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作物も受難

 お天気姉さんに「猛烈な残暑となるでしょう」 なんて平気な顔で事務的に言われても、ああそうかい、まだ暑いのかい、と真っ赤な太陽印オンパレードな週間予報を一瞥するのみ。

 しかしこれだけ降らずに焼け続けでは、まともに育つ作物の方が珍しかろう。だいたいナラの木が焼け枯れしてしまうのだから、畑地で肥料を貰い蝶よ花よと面倒見て貰ってるお公家さん並の作物などひとたまりもない。
 中には、陽の恵みが多かったので味も良い、というのもあるだろうが、海水温がやたら高くてこれだけ妙な天候だと魚も野菜も果実も、それらの多くにとって好条件であろう筈がない。

 なぜこんな所で南方の魚が揚がるのだ、というニュースばかりが目白押しで、ヒカリモンの青魚に混ざって網の中にケバい色の鑑賞魚みたいな旨くも無さそうなのが多くなると、網を揚げる漁師の人々も「今年はダメだな」だけでは済まないだろう。
 環境が変わればそれに合わせていくのが生物進化なのかもしれないが、数年で手のひら返したように進化できる訳ではない。徐々にではなく急激ともいえる環境の変化に対応可能な生物は極めて少ない。まずは今までの環境と似たような場所へと引っ越すのが手っ取り早いではないか。

 暑けりゃ奮発してエアコンでも取り付けちまえ、エコポイントはまだ利くだろう、などというのは人間様だけで、魚群も渡り鳥もそこに来なくなったというのは、こんなトコに居られるけぇ、とばかりにその場所を捨てたのだ。
 惑星衝突などの天変地異は、昼飯喰ってる間に環境がガラリと一変したも同じで、引っ越す暇もなければ引っ越す場所もない。多くの種はその場でお釈迦になるしかない。そんな世も末な出来事でなくとも、年々北極の氷が溶け、乾燥地帯の砂漠化は更に進み、毎年多くの湖が姿を消す。

 我が国の気象もさながら小規模な雨期・乾期のようになり、降らないとなれば壇を設けて雨乞い祈祷をせねばならず、降るとなれば南国のスコール並に集中豪雨をもたらす。これではいくら世話をしていても作物達には受難だろう。
 我が国の人間様も、今まで流行ったことのない伝染病に脅かされる可能性が大だ。エコだCO2削減だと宣うのも結構だが、ここまで平均気温が上がると病原菌のヤツは一挙にやって来そうなのだから、能なし政府にはそちらの対策もぬかりなく願いたい。