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浸けとけ

ファイル 334-1.jpg アンデルセンの人魚姫か、グラハム・ハンコックの半魚人か。 たまにああやって漁網に掛かるのであろう海村に住む人々(?)は耳の裏にでもエラがあるのか。 乾くとパリパリ剥がれるのが 「エナ」 とかいうものらしい。 ウロコ様の呪いはフェロモン撒き散らかし少女に対し確かに大人げない。 いたいけな小娘を捕まえて雌の匂いだ発情だと、スケベオヤジそのままでは、自分にでも務まりそうな気楽な監視人ではないか。

 「凪のあすから」 のユニークさに惹かれる。 瀕死の半魚少女を拾って戻ってきた少年に、爺さんは 「風呂に水入れて浸けとけ」 と言う。 採ってきた夏のスイカを井戸へ浸けておけというようなトーンで、これには笑ってしまう。 あの言い方は、過去に幾人もの干涸らびた海村人を見たり扱ったりしてきた漁師なのだろうと想像させる。
 因みに、この家の浴槽は0.5 m3 ~ 0.6 m3 くらいだから、0.5 m3 程度の水を張って塩分濃度3 % にするなら15 kg の塩が要る。 5 kg 袋で三つだ。 それだけの塩があればけっこうな量の高菜が漬けられる。 ^^;)

 

陸のサヤマート従業員である光君の姉さんは残業無しの条件雇いか。 それとも、夕方ヤバくなったら前の海に一度浸かるのか。 子供達が嫌がらせすることに心当たりあるのであれば、勘で推測して、おそらく陸の男が彼女に惚れているのか、彼女もまんざらでない仲なのではないだろうか。 おいおい語られるにせよ、過去の出来事若しくは現在進行形な 「陸のオトコ」 に纏わる何かがありそうだ。

 そうしてみるとこの物語は、やはり半魚人でなく人魚姫なのだろう。

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