迫るウクライナの大統領選に東西陣営は裏工作合戦で激しいせめぎ合いを展開しているらしい。 ワシらは一体どうなってしまうのかと、一般国民にとってはたまったものじゃない。 ソ連の重要軍事地域としての位置付けから独立したまではよいが、いかんせん長年擦り込まれて染み付いた旧共産圏腐敗の汚さは一掃出来ず、どうしようもない貧乏国から脱皮することはなかった。 だが、気の毒な話だと遙か遠くの出来事を眺めていると、とんでもない目に遭いそうではないか。
我が国はどうなのだ。 占領国家の傘の下、首縄付けられたまま 「先進国の仲間入り」 などと悲しい自負を懐いてきたものの、その実体は考え、行動することを抑制された腑抜け脳天気人民で成り立つ、おめでたい国に仕立て上げられてきたに過ぎない。 敗戦と同時に懐を差されたまま全方位に対して屈辱的外交を延々続けねばならぬ状況に、同じ敗戦国のドイツからは 「アンタんトコは隣近所にロクでもないのが多いんで、大変ですな」 などと言われる始末。 軍事大国の米・ロ・中がそれぞれ国内事情からいつまでもネコ被っているわけでもなし、それらが一斉に弓状列島を食い合いする行動に出た場合、今のウクライナの比ではなかろうと思われる。
「この国には有名な歴史的合戦地があるネ。 セキガハラで分けようじゃないか。 フジヤマとトーキョーはあんたトコにくれてやるヨ。 ロシアにゃホッカイドーぐらいくれてやればブツクサ言わんと思うヨ。 どうネ、これで手打ちといこうじゃないかネ、アメリカさん」
「おめぇな、最近ちとでけぇツラしすぎじゃねぇか? てめぇ馬鹿野郎、虫が良すぎんじゃねぇかよ」
「今までデカいツラしてきたのはあんたネ。 なんならやってみる? 明日にでもアンタんトコの軍事衛星撃ち落とす事できるヨ」
なんて会話が実際に行われていてもおかしくないだろう。 大国同士の殺し合いは避けたく、テンションを保ったまま維持したい。 おのずと取引材料が必要で、文句も言わず有能な技術を持ったそれを互いに分けて喰おうじゃないかという発想は当然携えている。 最終兵器を持って身構える事などないこの資源小国では、立ち回りだけで存続に努めねばならない。 どれをとっても講釈の通用する連中ではないのだ。
しかし、ただでさえギリシャ化している現状に不平不満を言う者もいないこの国では、たとえウクライナ化したとしても文句ひとつ言わず、黙々と 「オカミ」 の指図に従うのだろう。