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眼科へお迎えに行ってきた

 数日前、お袋さんから「目医者にいるから迎えに来い」と電話があった。後発白内障とかいうのが出たらしく、なんだかよく解らないが、白内障手術でレンズを入れた部分に濁りが生じたのだそうで、ああ、これはちょくちょく出る症状ですよと、いとも簡単にレーザー治療して貰ったらしい。
 綾波レイか呂蒙子明みたいに仰々しい眼帯でもされているのだろうと思いきや、何のことはない。三日もした後、再び電話がかかってきて、「嘘のように世の中が晴れ渡った」と喜んでいた。

 眼科に限らず、きょうびの医療現場には最新鋭のハイテク工作機械みたいなのが居並ぶ。CTだMRIだに仰天した昔が懐かしい。レーザー治療なんていうのもあっという間に終わる。なるほど、こんな世の中なれば、数時間で自分の顔形を変えて逃走するヤツもいる訳だ。

 それにしても医者という職は人体や薬剤だけ理解していても勤まらないように思えるハイテク医術の世界ではないか。大手術ともなれば勿論そのテの専門屋が付くのだろうけれど、日々の診察で「この医者ぁ、こんなややこしそうな機器、本当にまともに扱えるンだろうな?」と少し心配になる。まったくの余計な疑心なのだが、田舎の汚い診療所で飲んだくれ医者に赤チン塗って貰っていた幼年期のトラウマで、これはご勘弁願いたい。

 ただ最近は、医療機関窓口で健康保険証を提示しても、本当にあなたがこの当人であるのか生年月日を答えさせられたりするのだそうで、それが気に入らんと言ってお袋さんが怒る。そりゃあ悪用するヤツが多くなってきて困るから形式上だけでもそういう対処をせざるを得ないのだろうよ、となだめるものの、それじゃあ健康保険証なんぞ身分証明書にも何にもならないという事かい、と突っ込まれ、ぅへぇ、今日のお袋さんは鋭いな、と頭を掻く私。