回そうというのだから古い自民党に輪を掛けてタチが悪い。
 ねじれた国会、ある意味結構ではないか。外国人参政権だの朝鮮学校無償化だの、やれ子供手当だ農家保証だのと、全ては民主党票田確保の色が甚だ濃い。我が国家をなんだと思っているのか。こんなものをすんなり通させて貰っては困るのだ。

HRP-4C

 単純に 「こりゃあ凄いな」 と思う。 ひゃぁ、ロボットが二本足でひょこひょこ歩いてンぞ、と驚いたのはついこの前ではなかったか。もう歌うし、踊ったのか。 HRP-4C は産業技術総合研究所が開発したそうな。顔の作りを見れば 「Doll 愛好家」 とか呼ばれる人々が喜びそうではないか。

 可愛らしいというよりは不気味で怖い、という評も多いそうだ。そうかもしれない。人間によく似たのがそれらしい動きをすれば、気味悪がる人もいる。しかしこう言っては失礼ながら、少女体型の実寸大人形を愛玩しては着せ替えたり一緒に寝たりする人々の生活もあまり気色良いものには思えない。この HRP-4C の顔もそうだが、そもそもあの愛玩Doll というシロモノの血の気のない無表情さは怖くはないのか。薄暗い中にあんなものが1体、椅子にでも座らされているとすれば、自分なら背筋が寒くなって数分とその部屋にいられはしない。等身大綾波フィギュアなどの方がアニメ顔である分、まだマシに思える。

 とはいえ、ひと昔前の安仕立て3Dのキャラも似たようなものだった。二次元動画に慣れている我が目には 「APPLESEED」 のデュナンが登場するまで3Dアニメなんぞ気色悪いだけだった。デュナンはアニメ顔だ。目が大きく製作されているから自分にも見ることが出来るのだろう。

 ロボットはエンターテイメントの分野にも未来があるというコメントが紹介されていた。なるほど、やがてはAKBみたいなのもロボット軍団か。初々しい色気も欲しいから、そこまでの技術にはまだしばらく年月が要るようだ。ロボット女優がオスカーで賞を貰ったりする日が来れば、それはもう 「ヨコハマ買い出し紀行」 の世界だ。

そのレベルに達する前に、軍備の殆どが人間に取って代わっていることだろう。戦場に限らず宇宙空間とか海中とか原発の中や危険な被災地など、人間がそこに生存しにくい場所にこそ活用の優先性がある。人手不足の補充に使われるのはその次ではなかろうかと思える。

 しかし個人的には人型メイド介護ロボというヤツをなるべく早くモノにして戴きたい。公安9課の荒巻課長をして 「相変わらずのご趣味ですな」 と言わしめた元情報部大佐は、病室で3体のメイド風アンドロイドに世話して貰っている。これはメイド喫茶のメイドそのものなデザインに作られており、自分にはいささか敬遠したいガイノイドだ。
 それよりは9課からオペレーターガイノイドを1体払い下げして貰った方がいい。あのユニフォームとポニーテイルは最高ではないか。かなりハイスペックのようだし、老後を見込んで今の内から様々なことを学習させておくのだ。あれに割烹着でも着せて二合徳利でも傾けて貰った日には、文句の言わない女房ロボであろうというものだ。

大雨

 TVニュースでもコメントがあったが、奄美地方は例年台風の通り道でもある。そこの人達が茫然とするくらいの急激な大雨だ。降り始めから45時間で降雨累計量818mmという数字は、20mm/h 近い降雨が1秒たりとも休まず45時間降り続けるのと変わらない。実際は小降りになったり少しの間やんでみたり、また130mm/h などというとてつもない降り方をしているらしい。それではどのような排水施設も追い付きはしない。防災施設、排水構造物の大きさを設計するに、こんな大雨は想定していないだろう。

 2日間で3ヶ月分の雨が降ったのでは山肌が崩れない方がおかしい。崩れて道路や水路を塞げば流水の瀬が変わる。予想もしないところに濁流が押し寄せる。普段から降雨流水に見舞われない部分は情け無いほどにもろい。日常は水に洗われない箇所が次々に破壊されていく。これも人間にとっては想定外だ。周囲の景色が一変してしまう予期せぬ出来事は人を狼狽えさせ、パニックに陥れる。

 濁流が弱い箇所を選んでそちらに流れ込むように、災害は体力の弱い者から飲み込んでいく。幼児には大抵大人が付いているが、年寄りだけの家庭、とりわけ一人暮らし老人は逃げ遅れる。やまぬ豪雨なればヘリも出せず道が寸断されれば土地の消防団とて近付けない。早くに避難態勢を強いていればとよく言われがちだが、よもやこれほどの降雨量をどれだけの人間が予測出来たろうか。幾度も台風に見舞われながら長年それに耐えてきた地区の人々ならば尚更だろう。それだけ、「まさか」 の大雨であるに違いない。これ以上の被害死亡者が出ないことを祈りたい。

クマ・クマ・クマ

 「トラ・トラ・トラ」 は “我、奇襲に成功せり”。 では「クマ・クマ・クマ」 は “我、奇襲されり” とでもしようか。 毎日のようにクマ出没、襲われたとか射殺したとかのニュースの多さに、ちょいとこちらの感覚も麻痺しがち。学校の教職員がまたもや少女に猥褻犯罪だというので、教員という職に就いている者は大概そんな輩ばかりなのかと、もはや不思議でも異常でもない事態として脳内処理されつつあるように、クマが街中を歩いていて当たり前だと、我等のアタマがそれに順応しないことを祈りたい。

 かなり御高齢の爺さんが山中でクマに出くわし、真正面から飛び掛かられ、背後に倒れ込んだ際に巴投げでクマを退散させたという話があった。その頃はさほど切実な話題でもなく、御本人には失礼ながら少し愉快な武勇伝として茶の間を賑わせた。今の状況はまるで違う。たとえクマを投げ飛ばすことがあったとしても、そのバトルフィールドは人間の生活圏内になる。クマの出そうな山道を通わねばならない昔の小学生は、空の一斗缶をガンガン叩きながらそこを歩いた。現在、街灯整備されたアスファルト道路にクマがいる。“侵略! クマ娘” だなどと笑ってはいられない。

 申し合わせた如く各地に出没してはいるが、彼等は全国規模のネットワークなど保有している筈もない。洗脳されて踊らされ続けるどこかの国の世間知らず学生達とは違うのだ。冬ごもりする前に食い溜めせねばならない。炭水化物、デンプンを摂らねば体内で糖に変えてエネルギー蓄積することが出来ない。脂肪とタンパクを摂らねば寒さに耐える越冬も辛い。肉体の欲求、本能が彼等を突き動かす。夏場の蜂の巣は少なかった。ナラも実を付けない。海水温が高いため鮭の遡上も遅れている。里へ下り街を彷徨くしかないではないか。

 射殺するなどけしからんという声もある。だが猟友会の人々も好きこのんで撃つのではない。殺生など誰がしたいものか。なぜクマがここにいるのかをその人達は誰よりもよく知っているだろう。どうか山に帰ってくれと、撃つ直前まで祈っているに違いない。

痛ましい

 高校生の女の子が帰宅途中に工事現場事故に巻き込まれて命を絶たれた。公道を自転車通行していて倒れてきた壁の下敷きになった。地球の反対側では地下坑道から奇跡の生還だと沸いている最中、この痛ましい事故は起こった。

 工事現場とか製作工場内では大なり小なり事故は起こる。それは人間のミスであったり地震を筆頭の自然災害によるものであったりする。大概の場合、人間は危険の予知をする。そうやると危ないとかこのままでは保たないとかの予知である。至極まれに動物的な感覚が知らせてもくれる。今朝からなんとなく厭な気がする、というヤツだ。
 また事故というのはその仕事の取り掛かりや終い付近で起こりがちだ。工場の正午の知らせが鳴る直前に機械に指を挟まれるとか、午後の仕事始めに工事現場で足場を踏み外すなどというのが多いのだ。前者は 「あと少しで終わる」 という気の緩みだろうし、後者は肉体や気概が仕事に順応出来ていないのが主たる原因かもしれない。

 壁を工事範囲の外側にぶっ倒してしまった今回の事故を見れば、とりあえずのブロックで最後に残った一枚壁だったようだ。それはつまり、そこで一段落する 「終いの作業」 だったに他ならない。ツメが甘い、気の緩み、作業の手抜き、色々な原因が取り沙汰されよう。決して倒してはならない方向に倒してしまい、道行く第三者の尊い命を奪った責任は重い。その最悪の事態だけは避けねばならない安全対策があった筈で、内側に引っ張り込んでおくという単純かつ基本の事前処置を何故怠ったのか、今となっては取り返しがつかない。

 最近クレーンをぶっ倒したり架空線を引っ掛けてしまったりという事例が妙に多い。かなり無理もしているのではないかという憶測も生じる。叩き合いの請負業にデフレは追い打ちだろう。かといって省いてはならない手間というものがある。人命は戻らないのだ。
 勝手な想像で申し訳ないが、事故を起こしたこの解体業者もおそらく納得出来る額面で請け負ってはいまい。無理してでも請けねば売り上げそのものが下降の一途だ。そこで第三者死亡事故では泣きっ面に蜂などという生やさしい損害ではない。また解体業という業種は既存のものを壊して処分するのだから材料を一切使わない。資材調達で叩いて少しでも息つくという事も出来ない。いかに効率良く手早く作業を進めるかが大きなウェイトを占めるのだろう。そこに心の隙間がなかったろうか。