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愉快な総会

 阪急阪神HD株主総会でタイガースの試合采配にまで及ぶ吊し上げ、糾弾劇である。 当該株式会社の傘下にあるプロ野球球団の、しかもその選手起用、采配にまで言及し、「なっとらん!」 と監督降ろしを突き付ける株主様達。 勿論、彼等も熱烈なトラキチなのだろうが、つくづく面白い特異なファン気質だ。
 なさけない状態に物申すのなら仙台のイーグルスもハマのベイスターズも同様である。 しかし、それら球団では株主総会で試合采配の不手際や監督能力へのダメ出しといった突き上げをここまで喰らうことはない。 あればスポーツ紙が面白可笑しく書き立てている筈だ。

 無能な経営、業績悪化に荒れまくる総会でないのは平和であるし、役員にも株主にもけっこうな事だ。 それだけ儲けている証拠でもあろう。 チームの弱さが業績低下に直結するのだからして、試合運びのマズさは放っておけん、という理屈をつけられぬ事もない。 が、阪神タイガースという球団に限っては、それはあてはまらない。 いくら弱くとも客だけは入るのだ。 経営陣にとってこんなありがたい客はない。

 儲かっているのは分かっているのだから、経営手法に難癖付ける気はさらさらない。 それよりは一人の熱狂的トラ信者として、我が身内のようなチームの不甲斐なさにひと言でも叱り付けねば、煮えくり返るはらわたの持って行き処がないのだ。
 ワシらがこんだけ応援したってるっちゅうのにやな、なんやあの真弓は、ベンチでヘラヘラ笑いおってからに! なんで金本やねん、よう投げんよう打たんのがなんで毎回先発じゃ! お前ら、ホンマに勝つ気でやっとんのか!・・・・・・・

 早い話が、真弓監督不信任案。 それを擁護するオーナーにも同じく不信任動議である。 ちょっと退いて見れば苦笑も出る株主総会だが、はからずもわき起こったという会場内拍手は何を物語る。 平田の首を切り真弓を残した球団への、これがファン株主の総意ではないのかとも思えるのである。 これでは球団社長も平謝りするしかなかっただろう。 考えてみれば愉快な総会である。