「しなやかに歌って」は山口百恵。阿木耀子の詞だ。竜童による「しなやかに」という部分のメロディがいつまでも耳に残るヒット曲になった。田中康夫が長野県知事に当選、就任した際に「しなやかな・・・」を連発して、土建族議員が席巻する議会から「意味解らん、そりゃどういうことだ」と喧々囂々突き上げられた。それは土建国家を脅かす「モノ書き人種」への理由無きアレルギー反応に見え、不謹慎ながら互いのやりとりが滑稽だった。
プロゴルフ界で王子様と並んでスポーツ紙の目玉となっている宮里藍。世界ランク2位だ1位だと、その実力の程には目を見張るものがある。そこで「彼女以来だ」と引き合いに出されるのが、あの岡本綾子。
岡本綾子その人とは知らず「アヤコ・オカモトを知ってるかい?」とかなんとか本人に質問する人の良さそうなアヤコファンのアメリカ人オジサン。微笑ましいCMだったが、これは全盛時の彼女が実際に経験した出来事だそうだ。単身米国で並み居る強豪選手達と競う日々であるプロ選手としては、嬉しくありがたい「ファンとの触れ合い」だったろう。
腰痛に悩まされながらも、岡本はその美しいスイングで世界を魅了した。今では夜のスポーツニュースに登場することもなくなり、あのような華麗とも言えるスイングを持つ選手を目にする機会はまずないのではないか。
ただ、あれを彷彿させるものがある。マリナーズのイチローだ。素人には難しい理論など解らぬものの、いずれも流れるような滑らかさに一切の無駄が無いかに映る。勿論、鍛えられた筋力あって為せる技に違いない。そうでなくば双方共にあれほどの飛距離は出まい。
しなやかで弾力ある鞭が音もなく払われるような動きは、演舞の如く見ていて「美しい」と感じる。そして、それはまたセクシーでもあるではないか。