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商店街物語

 ヴィヴィッドが終わってしまうし、もうひとつの楽しみだった 「餅屋の娘」 も、はや最終回。 4月からはビリビリガールが始まるものの、黒騎れいも北白川たまこも姿を消してしまうのは、おい、それはないんじゃないかい? と、惜しむあまりにひとくされブータレてみる今日この頃。

ファイル 313-1.jpg 山田、吉田、堀口の組み合わせで、けいおんキャラそのままとも見られるホンワカワールドな商店街物語は、辛いばかりの身を癒してくれるに充分だった。 餅の食い過ぎで丸々太った鳥・デラのぶよぶよ感といい、堀口悠紀子が描く少女達の毒気無い可愛らしさは前作軽音部の面々と遜色ない。
 「餅」 という民族史的な食い物に始まり、未だその趣を漂わせ続けてくれる商店街や銭湯。 寄り合い会合を銭湯で行うあたり、商店街一族・ムラ社会的な団結構造さえここではしっかり維持されている。 あずにゃんに似たチョイが首から提げている鳩笛もまたせつない程に懐かしい。

ファイル 313-2.jpg 商店街のお買い物ポイントが貯まれば大画面液晶テレビでもくれるのかと思いきや、ゴールドメダル進呈なのだから、餌で釣る商魂などさらさら持ち合わせていない。 ここで買い物をする行為自体に意義と栄誉と感謝を蓄積するからには、クサイ芝居売りが常套なTVショッピングや不要物添付のまとめ売りなど邪道な商売だとまでは言わぬにせよ、我々は当商店街の雰囲気と顔、接客の温もりで売るのだとの自負さえ持っているのではなかろうか。

 車で出掛けて一度に山のような買い物をしてくる大規模量販店とは異なり、それは近隣住民の生活空間にあり、通勤通学の途上でもある。 伝承すべき大事なことは長老連中が教え、子供は地域みんなで守り育てる文化圏だ。 オープニングの商店街垂れ幕には 「ただいま おかえり」 の標語があり、各店に提げられている。 挨拶の励行と基本の躾である。

 改めて魅力的に思うのは、山田尚子独特のキャラの動かしだ。 はるか昔、当時ズイヨームービーのハイジが見せた日常のさりげない動きが人々に多大な衝撃を与えた。 以来、日本のアニメキャラは取って付けたような芝居がかった動作ではなくなった。
 第9話に見る妹・あんこがとても良い。 この子がランドセル背負って駆ける姿が素晴らしい。 けいおんの平沢唯がギターケース背負って走るのも独特なイモっぽい味わいある小走りで好きだったが、このあんこには参った。 堀口キャラの愛らしさが一層際だっているように思う。

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 残念だ。 12話で終わるのは、実に残念だ。