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ああ野党第一党

 この前の参院選で勝利した自民党はどこにいるのだろうかと暫く捜さねばならない。与党民主党の代表選騒ぎにマスコミが乗っかり、野党各党の影はどこにもない。もっとも、公明党辺りは池田親分から「オザワ君に協力を惜しむな」なんていう御命令を受けているかもしれないのだが。

 安倍-福田-麻生という自民党急下降時に小泉純一郎が漏らした言葉が、「党内にはっきりした抵抗勢力がないと苦しい」というものだった。その点、民主党という政党は各方面からの寄せ集めから出来ており、少しの外力により容易に二分三分となる脆弱性を持っている。鳩山坊ちゃまの訳の分からん“お小遣い”もそういったピースの貼り合わせ接着剤だったのではないのかと勘ぐってもみる。

 真相はトロイカやその周辺だけが知るにせよ、小泉の言う「党内抵抗勢力」だけを取り上げれば、それにまったく不自由しないのが民主党という政党であるのは間違いない。現在は与党でもあり、マスコミには格好のネタで、騒いでくれれば野党各党の影をかなり薄めてしまえる。
 一部の報道にあるように、政局と裏工作の小沢一郎が表に立つ今の状況は、やはり本人が外堀を埋められたからだろうとは思えるものの、その結果、注目を一身に集めることによって憎っくき自民党に発言の機を与えず、人民の脳裏からその存在を薄れさせる展開になっているのは、画策したものではないとしても悪い気分ではないだろう。

 情けないのが自民党で、参院をひっくり返せたというのに国民にまったくアピールがない。賑わしたのは森喜朗の息子が間抜けな事故を起こしたとか、参院会長選で中曽根弘文が谷川秀善と同票だったとか、やれ造反だの裏切りだの派閥退会だのと、自民党支持者が聞けば「お前達はこの2ヶ月何をやっていたのか」と怒れる要素ばかりだ。こんな調子ではとてもじゃないが解散総選挙に追い込めまい。野党第一党としての理路整然たる対抗案など出せそうにないではないか。

 小沢総理になれば突ける部分もまた増える、とでも考えているのだろうか。だとすれば、それは甘すぎる。国会を紛糾させ、遅延行為を繰り返すことは出来ても、したたかで用意周到な上に権力を握った相手を追い詰めるのは並の力量では為し得ないだろう。旧態依然の派閥を温存しては互いに疑心暗鬼に右往左往している現状では、政党支持率の上昇など夢のまた夢。