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地滑り、液状化

 またそぞろ関東の方で揺れている。 中越では地滑りがまだ止まらず、紛糾国会と同じく 「どうにかならんのか」 の嘆き節が聞こえてくる。

 庭石の上に砂をまぶし被せたようなもの・・・、それが我らが国土ではないかと思う。 石を揺すれば砂はパラパラと剥げ落ち、上から水を掛けても流れ落ちてしまう。 表土とはその程度のものだ。
 山の崩落、地滑りはウルトラマンの兄弟がみんなして手で押さえたところで止まりはしない。 落ちたがっているもの、滑りたがっている表土は気の済むまでそうさせてやるのが一番だ。 だからといって、集落、住宅があれば呑気な話ではない。 だが、そこで何らかの人工物によって懸命に抑え止めたとしても、そこに溜まるポテンシャルエネルギーはそのまま残る。 実に危うい折衝の中でその状態を保ち続けていくのは得策でない。 やはりエネルギーを吐き出させてやるのが肝要だ。 地下水を抜いてやるのもそのためのひとつだ。

 山を背負っている場所は多かれ少なかれそういったリスクはある。 ここは良い湧き水があるからというだけでろくに調べもせず安易に住宅でも建てれば、ゆくゆくひどい目に遭うこともある。
 我が国に平野は少ない。 それもすべて河口に広がるものだ。 それは何を意味するのかというと、堆積土砂が広がって平地を形成しているわけで、アンデス高地のように山を水平にスパッと切ったような場所とは違う。 つまり、日本の平地は河口付近や沼地跡の豊富な地下水を含んだ堆積層なので、殆どの都市部で地震時液状化は避けられない。 揺すられればそいつは必ず付いてまわる。

 免震構造なんていう “逃がし” の考え方はいい。 エネルギーをはね除けようとすれば無理があり、むしろ 「ひょっこりひょうたん島」 のような浮き構造から発想すればどうか。 実際に軟弱地盤上の構築物では不等沈下や揺れに対して沼地に浮かぶような考え方で設計しているものもあるだろう。
 地盤を固めて液状化しないように出来ないのかという人がいるかもしれない。 それは当該面積が広大すぎるし、人間の手が下せる地盤改良深さなどたかがしれている。 野山も市街地も全面に亘って水洗いで放射線物質を除洗するという途方もない話と変わらない。

 揺れれば液状化する上に生きているのだという認識がまず必要だ。 あとはプカプカ浮いて、それでも水平を保つという、クルマの賢い独立懸架や巨大天体望遠鏡の鏡面補正システムのような事が、住宅、ビル、公共施設らに取り入れられればどうか。 マンガみたいな話にも思うが、実際に研究はかなり進んでいるのではないのかなと想像する。
 それでも地中埋設のライフラインはフレキシブルでない限り甚大な被害は免れない。 特に下水道なんていうのは圧力で送っていく構造ではない。 ヘッド差のもたらす勾配のみが頼りなのだから、困ったものだ。