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ひどいもの

 かつての “ながら族” の末裔だと自負している故でもないが、ラジオ流しっぱなしで仕事したり掃除したりする癖がついている。国会中継なんぞ流していればついつい聞き耳立ててしまう。ところがこいつをまともに聞いていればムカッ腹立つばかりで、胃に悪い。

 昔お世話になったペットショップの御主人が現役引退を決め込んで、老後の楽しみだとばかりに東京へ度々通っていた時期がある。当時、不思議に思い、そんなに頻繁に 「はとバス」 遊覧ですかと訊けば、いやいやと手を横に振る。国会の傍聴だよとおっしゃる。これには参った。代議士の後援会員でもあったのだろう。そうでなくば、なんたら委員会というヤツの傍聴なんぞ出来る機会はない。
 面白いんですかと問えば、そりゃあ勿論と応える。居眠りこいてる爺さんばかりじゃないんですかと突っ込めば、そんなことはない、白熱すれば見応えもあるぞ、あんたもチャンスがあれば一度その場に行ってみるべきだとおっしゃった。あの人は今も元気でいるのだろうか、今の国会・予算委員会など聞いていてどう思っているだろうかと考える。

 国会が国民の前で議論になっていないのはいつからだろうか。攻める野党に防戦の与党という構図は然るべき形であれ、国家のための議論に至らない。これは随分昔からそうであるような気がする。肝心な国の方策というものは国民の目に留まらぬ処で決められていく。国会に持ち上げられた時点では議論もなく数の力で手打ちに終わるのだ。

 突っ込む野党をのらくら躱せば勝ち、時間切れだという背景には国民の生活が停滞してしまうぞという国民を人質に取った脅しがある。ひどいものである。国民にしてみればサギまがいの欺しに遭い、更に人質とされ、挙げ句に増税ばかり押し付けられたのでは一揆と打ち壊ししか生き延びる術がないではないか。
 高らかに演説した天下り根絶や公務員人件費2割カットはどこへ行ったのだ。バカボン鳩山がグチャグチャに掻き乱してしまった対外姿勢に付け込まれ、阿呆面を全世界に晒してしまった中・ロへの対処といい、能無しの失態を棚に上げ、虚勢だけで政権維持を目論む果ては票田養生の血税バラマキでしかない。

 鳴り物入りともいえる派手な交代劇による新政権は、蓋を開ければまったく能力が無く、寄せ集め集団内のチンケな権力争いと、批判政党根性丸出しの無知、無策。 自民党・麻生政権下の閣僚もそれはお粗末なものだったが、今の政府もその点では一歩も引けを取らず腐臭を放つばかり。
 まったくもって腹が立つばかりで、国政のニュースを見るのもいい気がしない。おそらくこういう人は少なくはなかろう。それは何を意味するか。国政への意識を萎えさせてしまうのである。ひいては国家の活力、更なる減退に至る。 民主党政権の最大の罪はここにある。ある程度の期待を抱かせ、直後に奈落へ突き落とす手法はナチスがよく使った手であると誰かに聞いたような覚えがある。自民は駄目だった、民主は更に駄目だった。我が国民がボート難民とならぬ未来をせめて夢見たい。