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死刑確定

 当時少年だった被告男に死刑確定となっても、喜びなどないと語る御遺族の本村さん。 この人にとって13年はあまりに長い。 犯罪者の被告は許せるものではなく、大勢の弁護団に恨めしさを感じるのも、凄惨な殺害内容からすれば、人々が自然と懐く感情であろうと思う。

 犯人が未成年であったという事ばかりが取り上げられた逮捕当時だが、殺害された奥さんも遺族となった旦那さんも極めて若い御夫婦だったし、その子供が叩き付けられて殺害されたという、聞くに堪えない残忍さが衝撃だった。
 残された本村さんは感情を押し殺し、理路整然と犯罪被害者の立場、その権利を訴え、語ってきた。 少なくともメディアの前ではそのように見えた。 そんな本村さんや世間の感情を嘲笑うかのような大弁護団のとった手法は完全に世論を敵に回した。 母に甘えるだのドラえもんだのを法廷で喋らせるに至り、橋下市長でなくとも 「こいつらは許せぬ」 と多くの国民が憎悪に近い腹立ちを向けて当然だった。

 鬼畜の如き連中は人様を殺めて逃げおおせるとでも思っているのか。 藤井誠二の著による 「17際の殺人者」 などを読んでも気分が悪くなる。 激しい怒りを覚えるからだ。 若いから、少年だから、の更生措置重視の法は被害者遺族から見れば屁理屈にもなるまい。 事件にまるで無関係なこの自分がそう思うのだから、被害遺族当事者たる人々にとっては仇討ちでもせねば心静まることなどないのではないのか。

 本村さんは22か23歳の若さで過酷な闘争に身を置かねばならなくなった。 その精神力、とりわけ 「被害者遺族の正義感」 を理性失わずして保ち続けたのには、ただただ頭が下がる。 我々はこの人に 「よかったですね」 とも言えず、掛ける言葉など持ち合わせない。