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京都へ行こう

ファイル 246-1.jpg 「そうだ、京都へ行こうオニ!」 と、どこかで聞いたようなコピーで京都に飛んだアカオーニ。 「けいおん!!」 の新幹線の中には 「そうや、京都へ行きまひょう」 という車内ポスターがあった。
 「そうだ、京都へ行こう」 は、けっこう耳障りが良く、人々に覚えて貰えた数少ないキャッチコピーのひとつではある。 「京都かぁ、ウム、悪かぁねぇわな」 となって、列車に乗った人も少なくはなかろう。

 よしよし、京都へ修学旅行でなきゃプリキュアじゃないぞ、なんて腕組みしながらニヤついて、思えばファイブでキャラクターを異世界住人の如くにしてしまってからこういう馴染み深い催しは大層久しい気がする、それだけにプリキュア作品としての懐かしさがあるなと、妙な感慨に包まれる。

 ファイブは戦隊フォーマットの上に載ると同時に主人公少女達から現実的日常性を奪い取ってしまったように思う。 級友や先輩、家族、出会った人達等々は極度に削り取られ、S☆Sのような風光明媚な背景も無かった。 そこは欧州の街並みに突如日本の家屋が描かれる奇妙なSF世界でしかなく、視聴する子供達にはまるで馴染みのない世界故に、主人公達の汗や吐息や体温の伝わることが少なかったのではないかと振り返る。
 母と喧嘩し、父に叱られたり祖母に諭されたり、修学旅行で京都に行き、団子屋のお婆ちゃんを子供の視点から見る、といったような現実社会感覚がそこにはなかった。 視聴少女達が夢見る世界なのだと断じてしまえばそれまでながら、今の我が国のどこかを思わせる風景がまったく無い作品は、羽を持つ妖精や魔法使い、とんがり耳のエルフなどが主人公であるお伽話と大差ない。 現実的日常に身を置いて泣き笑いしている娘達であればこそ “人知れぬ伝説の戦士” という夢の存在が生きてくるだろう。

ファイル 246-2.jpg 自分には生徒時代のそういう経験はないが、修学旅行というヤツは駅構内などで床タイルの上に強制的に座らされている。 「けいおん!!」 も 「スマイル」 も然りである。 犬の子みたいにウロウロして統制管理出来ないからか、広い待合いエリアや改札近くなどで制服姿の生徒達がその場に座らされている光景をたまに目にする。
 体育ジャージならともかく、制服のままなあれはどうにも微笑ましく見られない。 ホームレスのオジサン達でさえ段ボール敷いているではないか。 もっとも、引率教員の説明もまともに聞かず勝手に彷徨かれたのではたまらない。 二言目には引率責任の話になってしまう。 話を聞かせ、説明を行き届かせるにはああやって座らせるのが一番なのだろう。

ファイル 246-3.jpg 7年前の秋、MaxHeart でベローネ御一行が京都へ修学旅行を催した。 関東圏の修学旅行は京都であるというのでもなかろうが、かつての都で、保護されている歴史的建造物も多いとあれば、おのずと無難な目的地たり得る。
 今回のスマイル・イン・キョートは、なぎほのとひかりが辿った名所巡りよりは少なく、さらりと流している。 深まりゆく秋と初夏の違いもある。 担任の先生に御迷惑を掛けるのだけは似たようなもので、修学旅行の定番エピソードである。

 プリキュア少女らが渡月橋を訪れるのはとても懐かしい。 初代白黒が大虎を蹴飛ばしてウラガノスを退散させた京都決戦のバトルフィールドだ。 ああ、初代白黒はカッコ良かったなぁと懐かしむ傍ら、スマイルの星空さんはなんて鈍臭いのだ、やっぱり月野うさぎ並じゃないかとオデコに手を当てる。 ^^;)

 願わくば、スマイルの修学旅行御一行様、安けりゃいいわの無謀ツアー会社や過労運転観光バスなどでありませぬよう・・・。

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