何度観てもヴォルケンリッターの姿勢や行動には無垢な美しさがあり、泣かされる。 被告席から解放されたばかりの薄幸少女がそれに絡まるため、第1期以上になにかと思い入れの多い 「A's」 である。
ネコ耳双生児が省かれていたり、フェイトの 「友達だ」 にシチュエイション変更があったりするものの、全体にはTV版オリジナルに極めて忠実に思う。 一途なヴィータやナイツスピリッツのシグナムが印象付けた、いつまでも耳に残る彼等の粋なセリフはほぼそのまま用いられているし、ひょっとするとかなり端折られているかもしれないと案じていたフェイトの夢見シーンもTV版にまったく遜色ない。
劇場で味わうサラウンドはさすがに家庭のTVの比ではなく、どれだけ金銭を費やした音響マニアであれ、音量の頭打ちを余儀なくされる住宅事情では、あのように肌で音を味わうことなど不可能だ。
劇場用のクオリティと言ってしまえばそれまでながら、なのは、フェイトやシグナム、ヴィータ等のバトルシーンが素晴らしい。 とりわけ、将のシグナムが見せるアップの表情にはシビれる。 とにかく4名ともそれぞれカッコいい。
自身で理解に苦しむのだが、やたらと泣けてくる。 二人が再開する場面にしても、なのはを待つフェイトが公園に立っている姿だけでジワリきてしまう。 イヴの夜、シグナムやヴィータの流す涙に堪えられないのは言うまでもなく、魔法陣上のなのはがフルドライブで構えただけでどうしようもなくなってしまう。 これには参った。
各々のキャラがみなそれなりにせつないのだ。 TV版シリーズによって都築真紀は我が身に焼き印の如くそれを残してしまった。 故にこちらは他愛もないワンカットで熱いものが込み上げる。
言い換えれば、都築真紀によってこの身が完璧に射抜かれ、串刺し状態なままである気がする。 やはり 「なのは」 は傑作だ、都築真紀の傑作だ・・・・そう呟くしかないのである。 TV録画した 「A's」 をまた観てみるか・・・・、そぞろそんな気分にもなる。