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落とし処

 その方、間違ぅても遺恨ではなかろう、乱心に相異あるまい、そうであろうな?

なんてことを言い含める取調官の姿が目に浮かぶ。 たとえ 「遺恨である、周到な計画の上に謀った企てである」 と白状しても、「そうかそうか、やはり乱心であったか」 としてしまうのが中国政府の落とし処。

 だが、大使のクルマが公然と襲われ、犯人が当該国家の国旗を引き毟って逃げた事実は覆せない。 気の短い国ならば宣戦布告に等しいと騒ぎ立てても不思議でない。 「てめぇ馬鹿野郎ゥ、上等じゃねぇか」 と言えないならば、せめて 「あれはその程度の極めて危うい国なのだ。互いの公使を常駐させるというのも考えものである」 と国際的に表明、喧伝する必要があろう。 それが曲がりなりにも先進国の一員たる我が国の姿勢であり責務ではないか。