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民の不安

 沖縄・尖閣諸島沖における中国漁船衝突の映像を流出させた件を告白した海上保安官について、起訴するのかしないのか、検察は悩んでいるようだ。
 政府が秘匿するとしていた映像を全世界にばらまいたのだから、公務員法に抵触するという動きはやむを得ぬところで、本人も承知の上での行為だったらしいではないか。しかし世の中の多くはその映像を目にすることを望んでいたのは事実で、日本の能無し政府がどのような裏取引やブラフに用いようとしていたのかは知らないが、多くの国民が事実を知るという重要な一点に於いて、その行為は多大な功績と言える。

 では当該海上保安官を法廷に引きずり出して裁けるのか。事の真相がここまで明るみになってしまった以上、難しかろう。衝突とはいうものの、これは相手国漁船による体当たり攻撃である。そいつを捕まえて拘束するは当然である。てめぇら発砲されなかっただけマシだと思えと主張するのが筋なのである。それがちょいと脅されて手揉みしながら釈放だ。愚かな政府のことだから手土産に沖縄の名産でも持たせたのではないのか。

 その犯罪者が母国に帰って英雄扱いでVサイン。片やその真相を同胞国民に知らしめた海上保安官は法廷に引きずり出されるのか。あまりにも理不尽ではないか。これは世論が黙っていまい。
 確かに、軍人や公務員が己の判断で国の意向に背く行為はクーデターにも国内テロにも繋がろう。だが、あえてそれに及ばざるを得なかった心情が汲み取れるではないか。国同士がせめぎ合う最前線に務める者の一人として、売国行為の如き政府の対応に国家を憂えるのはもっともだと、民の多くは当該保安官の胸中推し量るに難しくはない。

 火消しは可能だと官房長官もよもや思ってはいまいが、その答弁、理の展開、誰が聞いていても何十年も先まで及びそうな国家の失態は明らかで、現政権がズルズル国家の最高位に居座り続ける限りは、いずれ国内から発する火種を心配せねばなるまい。いわゆる戦前昭和のきな臭く暗雲立ちこめる事件の数々である。そうなっては収拾がつかないではないか。野党連中は一刻も早く解散総選挙に追い込むことである。