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1の並ぶ日に

 議論の時間を極端に制限した挙げ句、国民に向けて示した結論は、なんだかよく解らない言い回しのTPP交渉参加表明だった。 どういう懸念があるのか、予想される国益とリスクはどのようなものなのか、その想定さえ首相自身にまったく乏しかったことが参議院の集中審議で暴かれてしまった。
 早い話が、なんやようわからんのやけど 「とにかくおまえそこへ座れ」 言うんで顔出してくるわ、といった実にいい加減な行動である気がする。 ようきた、ようきた、まぁ一杯やれや、というので安酒をグビグビ飲まされ、気付いたら身ぐるみ剥がされて赤裸だった、なんてことにならなければよいが。

 国論が真っ二つになった気もするものの、絶対的な情報不足と、また悪いことに、時の政権に外交交渉能力などさっぱり期待できず、信用すらおけぬ政府であることが致命的で、手探りの中、国内議論はこれからようやく始まる観でもあった。 「ええいっ! 早ぅせい!」 なんて海の向こうから脅されていたのかどうだか知らないけれど、あまりにも短くあっけない国会内議論であったのは将来に間違いなく禍根を残すことになる。


 一方、もはやこれまで、もうこれ以上我慢ならぬ、としたのは読売球団の清武代表で、傍若無人な力を撒き散らす醜怪な翁に突如反旗を掲げて糾弾にまで至った。 よほど腹に据えかねたのだろう。 球団も球界も、爺さんのオモチャじゃないんだから、との内部からの痛烈批判は意外でもあり痛快な話でもある。 いい加減にしてくれ、とボケ老人を諫める長男坊のようにも映る。

 また、力の差が歴然なだけに、執るべき手段はこれしかなかったという会見内容は、カネも地位もない庶民の耳にまこと障り良いものでもあった。 間髪入れずオーナーが 「かばえない」 と表明するなど、触らぬナントカに祟り無しを決め込んではいたが、かねてよりボロカスに評され続けてきた球団体質の膿が少し滲み出たのは否めず、ドラフト渦中の新人などには見せたくないお家騒動には違いない。