記事一覧

猛暑雑感

 あまりの暑さに、畑の物置小屋の屋根トタンに塗ってあるペンキが剥がれ始めた。 イノシシやアライグマは沢ガニ求めてそこいらじゅうボコボコに掘って回り、自然石の空積み根元部分など湿り気あるところをほじくり回され、石積みが崩されかねない。

 これだけ暑くて降らなくても元気なのがアオカラムシとその仲間の雑草で、放っておけばすぐに腰高を超えるまでになる。 初夏から秋までうっかり刈り忘れたりすると樹木並みの硬さになって始末に悪い。 昔の人はこの強固な繊維を利用して織物にしたり紐にしたりだったらしい。 ある人の話だと、そのために栽培していたものが野生化したから同じ田舎町でも群生する所とそうでない所があるのだそうだ。 そういえば、藁草履作りに長けた親戚の婆さんがアオカラムシの繊維を藁に混ぜて草履を作ってくれたこともあった。

 お前の親父さんの初盆だからと、小学時代からの友人がお盆に線香あげに来てくれた。 彼の話では何十ヘクタールもあった蜜柑畑をかなり縮小してしまったと言う。 それでも今年は灌水の水が足りないと嘆く。 ため池もかなり底に近く、植物プランクトンだかなんだかで、濃い青汁のような水しかないのを汲み上げて使っているそうだ。 甲子園で試合の合間にグラウンド散水している情景をTVで見ると羨ましい、と言う。

 お盆が済んで、どこかの測量屋が街中を測量している。 この猛暑では楽な業務ではなかろう。 歩道に打ったポイントに光波トランシットを据えて覗いているが、おそらくあのトランシットはじっとしてはいまい。 整準に据え付けてもこの暑さでは1分と保ちはしない。 三脚の先が熱で柔らかくなった歩道アスファルトにめり込んで行くからだ。

 花火大会屋台の爆発事故では気化ガソリンに原因がありそうだと報道されている。 目撃者の言うとおり携行缶から噴出する気化ガソリンが目視で識別出来たのならば、かなりの気化量、相当熱い処に置いていたことになる。 普通、携行缶のエア抜きを少し緩めて気化圧を抜いても、その気化燃料は目に見えるものではない。

 なにはともかく、そろそろひと降り欲しい。 水は天から貰い水、とはよく言ったものだ。 天は人を殺しゃせんよ、とは明治生まれだった祖母さんがよく言っていた言葉だが、どうしてどうして、水不足な一方で片や甚大な水害では、祖母さんの言葉も地球の変動と共に変えてゆかねばなるまいて。