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花木屋の娘さん

 爆弾低気圧に類するのかしないのか、GWにて早くも竜巻被害である。 亡くなった人もいる。 北太平洋に居座った高気圧が西からの気圧移動をブロックしたために、過ぎゆくべき雨雲がいつまでも列島に被害をもたらした。 この夏も先が思いやられる。
 自分には連休も何も関係ないのだが、巷で言う大型連休に該当する9日間、我が周囲も大雨に叩かれることはなくても気持ち良い五月晴れという日が少なかった。 それでも我が家のウバメガシ周辺に群生したスズランが可憐な白花で彩っている。

ファイル 247-1.jpg 夏色キセキで描かれる湿度を排除した下田の真夏情景は大変爽快で、あのアニメを見ていると鬱陶しい曇り空の暗さから解放される気分になる。 夏物アニメの魅力は世界の明るさにあり、自分のような夏男君にはたまらない。
 日本アニメの特徴のひとつが凝りに凝ったその背景美術で、リアリズムを追求したその色遣いたるや、外国のアニオタが飛び付くのも無理なかろうとさえ思う。

ファイル 247-2.jpg 彼女の部屋を見れば、「フォーシーズン」 とやらのユニットのポスターが所狭しとベタ貼りしてある。 こういうコはえてして寂しがり屋だ。 緑の長い髪を潮風に揺らす、旅館・花木屋の娘さんを好きである。
 賑やかで少々騒々しく、軽はずみに素っ飛んでしまいそうな少女であるが、何をやっても許してしまいそうな、裏腹持たない屈託無さが実に可愛い。 大変お得な性格である。
 
 神社の娘・凛子との取り合わせも気に入ってしまうが、我が家の旅館お手伝いをして小遣いをせびるというのも微笑ましい。 このコが仲居さんの出で立ちで部屋にお茶と温泉饅頭でも運んでくれるのなら、花木屋に長期宿泊してもいい。 いつの間にか、毎週このコの姿を見るのを楽しみにしている自分を知る。 下田の夏を懐かしんでいるうち、どうやら花木屋の優香君にイカれてしまったらしい。

ファイル 247-3.jpg EDの 「明日への帰り道」 という曲がまたいい。 フォーク調の爽やかさが田舎娘達にピッタリである。 全体的な夏の明るさと小ずるさを知らぬ少女達が自分に与えてくれるものは、なんの厭いも障害もなく夢を見ていた頃の郷愁だけではない。 当時感じていた “匂い” を想い出させる。 風の香りであったり、漁港の匂い、草木のそれである。

 折しも、春の草刈り真っ最中。 刈り払った陽当たり良い土手などは、春草刈り後独特の香りがする。 春草の種類によるものなのか、春草そのものが柔らかいからなのか、真夏とは違う初夏の香りである。 これが不思議と真夏娘達のキセキ物語に符合してしまう。
 毎日、草刈り機を振り回して夕方に風呂場で鏡を見れば、顔がうっすらと緑色になっている。 草の樹液によるものだ。 緑の宇宙人じゃあるまいし、緑でいいのは花木優香の髪だけである。


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