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救出劇

 地下深くに閉じ込められた33人とその家族、関係者達それぞれの思いは、全員救命というこれ以上ない素晴らしい形で実を結んだ。国交断絶しているチリとボリビアのトップが並んで喜びの記者会見というのも、救出に成功した最近の技術のおかげだ。困難は山ほどあるのだろうが、これを機に徐々に両国の交流が始まれば最高ではないか。

 もう映画撮影が始まっているという商売根性には恐れ入る。確かに閉じ込められた人各々の人生模様、職場のあり方、有事に際した判断など、映画の題材には持って来いだ。構成や脚本にアタマ痛める必要がない。現実の出来事そのものがドラマチック過ぎるほどの展開だった。なにせ「全員救出」という喜びが前提にある。ハッピーエンドが分かっている物語のウケようはハリウッド中心に実証済みだ。人命救助の快挙記録としてだけでも値打ちがあるだろう。

 2000人を超す報道関係者で埋まった現場だったらしい。これがもしも中国奥地などでの事故であったらと想像すると大変恐ろしい結末も想定出来てしまう。100%の救出成功確率がなければ厳重な報道規制を敷くだろうし、全世界が固唾を飲んで見守るという事もない。都合の悪い状況は全て蓋をする政策だけに、下手をすれば見殺しにされかねない。

 それはともかく、人名を尊ぶのに国境はない。最高の結果を得た明るいニュースだ。