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球場観戦

 そこで言葉を濁してはいけない。 コミッショナー発言は筋違いで納得できない、と選手会長がきっぱり言い切ったのは正解だ。 ごにょごにょと訳の解らん気遣い発言でもしようものなら選手会の一連の行動が根底から疑われる。 本業ではさっぱりな選手会長だが、コミッショナーの今の在り方を公然と批判する辺り、よく言った、もっと言ってやれと僅かでも胸の痞えが下りる。

 一方、ファウルボールが当たったり、折れたバットの欠片が飛んできたりと、損害賠償訴訟が起きている。 新聞紙面にある球団側の姿勢とされる 「防御姿勢を取らなかった女性に責任がある」 という部分だけ見れば、「なんと冷たく突き放すことか」 の感情を懐く者も多かろう。 しかし、興行の主催者側とすれば 「客席に硬球が飛び込む球技である」 ことを承知の上で御来場いただいている筈だと考える。
 これら事故で不運にも怪我をされた方々は気の毒であるし、主催者側も誠意を持って対応しなければならぬと思うが、これを機に、球場へ足を運ぶ者はみな何を観戦に来ているのかを改めて認識しておく必要がある

 コンクリート団子みたいな硬球が飛んでくる球技なのだ。 かといって 「野球」 というくらいだから、ニワトリ小屋の中で金網デスマッチよろしく試合させるものではない。 強制収容所じゃあるまいし、そんなおぞましい球場なら誰も見に行きはしない。
 なにもライフル狙撃されるのではないのだ。 また、捕手や主審がファウルチップを顔面に喰らうような至近距離でもない。 最低でも頭を伏せるくらいの時間はある筈だ。 少なくともイン・プレーの間は飛んでくる可能性がある以上、極力目を離すべきでない。

 球場に行くのなら、そういう球技であることを踏まえた上で観戦すべきではないか。