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雪の日

 道路に面して張り出してきた枝を片っ端から切り落とさねばならないのだが、この雪では何もする気にならない。 かといって、林は我が家のだから管理責任上そのままにもしておけない。 この雪でさらに枝がたわみ、ますます道路の邪魔になるかもしれん。 まぁ今日のところは何年かぶりの雪景色でも堪能しよう。 豪雪地域ではないのだから畑の納屋が雪で潰されるといった心配も無用だ。

 雪見酒とでも洒落込むのも悪くない。 かつて仕事で付き合いのあった社長さんが高そうな焼酎を送ってくれた。 親戚がお裾分けしてくれた清酒の樽酒もある。 姉が自家栽培大根を漬けた白タクアンもなかなかに美味だ。 それでも、少しは宵に近付かねば躰が欲しない。

 静かでいい。 降り続く雪片が音の縦波を遮る。 EVのクルマに乗せて貰ってるような静けさだ。 十代の頃からこんな日には何故かヴァイオリンの楽曲を聴きたくなる。 幼い自分に何かしらの想い出があるのかもしれない。 しかし、それがなんだか分からない。

 今季は南天の赤い実がやたらに多く目に入る。 作物でいえば豊作に値する。 雪景色に南天はいいものだ。 後で雪ウサギでもこさえよう。


 まぁとにかく、豪雪に御苦労されている地域の方々にはいささか申し訳ないが、ヨコハマ買い出し紀行のアルファさんのようにコーヒー豆を炙って碾いて、ゆったりと香りを味わいつつ、降り続く雪を眺めながらヴァイオリンコンチェルトにでも身を任せよう。