記事一覧

TPP参加に向けた関係国との協議

「そうか、そうか、全ての物品、サービスを交渉テーブルに乗せるのか」

     「い、いや、そういう意味でもないので・・・、ちょっとまって下さい・・・・!」

「そうかぁ、そいつは良かった! ウチの連中は大喜びだろう。
         そいじゃ、ま、そういうことで! お前さんも気ぃつけて帰れよ」

     「あ、あっ、あの・・・・!」



 何が怖いかって、今の政府ほど危なくて恐ろしいものはない。

 

1の並ぶ日に

 議論の時間を極端に制限した挙げ句、国民に向けて示した結論は、なんだかよく解らない言い回しのTPP交渉参加表明だった。 どういう懸念があるのか、予想される国益とリスクはどのようなものなのか、その想定さえ首相自身にまったく乏しかったことが参議院の集中審議で暴かれてしまった。
 早い話が、なんやようわからんのやけど 「とにかくおまえそこへ座れ」 言うんで顔出してくるわ、といった実にいい加減な行動である気がする。 ようきた、ようきた、まぁ一杯やれや、というので安酒をグビグビ飲まされ、気付いたら身ぐるみ剥がされて赤裸だった、なんてことにならなければよいが。

 国論が真っ二つになった気もするものの、絶対的な情報不足と、また悪いことに、時の政権に外交交渉能力などさっぱり期待できず、信用すらおけぬ政府であることが致命的で、手探りの中、国内議論はこれからようやく始まる観でもあった。 「ええいっ! 早ぅせい!」 なんて海の向こうから脅されていたのかどうだか知らないけれど、あまりにも短くあっけない国会内議論であったのは将来に間違いなく禍根を残すことになる。


 一方、もはやこれまで、もうこれ以上我慢ならぬ、としたのは読売球団の清武代表で、傍若無人な力を撒き散らす醜怪な翁に突如反旗を掲げて糾弾にまで至った。 よほど腹に据えかねたのだろう。 球団も球界も、爺さんのオモチャじゃないんだから、との内部からの痛烈批判は意外でもあり痛快な話でもある。 いい加減にしてくれ、とボケ老人を諫める長男坊のようにも映る。

 また、力の差が歴然なだけに、執るべき手段はこれしかなかったという会見内容は、カネも地位もない庶民の耳にまこと障り良いものでもあった。 間髪入れずオーナーが 「かばえない」 と表明するなど、触らぬナントカに祟り無しを決め込んではいたが、かねてよりボロカスに評され続けてきた球団体質の膿が少し滲み出たのは否めず、ドラフト渦中の新人などには見せたくないお家騒動には違いない。

 

そんなに売れてるのか

 元々、ヘッドフォンは音の好きな奴には必需と言ってもよかった。 自分はオーディオマニアでもなければ携帯音楽プレーヤーなどにまったく興味を持たず生きてきたが、学生時代から常に一つや二つ身の周りに置いてきた。
 確かに、スマートフォンだのPCだので音を楽しむ人が増えている。 かくいう自分ももっぱらPCから音を聴く。 音を楽しむにはある程度の音量が要る。 田舎の一軒家とか特別あつらえなオーディオルームや防音マンションならともかく、少しばかり金持ちでなければ子供に買い与えたピアノさえ満足に弾かせられない。 騒音関連殺人事件にでもなったら目も当てられない。 概ね、自分に快適な音は他人や隣人には不快極まる騒音でしかないと決めつけて間違いはない。 その点、ヘッドフォンというヤツはありがたいものだ。

 スマートフォンなどの普及で市場は右肩上がり。 強気の業界は多様な製品展開。 少々値が張ってもファッショナブルでカッコ良ければ売れるのだろう。 なんだかよくわからないが、ヘッドフォンをした女の子に萌える妙な男共もいるらしい。 秋山澪親衛隊の亜種ではないのか? 「ヘッドホン娘」なんていうのもその流れだろう。 ならば、春よもう一度とばかり、お婆さん達もヘッドフォン型補聴器にしてしまえばどうか。 爺さん達の目を惹く 「萌え婆さん」 に変身できるかもしれない。^^;)

 少なくとも、そんなにブームでもあるならば、業界は扇動に一役買った秋山澪に感謝してもいい。 京アニがヘッドフォンで儲けた企業から歳暮を貰ったところでおかしくはなかろう。 ヘッドフォンとイヤウォマーを一緒にした製品は昔からあったが、それではこの冬はそういったものも売れ筋となるのだろうか。

 

T P P

 交渉の席に着くに当たり、あらゆる品目の関税を撤廃する表明をせよと条件付けし、その上で交渉参加を無理強いしているのを見れば、ハナから全品目関税撤廃しろという米国の身勝手な思惑が丸見えで、鎧も武器も棄てて丸裸で出てこいと言わんばかりな無条件降伏要求に等しい。 ポツダムの汁がよほど旨かったと見える。
 我が家が苦しいから隣の家の預金も稼ぎも一緒くたにしてしまえというやり方は、暴力団大国らしい手法だろう。 ンなもなぁ、てめぇでなんとかしろ、と言ってやるのが筋で、左様で御座いますか、ウチの貯蓄はこんなにありますんで役立てて下さりませでは、暴力団への利益供与そのものではないか。

 途中撤退もあり得るという前原の脳天気発言は問題外。 お前達は交渉参入に際して全ての関税撤廃を国際表明したではないかと米国はイチャモンつけ始める。 日本が参入しそうだと喜んだアジア小国の希望を踏みにじるのかと、可哀想にも小国を人質にとった妙な屁理屈までこね回すかもしれない。 アメリカとはそういう国なのだ。
 その前に、ふざけんじゃねぇぞ! とテーブルひっくり返して途中撤退してくる度量が今の永田町にも霞ヶ関にも無い。 今までの平身低頭なお粗末外交処置の数々を見るまでもなく、外交能力皆無の売国政治屋共なれば、途中撤退なんぞ誰に出来ようかという国民の冷ややかな見抜きは当然だ。

 経団連はせっついているものの、ではこの異常な円高の下、好転が見込めるとでも思っているのか。 見通しの立たぬ円高ドル安でノコノコ参じれば相手の思うツボではないのか。 後に振り返れば、関税撤廃の意味は円高に打ち消され、金融はじめ国内市場は掻き回され、食料も隅々までメジャーが完全掌握。 今後文句でも言おうものなら兵糧攻めにするぞと脅される始末。 奴隷列島と化した最悪の未来が見える。 そこに居ながらにして一億総難民である。 この胡散臭いTPP、諸手挙げての参入など売国の行為でしかない。 個別のFTAなどを模索する能も無かった責任は重い。 元を正せば、円高に何らの手立て無く、ただ他人事のように眺め続けて放置してきた歴代政府と省庁の怠慢だ。


 農産物に関して言えば、最低限自国の食い物は保護すべきだ。 上記の如く、明日喰う米も国外から操られる惨めさも厭わないのであればそれでもいい。 だが、そうもいくまい。 自国の食い物は自国で賄うのが国家として最低限の在り方ではないか。 食料防衛とはそういうことだ。 それはまたどこの国でも同様の考えで保護政策が前面に出されている。

 ただ、断固反対を叫ぶ与野党国会議員達は本当に国の将来を思っての行動なのか。 実に怪しい。 我が票田、我が身危うしの危機感に突き動かされているに過ぎないのではないのか。 JAなどは既得権保守に必死の形相だ。
 JAや農政議員達の思惑は既得権死守のための鎖国論にしか聞こえない。 農政族議員はJA中心にした組織票を絶対に必要とし、JAは百姓から農産物を安く買い上げる一方、しょうもない高額物品を売り付ける。 週刊誌で叩かれ始めてかなり減ったと思うが、たまには御機嫌取りに飴でもくれてやれと企画するのは悪名高き 「ノーキョー・ジャパン」 の買春ツアーだったりする。 まさに日本の恥を撒き散らかしてきた連中でもあるのだ。

 TPP参入への突然な動きは、確かに自民党の言う通り、普天間問題焦げ付かせに対する米国の代替え要求であるかもしれないし、解決出来る見込みのない普天間よりはTPPに組み込まれた方が幾分活路もあろうかという、追い詰められた民主党の敗残兵心理に近いものかもしれない。
 が、しかし、そんなことで罵倒する資格など自民党にあろうか。 山間僻地に至るまで殆どの農家を生かさず殺さずの票田としてきたのは誰あろうお前達ではないか。 公共工事可愛さあまり大規模農地開発だと称して造った田に手のひら返して減反政策を敷いてきたのはどこのどいつなのだ。 国の第一次産業をおのれらの都合のみによって振り回してきただけのお前達が、この期に及んで何を偉そうにほざいてやがる、というのが農家の冷めた目であるのが実際に思う。

 農家の動勢は国の示す如く大規模化に向かってはいる。 生産者価格が下がる以上、当然の傾向とも言える。 土地の広い北海道では 50ha を越す規模が増加、それ以下の広さでは減る傾向にあるらしい。 北海道以外ではさすがにそのような面積は確保出来ないが、概ね 5ha 以上の規模が増え、それ以下は減少しているようだ。 小規模農家が集合し、何らかの経営体を組織しているのも多々ある。
 自給農家はこのまま減少し、コスト削減も出来ぬ小規模な実状もあり、生産物を買った方がはるかに安く、やがては後継者不足で絶えていくしかないように思う。 元々、自給農家の方がより高齢化しているだろう。 年寄りのボケ防止だと言わぬばかりな農家もある。

 主食米などについて言えば、完全に二極化していくかもしれない。 販売農家は大規模に収まり、自給農家は小規模のまま衰退に向かう。 農業者戸別所得補償など愚の骨頂である。
 但し、いくら大規模水田の作米だとしても、大陸の桁違いな耕作地の米とは価格勝負出来ない。 値の安さでは関税抜きに絶対勝てない。 確かに日本の農家は良質な作物を産む。 だが安全性を除けば、外国産との品質差優位は価格差から来る消費動向の現実に及ぶまい。 日本の農家は100% 負けてしまうのだ。 工業製品輸出には僅かながらの恩恵もあるかもしれない。 だがその時、食料は外国産に席巻され、日本から農業という産業が消え、その他の産業もより深刻な空洞化になっているに違いない。 これはあからさまな日本占領である。

 

未知の生き物

ファイル 177-1.jpg NHKのニュース9をつけっ放しにしておいて、お天気コーナーに春ちゃんが登場しない日は、えらく損した気分になる今日この頃。 やい、春ちゃんを毎日出して喋らせろ! 春ちゃんの出ない天気予報なんぞ、ソースのねぇヤキソバみてぇなモンじゃねぇか、と憤慨したところで、秋から冬にかけては無理な話か。 秋ちゃんの後は冬将軍だし。 ^^;)


 報道STAの報じるところによれば、イエティ国際会議? 雪男発見に賞金も掛けられたそうな。 ネアンデルタール人の生き残りという可能性も否定できないらしいが、そもそも我々現生人類ですら地球上の全民族を把握しているわけではない。 アマゾンなどの奥地には現代文明圏の誰も知らぬ昔ながらの部族がまだ200以上あるかもしれんというではないか。 何年か前にネットや新聞に航空写真が載っていた。 全身真っ赤に塗り染めた人々が飛行機目掛けて弓を引いていた。

 それを考えれば、ネアンデルタール人が山の中に居たところでおかしくない。 しかし一説によると、ネアンデルタールはさほど大柄でなく、顔も丸みのある、そこらの競輪場前を歩いているオッサンみたいな、実に馴染み深い外観の人々だったようだとも言われている。 それなら巨漢・ビッグフットではないだろう。

 もう何年前になるだろうか、日本のマグロ漁船が南方で首長竜に似た巨大生物の死骸を引き上げた。 腐敗が結構ひどく、獲った魚に影響してはかなわんと、写真とスケッチだけ持ち帰り、それでも大変な話題になった。 せめて腕の骨だけでも持ち帰ってくれていればと学者連中は大層残念がったものだ。
 月の鉱物資源だ、火星探査だ、という傍ら、薄っぺらな地球表皮に棲息する生き物さえ未だ多くを知り得ていない。 深海魚ならいざしらず、山の中にいる同類でさえ解らぬまま、新型スマートフォンに飛び付いては悦に入るホモサピエンス。 それが我々だ。

 

明日にもギリシャか

 みんなの党が 「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案」 を国会に提出したようだ。 中身を覗くと、歳費を一律3割削減、期末手当5割削減だとしている。 なにが期末手当だ、ボーナス・ゼロなんて会社は掃いて捨てるほどあるぞ、期末手当なんぞ全額無くせ、という声も聞こえてきそうだが、少なくとも現在、最もまともな神経を持ち得ていそうな議員報酬改正法案だ。

 国会議員何百人かの報酬削ったところで屁の突っ張りにもなりはしないと鼻で笑う者もいる。 だがこれは金額の問題ではなかろう。 国権の最高機関、立法に居座る連中がこの国難に自らその身を削ぎ落とさずして各方面に示しのつく筈もない。 順序で言えばこれが正解だ。 少数がどこまでやれるか甚だ疑うところだが、理想は間髪入れず公務員人件費2割削減にもっていくべき。

 数ある政党で、まず議員報酬から削れとの声が聞こえてくるのは渡辺の党以外にない現実が国民をシラケさせる。 国会議員共がてめぇの実入り減らす訳ねぇじゃねぇか、というものだ。 その後の公務員人件費削減に至っては夢物語に近い感覚でさえある。

 なにせ我が国の大所帯政党といえば、片や癒着でズブズブの構造を築いてきた自民党と、労組に支えられている赤旗民主党なのだ。 いやぁ、公務員給料に手を付けよという輩がウロウロしくさってたまりませんわ、ここはおひとつ形だけでも少しは削減した実績を戴けませんかな、などと会釈混じりの手揉みでノコノコ相談に行くのが関の山だ。 いくら世論の後押しがあったとしても、解散総選挙、政界再編の流れでなくば、今の二大政党では公務員改革、人件費削減は夢のまた夢。
 腐った部分を放置したまま、被災を人質にとった増税内閣に流されていくだけでは、古賀茂明の言う通り、明日にもギリシャか。

 

台風あれこれ

 TVのニュース番組では台風情報が繰り返されている。 なんら被害もなかった自分の周囲に比べて、避難生活続きや新たに被災した人達にはあまり見たくない映像だろう。

 いつも不思議に思うことがある。 暴風雨の中、それでも傘を広げようとしている人々だ。 どうしましょう、これではいつ我が家に帰れるか判りませんと嘆いている人々だ。
 いきなり来やがる地震とは違うのだ。 何日も前から台風が来るぞ来るぞ、雨はどのくらい降りそうだぞと知らされているのだから、それ相応の準備で職場に向かえばよいではないか。 何のための情報化社会か。 暴風雨が分かり切っているなら、ずぶ濡れでも惜しくはない身なりで出掛ければいい。 傘など役に立たぬ。 むしろ危険で、煽られ壊れて傍らの他人様に刺さることもある。 今日は戻れないかもしれないぞと言い残して家を出るくらいの気構えあって然るべきだ。
 鉄道が止まる、タクシーもバスも来なくなる、それらは充分な想定範囲内、当たり前の話だろう。 大都市に水が来た。低い場所が危ないのは子供でも判る。 既に地下道は膝下まで水没しているというのに、いつも通りそこを通って歩かねばならんという無神経さにはあきれ返る他ない。

 まさかそれまでもを行政の責任にしようというのでもあるまい。 何があろうとオレ様の日常パターンを崩して貰っては困る、 誰かがなんとかしてくれて当然だとでも思っているのか。 それでは、世の中が悪いと無差別連続殺人に走る狂人の “予備軍” ではないか。 東北で震災だ、えらいことだと都内で買い溜めに走った連中も同じである。 根底にあるのは驚くべき視野の狭さだ。

 都会の連中にだけ物申すのではない。 地方では台風に際し避難勧告が出なかったのが最大の過ち、知らされていれば死なずに済んだ人もいたとの声も大きい。 それは間違いではないが、必ずしもそれだけではなかろう。 行政は住民の生命を守るのが仕事であるのはその通り。 だが、こと自然災害について最も重要なのは、その地元住民達が幾代も積み重ね蓄積してきた体験、経験である。
 どこそこの沢の水が増えると危ないとか、雨の降り方が尋常でないとか、受け継がれてきた地元住民の知識に勝るものはない。 なんたら地質学者だの防災学の権威だのが講釈をまくし立てても、そこに毎日生きている人々が肌で感じ取る異常さの知覚は驚くほど確かである。 現に、自分で判断して自主避難された方々も多くいる。 もちろん、近所の年寄りも連れてきている。

 多くの時間を空調の効いたビル内で過ごしている都会人ならいざしらず、田舎で住んでいるならそういった己の五感をフルに活用しなくてどうするのか。 年寄りから何も学んでいないというのでもあるまい。 箸の上げ下げからケツの拭き方まで行政に頼ろうとするは、ウチの子供を毎朝起こしに来いと学校に怒鳴り込む馬鹿親と何ら変わりはしまい。
 ただ、こういった話も聞いた。 橋も濁流にやられそうになり、これは危ないと避難を決め込んで夜中に避難先の学校まで行ったところが、完全にロックされたままだったという人の憤りだ。 真っ先に避難所の鍵ぐらい開けておけ馬鹿野郎! という人の言い分、まったくもってごもっとも。 責任の所在はどこにあるのか知らないが、とんでもない話ではあった。

 

甚大な台風被害

 死者、行方不明者あわせて100名に迫り、平成に入ってから最悪級の台風被害になっている。 我が家の地区では負傷者も出ずに済んでいるが、所々崩土が見られ、一軒の家では背面の蜜柑畑の土砂が家屋内に入り込み、町営住宅に避難したままだ。

 建設現場の火薬庫が流され、含水爆薬と雷管が多数流出したそうだ。 運良く全てが海まで流れ、沖の底深くに沈んでくれるならいいが、そうもいかない。 川岸に打ち上げられたそれらを知識のない人が触ると危険だ。 爆薬に雷管はセットされてないにしても、電気雷管に何かの原因で通電があったり激しい衝撃が加わると起爆する。
 それにしてもお粗末な話ではないか。 通常、土建屋ならば台風接近、洪水警報となれば総動員で保安態勢を敷く筈だ。 トンネルの建設現場なれば、掘っているトンネル内の出水には敏感でも外の対処には長けていなかったのかもしれない。 原発と同じで、火薬庫の設置場所も通常では問題なく、“想定外” の出水でヤラれました、ということだろうか。 どうであれ、爆薬と雷管の大量紛失には違いない。

 十津川地区では崩土が渓を堰き止め、実に危険なダムになっている。 昔は対処のしようがなかったのかそのまま放置され、自然災害が造り賜うた天然ダムとして今にその姿を留めている場所が各地にある。 規模が大きければそれでもいい。 中途半端だと最も始末に悪い。 いつ決壊するか監視し続けねばならず、放水路が造れないならそれこそ爆破による強制放水も考えねばならない。 アニメなら陸自のコブラを飛ばしてロケット弾か対戦車ミサイルで破壊するだろう。 もちろん、一挙放水などすれば下流はたまったものじゃないが。

 今回、紀伊半島で山が崩れた箇所数はどれだけあるのか。 こんなものは元へ戻せないのだから、更に崩れそうな部分を切り取ってしまうことだ。 山奥深くで切り取れないなら、自然崩落して落ち着くまで近付かないのが懸命だ。 治山工事のみみっちいコンクリート構造物など屁の突っ張りにもなりはしない。
 扇状地などは幾度もの土砂流出によって形成された地形だ。 急峻な山肌に地滑りがあったがために山裾や中腹にある程度の平地が生まれた例はいくらでもある。 人間はそこが安定したのを確かめて、これ幸いと畑にしたり村落にしたりしてきたのだ。

 我が家の畑や周辺地形を観察すれば、かなり昔に相当上の方から滑り落ちてきた土砂が堆積して出来た形状であるのが解る。 明治、大正などという近年ではない。チョンマゲ時代、あるいはそれよりもっと古い地滑り跡なのだろうと思う。

 

ろくな台風でない

 日の目を見ないとはこのことで、クソったれ居座り台風のせいで暫く陽射しがない。 なんなのだ、自転車並みの速度 15km/h とは。 ツール・ド・フランスじゃ平均 40km/h 程度で走るんだぞ、ダーッと来てダーッと行っちまえこのヤロー! なんて怒ってもどうにもならん。 ウダウダと酒場で愚痴を吐き散らしつついつまでも帰らぬ嫌われ客のようなもので、ろくな台風ではない。 年間総雨量の6割だの7割だの、まとめてそれだけ降られたのでは耐えられる山も耐えられん。

ファイル 165-1.jpg

 各地で死者、行方不明者が多数出ている。 奥地の谷間なら水の退きは早いが、下流になるほど水位低下に時間がかかる。 土砂崩れ現場では土中の水が減らない限りキャタピラも入っていけない。 上方から倒れてきた倒木はそれでかろうじて土砂の土留めになっているのだから、どかそうと下手に切断すれば一挙に二次災害だ。

 人々の生活で川を渡る橋は不可欠だが、こういう災害時には流木や流れ来る廃材のスクリーンになってしまい、結果、橋が堰となり、周囲一面を被災させ、そのうち水流圧に負けて橋が真っ二つになる。 安い工事費で洪水想定水位より上にどれだけの桁下余裕高を取れるかが重要にもなるが、橋脚がちゃちならば根こそぎ持って行かれてお終いだ。
 防災にはカネが要る。 しかし、普段はまったく必要のない投資だ。 そこが頭の痛いところ・・・。

 

納得に至らない

 9.11 が近付いて、特番宣伝があちこちに見られ、巨大高層ビルの崩落映像がTVで繰り返される。

 今でも不思議に思う。 不謹慎だが、崩落が見事すぎるのだ。 ひとつめが真っ直に押し潰されながら崩落し、隣のビルもまったく同様に、ビルの芯に吸い込まれ落ちるが如くに崩れた。 ツインタワーの双子ビル、その最期まで似ることもないだろう。 横にさほど高くはないビルもあって、ついでにその崩れ方も解体屋が段取りしたかのようだった。

 何千人もの犠牲を生んだ無差別奇襲攻撃の修羅場で、これはあまりにきれいすぎる崩落ではないか。 偶然だと片付けるにはいささか疑問符を拭えない。 世界の学者がああだこうだとCGを駆使して説明していたが、それにしたって・・・・と、どうにも納得に至らない。

 米国内では未だに 「政府の陰謀説」 を唱える人々がいるらしく、この 「ビル崩落の疑問」 が彼等の言い分のひとつになっている。 解体屋がビル爆破するように、あらかじめ仕組まれていたのだというものだ。
 それもまたかなり無理のある説で、人っ子一人いない廃墟ビルなら話は分かるが、多くの人間が日々働いているそこで周到な段取りを何ヶ月にも亘って秘密裏に行うことなど不可能だ。 第一、ビルの要所をワイヤーで内向きに引っ張り込んでおかねばならないだろう。

 学者やゼネコンの技研が言う通り、構造的なものなのか。 思うに、テロリストの突っ込みがほぼ水平だったのもかなり大きな要因に違いない。 例えば、急降下爆撃機のように真っ逆さまに突っ込まれていたなら、また違った崩れ方になっていたのではないか。 青竹に斜め上からナタを振り下ろされる如くにだ。