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INDEX Ⅱ 第7話

ファイル 56-1.jpg 押っ取り刀で駆け付けた当麻君の千両役者ぶりは、黒子をしても類人猿呼ばわり出来そうでない。ああ、また助けてくれるんだと、急激に膨らむ喜びが美琴の緊迫した表情に紅をさす。なんと可愛らしいレールガンであることか。いつもとはやや異なるキャラの作画ながら、思わず泣きそうになるのを堪えるこの美琴は絶品。 彼が私を捜してくれていた、私を手助けしてくれる、それはなにものにも代え難い支え。この一瞬の彼女は物騒なレベル5ではない。愛しの彼が差し伸べてくれた手の温もりに胸熱くするただの少女で、これこそがお姉様の魅力である。

 超能力は人間の特権能力ではない筈だと包帯サラシ巻き女・結標淡希は語る。然り、人間以外の獣や鳥や虫にこそ我々には理解出来ぬ能力があるように思う。魚の脳がどれほどのものか知らないが、鮭がその生まれた川に遡上してくるのははたして記憶能力だけによるものなのか。ネズミやヘビや鳥が地震や噴火の予知に長けているとされるのは何故か。今の科学では超能力として片付けられてもおかしくなかろう。
 それはさておき、脳を持たぬ非有機体物質にプログラミングをもって相応の同等能力を与え得るというこの女の話は面白い。この作品ならではのサイエンスアプローチではないか。もはや科学と魔術の境界は混沌としており、超能力という視点から見れば明確な線引きは出来かね、それはあたかも相対論の如く、どの分野からの研究によっても目指すコアの真実に間違いはないように見える。科学と魔術の融合はなにやら特異点の解明を試みるに似たり。

ファイル 56-2.jpg 能力は能力、それを操るも生かすも殺すも人格次第。物事の理を闘わせて白井さんに勝てる訳がない。サラシ女がたじろぐのは道理を覚えず芯を持たない脆弱さ。さすがのジャッジメント・白井さん、窮地にありながらも冷静さを欠かない。テレポート出来ないからには肉弾戦。フロアスタンドでぶん殴りにかかる勇ましさに拍手喝采である。
 危機一髪を救ってくれた人の腕に抱かれ、その目に映ったのが類人猿の殿方だったのはいささかショッキングな事実だったろう。見舞いに来てくれた恩人の横っ面をなにもひっぱたく事もなかろうにと思う一方、気の毒な当麻君はとことん間の悪い人間であるらしいのがここでも描かれており、妙な安堵を覚える。至近距離の銃弾から守ってくれたのがお姉様であるのを黒子は知ってか知らずか。少なくともお姉様の闘う世界を知ったのは貴重な事件だった。

 刺々しく、およそ子供の相手などしそうでないアクセラレータと、屈託ないラストオーダーが同居する空間、この取り合わせは実にいい。今後の両名のやりとりに、ミサカはミサカは期待してみたり。

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巧み技

 10年ほど前、知り合いの山師さんがチェーンソー1本の杉丸太彫りでもって花壇ポットを幾つかこしらえてくれた。ついでに、ちょいと腰掛けて一服できる丸太椅子も頼んでいいかと言うと、喫煙者用の灰皿までこさえてくれた。器用なものだ。お茶を飲める6人用ぐらいのテーブルも頼むと言うと、バカ言え、間伐材が足りねぇわいと断られた。

 数日前、久しぶりにジェイソンさんの巧み技でも見ようと思ってニコ動へ行けば、かなり数が増えていて、インデックスもレールガンもやっつけてしまっている。恐るべし、ただ恐るべし。 なんと、へぇとちゃんまで彫っている。これは凄い。平成の運慶か快慶かはたまたミケランジェロか。 最近頓に注目されつつあるチェ-ンソー・カービングもフェイト・テスタロッサにまで及んだからにはアニキャラジャンルとしてひとつの確立をそこに見る思いだ。ジェイソンさん当人にすれば単なるウォーミングアップか慣らし運転だろうけれど、チェンソーによる一刀彫りによってなのはやフェイトがそこに出現する様は、唖然とするばかりである。

 触発されて、また「リリカルなのは」シリーズを第1作目からStrikerSまで観るはめになり、膨大な時間と幾枚もの涙拭きティッシュを費やすことになった。これは何度観ても胸の奥まで刺激してくれる。やはり名作である。都築真紀には改めて感謝せねばなるまい。

INDEX Ⅱ 第6話

ファイル 52-1.jpg 御坂妹やラストオーダーが出てくると、よりインデックスらしくなる。この両者、セリフに於けるお馴染みの喋り口はいささか焦れったくもあるが、それが持ち味なのだから仕方ない。アクセラレータもラストオーダーには少々手を焼くのか。

 帰様の浴院が描かれると、さて今回の黒子はいかなる迫り方を披露してくれるのかという期待が先走る。ファンの皆様、お待たせ致しましたとばかりな全裸ドロップキックは、実はヒップアタックかホットなデンジャラスプッシュだったかもしれない。美琴お姉様故に 「エラいモン見せられてしまった」 となるが、この自分であれば 「おお、けっこう!」 と永井豪マンガのヤラれ役同様に歓喜の涙と涎を滴らせた叫声を上げるだろう。

ファイル 52-2.jpg 黒子はやはりヒロインである。隙あらばお姉様に襲い掛かりたい衝動と冷静なジャッジメント任務遂行を使い分ける器用さは極めて有能な証でもある。黒子にせよ美琴にせよ外伝・レールガンのイメージが強く残るせいか、夜の市街よりも夏の陽射しの元で躍動する方が合っている気がする。が、しかし夜景を背景に跳ぶ黒子もいいものだ。特に黒子の思いをもって進められた話は嬉しい。

ファイル 52-3.jpg えげつない物が彼女の上腕に刺さっている。えぐり込んでいると言った方が正しいか。脇腹といい、バスルームで麻酔無しにこれらを抜いたのか。テレポーションで抜き取るなら痛みはないのか。
 型板ガラスの扉を挟んで黒子とお姉様が背中合わせに話すシーンは今回の見せ場である。映像も実にいい。美琴の方を描かず、あえてガラス越しのぼやけたシルエットだけにしているのが憎い。黒子には秘密にしている美琴の今在る姿と、それを推し計り思い計る黒子の胸の内が素晴らしい。傷の激痛に脂汗を浮かべながらも取り繕うのを見ていれば、この娘はレベル5のお姉様を陰から支え続ける本当の “クロコ” ではないのかと、魅了される。

 胸パットの感触を確かめているかの美琴は可愛らしい。これを装着して胸をせり出せばアイツも少しはこちらを向いてくれるだろうかとの乙女心か。どうせ脱いだ際にはバレてしまうと口を滑らせたのは本音だろう。いずれはその “本番勝負” に持ち込めるかもしれない。淡くも胸高鳴る希望的想定がある。これでは確かにお姉様の意中の殿方・類人猿は黒子にとって憎っくき恋敵だ。

 だがその類人猿、生活は決して楽な日々ではない。腹を空かせた大小2匹のネコを飼っているようなもので、これらを喰わすだけでも大変そうだ。本日はなにやら揚げ物と洒落込んでいる。その点はマメったいではないか。揚げてしまえば美味かろうが不味かろうが手っ取り早く口に出来る利点があるものの、後で油の始末もせねばならない。
 出来ればサッと冷水で締めた生野菜を添えたい。アスパラをそのまま揚げて塩で喰ってもけっこうイケるものだ。

フリージング

ファイル 49-1.jpg 「フリージング」 が1月からチバテレ他U局系と AT-X で放送されるらしい。 ブログでは 「綺麗で強いおねえさんはすきですか?」 と誘ってくれる。 嫌いな訳ないではないかと呟いてみるも、しょうもない巨乳プルンプルンに男の子がむしゃぶりつくだけの学園色恋物語なら見るに値しないと、興味は半々。
 原作マンガの立ち読みコーナーがあったので覗いてみると、派手なアクションページを掻い摘んで見せてくれる。全編がこんなコマばかりでもあるまいしと思いつつ、デジタル製作なのだろうなと想像する絵はきれいである。

 「奏光のストレイン」 や 「インデックス」 の赤星政尚がシリーズ構成だと書かれている。作画監督が 「ガーゴイル」 の渡辺真由美。 監督は 「シャナ」 とか 「いちうし大魔王」 の渡部高志だそうだ。フンドシ女を躍らせた渡部監督、このPVでもフンドシ女が水浴びしている。気に入ったのかなと、要らん事をちょいと考える。

 ともかく、接触禁止の女王様なら面白いではないか。 私の脚をお舐め! なんていうのなら御免被りたいが、綺麗で強いお姉さんは大歓迎である。

 公式サイトにはキャラのブロック崩しが置いてあり、クリアすれば画像をやるぞと書いてある。ブロック崩しなのか制服剥ぎ取りと言うべきか、面白くてしばし興じてしまった。 なんだ、剥ぎ取った画像をくれるのではないのかと、口元がへの字になるのはオジサンの証拠である。

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INDEX Ⅱ 第5話

ファイル 48-1.jpg 長刀振り回す勇姿もそれは魅力的だが、レベルファイブのお姉様並に頬染めて慌てふためく神裂も悪くない。 ツンデレという表現はどういう人物を指すのかこの自分にはよく分かっていない。 御坂美琴や神裂火織などに於いて少なくとも 「デレデレ」 した様子は見受けられず、赤面の上、狼狽し、それを抑え込もうというあたふたが可愛らしさを与える。

 この作品は魔術だ科学だのかなり突っ込んだ内容が日常会話の如く語られる。まったく知識のない身にはそれだけでも面白い。 その上で、灰村キヨタカの描く娘達の絵がファンを惹き付けてやまないように思う。 精悍さと恥じらいの両極は灰村のキャラクター絵柄だからこそより栄える。

 このお話の最後までに当麻君は何度病院に担ぎ込まれるだろうか。事ある度にヒラメ顔のカエル先生に治療して貰わねばならない。不幸だ不幸だと本人が呟くけれど、巻き込まれても知らんぷりして逃げ出さない本人の意志が最終的には入院するまでの大怪我に繋がるのだ。

ファイル 48-2.jpg ローマ正教軍は敗退となった。気の毒にもアニェーゼは二発もぶん殴られてしまったではないか。女性の、尼さんのお顔に拳がめり込むのはかなり痛々しく、いくらカタキ役でもそれはちょっと可哀想ではないかと、前回オルソラをげしげしと足蹴にした非道さも忘れ、やや同情の念を抱く。左の頬骨は割れているかもしれない。建宮に腕を斬られるかステイルに足を焦がされる方がまだマシだった。顔面パンチを必殺技とする当麻君が相手だったのを恨むしかない。

  次回は白井さんの御登場らしいし、美琴お姉様の魅力的な赤面もまた見られそうだ。心待ちにしている小萌先生とラストオーダーの出番はまだ先の方なのか。

ヨスガノソラ 叉依姫の舞い

 この娘、ますますあの女に似てきおるわ・・・。 まさに射殺す視線である。顔を合わせる度にこの抜き身の刃の如き視線を受けるのでは瑛も辛い。

$FILE1_l 御登場した一葉のお母様。 旦那様のお手つき女、そしてその子を許せる筈もない。認知など以ての外、近くで生かしておいてやるだけでもありがたいと思え、といったところ。 取り付く島がないとはこの事で、一葉がどう頼もうが哀願しようが、許せぬものは許せぬのだ。外で胎ませて生まれたその子の処遇について、御台様と将軍様の間ではたして話し合いがもたれたのかどうかさえ怪しい。おそらく旦那が勝手に裏から援助しており、女房殿はそれを見て見ぬふりな状況なのだろう。

 実際、伊福部商店のやひろがいなければ瑛はどうなっていたか分からない。企業内のドロドロした人間模様に世の汚さを思い知らされ、大人達の身勝手に振り回されそうな瑛を見捨ててはおけなかったやひろであるならば、それは世の小狡い連中に対する自分なりの反抗でもあろう。それまでの蓄えも退職金も全て注ぎ込んでまで自分が瑛を守ると決め込んだ肚は、無情で殺伐な世に向けたささやかな宣戦布告であったと思われる。

$FILE2_r 田舎者の馬鹿な負け犬女がなにを意地張る、と冷視もされよう。だが、そのような意地こそが今現在の我が国に最も欠如している部分ではなかろうか。長いものに巻かれろ、寄らば大樹の陰。そういう性根が一億総公務員とでも言える御覧の通りな腑抜け国家に堕としめてしまった気がしてならぬ。仕事はしたくない、給料上げよ、休みを増やせ。やっている事は他人様の力に縋り、末永くぶら下がっていられる画策と、懸命な我が身の保身だけではないか。
 世に拗ねてやさぐれたかのようなやひろの生き様はある面痛快だ。なかなか出来る行為ではないが、度が過ぎるほど己に正直な姿がそこにあろう。
 
 岩下志麻に夜叉女を演じさせたかの如き一葉の母親なれば、第4話のように一葉とナニの関係になってしまったハル君は肚を括らねばなるまい。後は知りませんよ、ひと夏の戯れです、なんてことを言おうものならその場で打ち首か火炙りだ。幸いにも第5話以降は多元宇宙論・パラレルワールドのおかげでこの恐ろしい大奥様に睨まれることはないだろう。
 しかし、今度は 「叉依姫様」 がはたしてお赦しになるかどうか。これは伝説神だけに、どこへ逃げようとも逃れられるものではない。

$FILE3_l 何年か前に土砂崩れで姿を消したその場所に幼い日の落とし物がある筈だと、あてもなく辺りを掘り始める愚かさも、美形の王子様のなさる事なら少女の胸を激しく貫く恋の火矢となるのだろうか。盲目である。惚れてしまえば盲目なのである。
 数年前、この草むらにコンタクトレンズ落としてしまいましたの、という旧知の麗しき美女がいたとして、それはお困りで御座りますな、拙者がお探し致そう、とばかりこの私があてもなく雑草を掻き分け始めたとしても、アンタ馬鹿ァ? とかいうどこかで聞いたような罵りを受けるか、尻を蹴飛ばされるのが関の山で、涙浮かべて 「大好きっ」 なんて絶対に言って貰えそうでない。

 初回のスーパー大木奈で瑛がハル君を目にとめた際、既に王子様出現の喜びがある。憎からずの男の子が戻ってきたのだ。嬉しくない筈がなく、我が身上を振り返れば心強くもあっただろう。
 彼女が日々努めて明るく振る舞い、一葉やハル君に抱き付くのは、それまでの短い人生がそうさせている。言い換えれば、彼女が社会の人々の中で生きてゆくにそれが最良と判断したか、そうあるしか術がなかったということだ。 故に、未知への接触にしても 「おずおずと」 ではなく、ある種の潔さがそこに見て取れる。

 二人で小川に落ちてしまった。これは風呂に入るしかないのだろうなと思っていればその通りで、ハル君は瑛の裸でも覗き見してしまうのかと想像すればあにはからんや、王子様の入浴中へ瑛の方から入っていくではないか。なんということだ。けしからん、実にけしからん。ひょいと跳んだ刹那にお尻のパンツ見せ見せとなるのは仕方ないにせよ、潔さはこういう風に使ってはいかん、と喚いても我が声届かず、四角い家電の画面に唾が降り掛かるのみ。物語は我が切望などどこ吹く風で悠々と熱き場面に向け進んでゆく。
 湯船の中でナニがナニしてどうしたのか知らないが、のぼせた挙げ句、今更叉依姫様に罰当たり行為の赦しを請うても遅いわいと憤慨する中、「シアワセ」 なんていうセリフを聞かされたのでは少々頭に血が上る。お前達はなんと罰当たりなのか。

$FILE4_r が、しかしその高血圧も 「叉依姫の舞い」 に消し飛ばされる。清き楚たる美しさ。これぞ神に捧げ奉る巫女の舞い。 見入る。ただ見入る。 神の湖水に身を浸し、禊ぎを為せば神への純潔、これ背くにあらずか。 鳴り物はあるものの、満ちる静けさの空気。 緩やかな動きの中に、映えるは伝説の叉依姫の願いであるのか。

ヨスガノソラ 一葉編

 殺風景な旧診察室に午後の陽明かり淡く、祖父が使っていたのであろう肘掛け回転椅子に仰け反って身を預け、抱いたアルバムと共に回る彼女のシルエットが幼きその日を巡らせる。 独りの穹(そら)による素晴らしい映像である。

$FILE1_l 列車の車窓から空を仰ぐその少女の“絵”も、透き通るような肌の白さとそれに合わせたかの淡いドレス風衣装にドキリとさせられるが、これは直前に紹介される横柄で我が儘な小生意気娘とその介護人たる善良そうな連れ合い美少年の映像が未だ消えやらぬせいでもあり、意外性のインパクトでもある。

 双子の兄妹の妖しい関係、これぞ背徳物語となれば君子危うきに近寄らずで早々と退散するのだが、一葉(かずは)や瑛(あきら)、奈緒(なお)に梢(こずえ)など、居並ぶ面子を見ればまんざらでもなく、渚家メイドの初佳(もとか)さんが主役を張るSDお笑い寸劇が毎回サービスとして食後のお茶代わりに付いているのも結構な趣で、この作品は週に一度の楽しみとなった。 心理描写がとにかくきれいで、上手い。

 田舎の風情に忠実であるのは元より、一人の美少年を取り巻く多様な少女達が魅力である。恋愛アドベンチャーというからには、この少年を操って各少女達とお近づきになり最終的にはナンダモンダに至るゲームなのだろうと想像する。ゲームは知らないのでこの際横へ置いておくとして、アニメを見る限り、少年・悠(はるか)の類い希な美貌を羨むばかり。
$FILE2_r 少女達が夢見る王子様を絵に描いたようなもので、一葉も奈緒も梢も、出会ったその瞬間から頬染めては胸ときめかせるではないか。このハル君ならば鼻に指突っ込んでボケーっと突っ立っていたところで女の子はハートマークの目をもって見るに違いない。いささか下品な例えながら、彼女と食事中にブカブカ放屁しても彼ならば許されるだろう。 まったくもって世の中は不公平である。

 第4話では一葉とナンダモンダでゴールインする。次は瑛編なのか。ゲームよろしくセーブまでのデータを立ち上げて御覧あれで、そこからの分岐物語となる運びらしい。頼むから巫女さん・瑛にだけは手を出さないでくれと願いたいが、なにせ非の打ち所無い王子様、惚れてしまえば仕方ない。行き着くところまで見せられるはめになるのだろう。

$FILE3_l 豆タンクのような瑛を好きである。顔の作りは 「八神はやて」 に似たところがあり、何かの拍子に関西弁を口走ってしまいやせぬかと案じたりする。寝起きも苦楽も共にしているのだろう、いつもアタマに乗っかる相棒のネコとは一心同体に見える。
 溌剌としており、体力は超人並みのようだ。学校へ通いながら神社を一人で切り回し、伊福部商店に寄ってはものぐさなやひろの手伝いをこなし、近所の爺さん婆さんの買い出しもする。 妾の子、腹違いな一葉の姉という負い目をおくびにも出さず、だだっ広い神社にネコと共に一人住まいである。その小さな身体で肩肘張って他人を思いやる姿がなんとも健気だ。

 瑛の実父である地元代議士は与党のドンなのかどうだか分からない。結構な力を持っているのだろう。ただ、その女房というのは出てこない。徳川秀忠の正室・お江様が夫の隠し子発覚に般若の如き形相でお怒りになったそうだが、それは無理もない話で、瑛の実父もそれを渚家に認めさせること叶わなかっただろう。第一、週刊誌にスッパ抜かれでもすれば脇腹をブスリと刺されるこんなスキャンダラスな深傷はない。政治家生命も危うくなる。表立って認知せず、秘かに金銭的援助を続けていたのは然るべき措置だったか。

 第4話の一部完結は父に対する一葉の誤解が解けて終わる。一葉の奏でるヴィオラの旋律にあの夜のベッドシーンを絡めている辺りは粋な計らいと言おうか。
 この濡れ場が視聴年齢制限なのだろう。しかしエロ作品に括り込まれるものではない。デンジャラスゾーンを描いているのでもなく、ヌメヌメ感も与えはしない。それよりもっと股ぐら描写の際どい一般向けアニメが腐るほどあるではないか。そこに “真剣味” や “現実味” があってはいかんという事なのか。青少年の性的羞恥心をいたずらに刺激し・・・・とよく言われているが、濃厚なキスシーンならよいのか、陵辱まがいの映像も魔法使いや吸血鬼の絵空話なら子供さんもどうぞ御覧下さいという訳か。 しばし疑問符と相まみえる。

INDEX Ⅱ 第4話

 足で小突き回されながらも凛として正道を崩さぬオルソラの倫理観に掻きむしられ、アニェーゼは真っ当な反論も出来ずに苛立ちだけが募る。惨めな命乞いに泣き喚く姿を見たいところが、大勢の部下共の前で自分の方が追い詰められている。まったく立場がない。当麻君の結界破りによってアニェーゼの方が救われたのかもしれない。

 姫を救うべく敵のアジトに殴り込む四銃士、とでもいう雰囲気。五和を筆頭に天草式の面々は強い。蹴散らされるローマ正教軍。めまぐるしいばかりに動きの多い第4話である。
 日本映画で言えば四人の風来坊素浪人がそれぞれの理由を持って再び同じ場所に結集する一場面。米国西部劇ならお尋ねの無法者達が1ドルにもならないそれに義勇心だけで向かっていくパターン。各自、他をあてにしていないところが良いので、なんだお前も来たのかという善玉の余裕に拍手喝采となる。その実はそういう行動を取る可能性を互いに読んでもいる。「場所は分かってるのかぃ?」 というステイルの問いは既にコンビニの話ではない。

 カッコつけのキザな行動だけでなく、これがまた滅法強いというのがお定まりを外しておらず、痛快気分にさせてくれるであろう期待を裏切らない。よくもオルソラを足蹴にしぁがったなと、見ているこちらは高サンダルのアニェーゼに恨み骨髄である。当麻君の必殺右ストレートに吹っ飛ぶ姿を見ても「まだ足りんぞ当麻」と嗾けたくなる。
 流れるような五和の舞い、これは絵になっている。フィギュアにすれば売れそうだ。 ド派手に火炎を操るステイルといい、一閃で数名をなぎ倒す建宮の余裕といい、インデックスに指一本触れること叶わずバタバタ倒れるローマ正教軍に溜飲が下げられる。

 インデックスの能力・シェオールフィアを見ていると、ウィルス駆除のワクチンプログラムか、はたまたガン細胞を選んで喰っていく特殊な酵素のように思えてくる。これは敵に回さぬ方がいいと建宮などはさぞや驚いたことだろう。
 しかし玉砕覚悟の魔術とはいえ、ルチア達が万年筆を自分の耳に突き刺す凄惨さはグロだ。気色のいいものではない。飯時には見たくない映像である。捨て身のローマ正教軍、シェオールフィアを回避できるのか。

 天草一党を導く者はまた救う者でもあろう。神裂さんの御登場を次回まで心待ちにしよう。

田舎の描写

 ふんだんな山と緑。水田の間を縫う道路は舗装されているもののヒビだらけである。閑散とした駅舎周辺。瓦屋根の、おそらくこれは無人駅。地元地区出身の代議士が都合した予算なのか駅正面のロータリーだけはモダンに造形されている。しかし誰がここを利用するのかと思える人の気配の無さは、水田農耕エリアのど真ん中にある駅なのだろうと想像させる。コンビニも大衆食堂の一軒もありはしない。本当に最近の飲料商品が詰め込まれているのかと疑いたくなる外観の自販機だけがぽつねんと、まるで無人駅の監視でもしているかのように駅正面で寂しく佇む。

アニメ 「ヨスガノソラ」。 まずはこの田舎風景にたまらぬ親しみを覚える。ガードレールの向こうから首手拭いした近所のオジサンが草刈り機担いで 「よぅ!」 と顔を覗かせそうである。
$FILE1_l 日々一体何台の車が往来するのか、道行く人など見当たらぬ勿体無い程広い道路。我が国の田舎の現状そのままだ。田舎の人口流出に反して道路予算が注ぎ込まれた皮肉な歴史が見える。交通量が極端に少ないのであれば、農家は我が物顔で農作業用通路に使える。ただし、いくら田舎道とは言っても路面がこのようなひび割れを見せることはない。これだけは誇張である。ロケハンで実際にこういう田舎道があったのならそれは間違いなく土建屋の施工不良だと断じてよい。

$FILE2_r この辺りに1店舗だけというスーパーの規模も店構えもまことに写実的である。奥木染という町の大半の胃袋はここに依存していそうだ。瑛が大量の生活用品、食品を買って帰る。これも見慣れた情景である。何軒分ものまとめ買いで、どこそこの婆さんやら爺さんやらの注文をメモしてきているのだろう。最後に到着する予定の、自分の家でもある神社近くまで瑛の自転車が軽くなることはない。公共交通機関など無いに等しく、頼りになるのはクルマと自転車。急峻な坂道だらけでないのが救いと言えようか。

 主人公・悠と穹が住む家は彼等の爺さんがかつて田舎の開業医として使っていた家屋だ。奥木染町に現在どれだけの医療機関があるのか知らないが、当時は村の診療所的な役割も担っていたことだろう。人々から慕われ頼られていた爺さんのようだから、その医者の孫、夏休みに時折やってくる双子の孫ということで、周囲の子供達の目には少し違った存在に映っていただろう。
$FILE3_l 働ける大人になるまで両親や祖父の遺産で暮らすというものの、子供二人だけで生活するにはけっこうな大きさの邸宅だ。我が儘なお嬢様気質である妹の機嫌を取りながら家事全般をこなそうとする悠はかなり無理を余儀なくされる。妹は何もしてくれないのだから、日々各部屋の掃除だけでも大変な作業だろう。隣近所の手助け無くして世間並み生活は出来そうにない。

 それを思えば、瑛はこの神社をどうやって一人で維持管理出来ているのか。大層立派な社殿といい、社務所もあれば住居もあり、境内をはじめとする広大な敷地一帯と、最初に目を奪われる驚異の石段やいくつもの鳥居の荘厳さは、どうみてもそこいらの三文神社ではない。地元有力者である大金持ちの実父が裏で金銭的援助を施しているにせよ、日々の社務実務は全て瑛一人でこなしているのである。学校へ通いながらだ。これぞ神のお力か。

 心臓破りの石段をようやく登り切って広場に辿り着いたところで、もう一段上に広場があり、参拝するには更にもう一段上へ上らなければならない。かつてはこれら広場も垣の内側だったのだろう。二重にも三重にも垣が施されていたものと思われる。
$FILE4_r 明治の太政官布告によって昭和の敗戦の年まで神社が社格分類されてしまった歴史を我々は知っているが、例えばそれに当てはめたとしてもかなり高位の格付けにされそうな規模と外観を持つ神社である。ここの神格を人々に植え付け、まことしやかな伝説と幾つかのエピソードで擽れば繁盛しそうではないか。関東の某なんたら神社のようにアニメオタクの聖地として売った例もそれはアリだが、ここはその聳える石段からして威厳に満ちていよう。高校の体育系クラブによる夏合宿石段登りに使われそうなだけでは宝の持ち腐れである。

$FILE5_l 神社の近くなのだろう、やひろの営む雑貨屋・伊福部商店がある。これまた田舎でよく見掛ける店で、「昔は商店だったのだろう」 という廃れぶりである。何がリアルかというと、店内に明かりも付けず暗いのである。悠がアイスを買ったからにはその冷凍庫は機能を果たしているのだろうが、隣に鎮座する自販機はとうの昔に電源を引っこ抜かれていそうに見える。大概こういう店は商売する気もなく惰性で看板を挙げ続けているだけで、愛想もクソもない店主が面倒臭そうに暗がりから顔を出す。スーパー大木奈が出来てから一層客足は遠のき、近所の連中だけが忘れた頃に付き合いで買っている程度だろう。
 悠の前に現れた店主・やひろの怠惰な仕草やふてくされたかの如き商売気の無さは、どこの田舎へ行っても出くわしそうな店を忠実に表しており、ここでの商売も大変ですわなと思うよりも前にその現実的臨場感に失笑を禁じ得ない。

 18禁恋愛アドベンチャーゲーム、人気ジャンルだけに背景にもさすが深さとこだわりがあるではないか。

INDEX Ⅱ 第3話

 神裂という存在は一党を導く者、いわばカリスマ、数々の伝説を今に伝える天草四郎のようなものか。神々しいほどの美少年であったとか水の上を歩いたとか、イエスにまつわる伝説を複写したかのような言い伝えは信者達によって輪を掛け誇張され、摩訶不思議なる超能力者か宇宙人のようにまで話は及ぶ。実際にその乱で自害したのか殺されたのかも定かでないらしい。その場に居合わせた信者達が事の真相を伏せたのだとすれば大したもので、先見の妙がある。伝説の始まりに謎がなければ後世に影響は残せない。

 なるほど、表と裏を巧みに使い分けるローマ教会はまるでヴァチカン。ロシア正教や共産主義の侵攻を恐れるあまりナチスのホロコーストに目を瞑ったり、ナチス要人の逃亡を手助けしたり。また科学分野に至るまでその情報網は恐ろしいばかりだというではないか。表の顔である宗教というヤツはまことに厄介で、それを利用する組織の強さは世界中の人間が身に浸みて知っている。

 ローマ教会が洗練された軍事組織的行動を見せるのに対し、天草式一党は一見ただの愚連隊にも見えるという描き分けが面白い。もっとも、史実に於いても虐げられた信者達のムシロ旗だったのだろうから、天草の名を用いるからにはこのくらいで当然か。

 お前を助けに来てやったのではないかとオルソラに説明したところで、それはお世話様で御座いましたと片付けられたのでは拍子抜けもいいところ。お前本当にありがたいと思っているのかと疑いたくもなる。しかしお礼といってはなんだが、またまた汗を拭いて貰ったり、それをあなたの手で私の首にと悩ましき姿勢をとられたのでは、当麻君も不愉快であろう筈がない。
 抱いて下さりませといわぬばかりな暗がりの悩殺ポーズに、据え膳喰わぬは末代までの恥だろう。半開きのそそる唇からそれこそ甘い吐息のひとつも漏れたのならば、「理性よさようなら」 と決め込めたろうに、あれでは生殺しもいいところ。当麻君、君はやっぱり大したヤツだと肩を叩いてやりたいよりも、なにしとるんかい、イテまわんかい、と歯痒さの先立つ濡れ場もどきであった。ああ勿体無い。