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中学生日記

 NHKの 「中学生日記」 が終わるようだ。 湯浅実の教師が懐かしい。 東野英心もやっていたなと想い出す。 子供達のTV離れなのか、あまりな長寿番組のためネタ詰まりなのか。
 大人への反抗もあれば、夢を持てずにどんよりと重い空気を漂わせる内容もあったように記憶している。 金八さん並にクローズアップして激しい突っ込みの部分はないにせよ、なるほど、日常ありそうな考え方や行動に苦笑いさせられるものも多々あって、なにかの拍子に当該番組に行き当たれば、そのままチャンネルを変えずに見ていたものだ。

 素人の子供達が主役だった番組はそれなりに新鮮味もあった。 TV放送業界の中にはこころよく思わぬ人々もいたそうだが、現在に見るAKBだのなんだのという48組あたりは、それこそ素人の学芸会一座ではないのか。 彼女等が途方もない売り上げをもたらすのは、そこが最大の “売り” であるからだろう。
 特別の才を持った別世界の者でない、ファン参加型の身近な一座。 その意味では大衆演芸に近いのかもしれない。 いい歳こいた太っちょオジサン達が選挙投票権欲しさにCDやDVDに殺到するというのを聞けば、下町の玉三郎が追っ掛けオバサンに万札レイを首に掛けて貰う様と似ている気がする。

 「けいおん!」 に見る子供達は、やがて成長していく娘達の一時期だ。 学園内の話とはいえ、彼女等も特別な異世界を求めるのではない。 学園祭の講堂ステージという極めて仲間内な場所が彼女等の檜舞台なのだ。 アニメ作品の出来の良さは横に置いておくとしても、やはり素人の身近さが大いにウケたのだと思える。 ちょっと見渡せばその辺にいそうな娘達。 同年代にとっては友達がアニメでギター弾いて歌っている感覚かもしれない。

 「中学生日記」 の終了は、放送形態、媒体の進化でもある。 ネット社会なれば、視聴者対象であった中学生自らが動画を撮影し、編集して自分をアピールする。 ブログで日記のようなものを公開して自分を顕示できる。 それらは殆どリアルタイムで可能だ。 そこに特別な世界は存在しない。 ありのままを表現するに、もはやTV番組としてわざわざ制作する意味がない。 番組終了決定は時代の要請でもあり、時代が 「無用」 と結論付けたのだろう。 それにしても、長く続いた番組だ。