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甚大な台風被害

 死者、行方不明者あわせて100名に迫り、平成に入ってから最悪級の台風被害になっている。 我が家の地区では負傷者も出ずに済んでいるが、所々崩土が見られ、一軒の家では背面の蜜柑畑の土砂が家屋内に入り込み、町営住宅に避難したままだ。

 建設現場の火薬庫が流され、含水爆薬と雷管が多数流出したそうだ。 運良く全てが海まで流れ、沖の底深くに沈んでくれるならいいが、そうもいかない。 川岸に打ち上げられたそれらを知識のない人が触ると危険だ。 爆薬に雷管はセットされてないにしても、電気雷管に何かの原因で通電があったり激しい衝撃が加わると起爆する。
 それにしてもお粗末な話ではないか。 通常、土建屋ならば台風接近、洪水警報となれば総動員で保安態勢を敷く筈だ。 トンネルの建設現場なれば、掘っているトンネル内の出水には敏感でも外の対処には長けていなかったのかもしれない。 原発と同じで、火薬庫の設置場所も通常では問題なく、“想定外” の出水でヤラれました、ということだろうか。 どうであれ、爆薬と雷管の大量紛失には違いない。

 十津川地区では崩土が渓を堰き止め、実に危険なダムになっている。 昔は対処のしようがなかったのかそのまま放置され、自然災害が造り賜うた天然ダムとして今にその姿を留めている場所が各地にある。 規模が大きければそれでもいい。 中途半端だと最も始末に悪い。 いつ決壊するか監視し続けねばならず、放水路が造れないならそれこそ爆破による強制放水も考えねばならない。 アニメなら陸自のコブラを飛ばしてロケット弾か対戦車ミサイルで破壊するだろう。 もちろん、一挙放水などすれば下流はたまったものじゃないが。

 今回、紀伊半島で山が崩れた箇所数はどれだけあるのか。 こんなものは元へ戻せないのだから、更に崩れそうな部分を切り取ってしまうことだ。 山奥深くで切り取れないなら、自然崩落して落ち着くまで近付かないのが懸命だ。 治山工事のみみっちいコンクリート構造物など屁の突っ張りにもなりはしない。
 扇状地などは幾度もの土砂流出によって形成された地形だ。 急峻な山肌に地滑りがあったがために山裾や中腹にある程度の平地が生まれた例はいくらでもある。 人間はそこが安定したのを確かめて、これ幸いと畑にしたり村落にしたりしてきたのだ。

 我が家の畑や周辺地形を観察すれば、かなり昔に相当上の方から滑り落ちてきた土砂が堆積して出来た形状であるのが解る。 明治、大正などという近年ではない。チョンマゲ時代、あるいはそれよりもっと古い地滑り跡なのだろうと思う。