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党を連想させない男

 その時代に “千両役者” と映る議員がいる。 予算委等で政府なり与党なりの疑惑を突く 「追求のエース」 とか称される議員である。 ロッキード事件などの疑惑追及に於いて顔を売った社会党の大出 俊、共産党の正森成二、社民連の楢崎弥之助ら。 そして今や自民党の西田昌司がそうである。

 のらりくらりとごまかしながら躱すのが追求される側の手法なのだから、強力カードの手持ちは無論のこと、追い込みと畳み掛けに腕がなければ逃げられてしまう。 有名な敏腕刑事 「オトしの八兵衛」 こと平塚八兵衛刑事のような力量が追求側に期待される。

 疑惑が取り沙汰されれば国民は当然怒る。 それを白日の下に晒せと声を上げる。 証人喚問だとなれば仕事放っぽりだしても国会中継に聞き耳立てる連中が増える。 弾劾裁判の如く容赦無き追求を望むのである。 そこで質問に立つ「 追い込み屋」 は誰なのだとなる。 大出や正森だと知るとそうかそうかと安心し、聞いたことのない議員であれば 「そんな奴じゃダメだ、大出呼んでこい」 と落胆の色を隠せない。

 程度は分からないが、今の西田昌司もそのような期待を受けているのではないだろうか。 自民党といえば今まで与党でしかなかったために、そのテの色合い議員も党内にいるのかとの新鮮味がある。 正直なところ、西田の風貌はどう見ても自民党を連想させない。 そのオーラはかつての大出や正森である。 これがもし政権交代で自民党が与党に返り咲きとなった場合、西田だけは野党に置いておけという冗談も飛び交いそうだ。

 面白いと思うのは、西田の経済論だと公務員給料を下げてはならんというのであるらしい。 いわゆる公務員人件費擁護派の先鋒であるようだ。 その点は旧態自民党色そのままで、ああなるほどこの男は自民党員だったなと、妙な風に納得する。
 ただ、世論の大半は公務員人件費削減で揺るぎなく、その中で国会追求の千両役者なのだから、スター・西田を見る国民の視線、幾分かの変化を余儀なくされるかもしれない。 それも人気者の宿命だろう。