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INDEX Ⅱ 第7話

ファイル 56-1.jpg 押っ取り刀で駆け付けた当麻君の千両役者ぶりは、黒子をしても類人猿呼ばわり出来そうでない。ああ、また助けてくれるんだと、急激に膨らむ喜びが美琴の緊迫した表情に紅をさす。なんと可愛らしいレールガンであることか。いつもとはやや異なるキャラの作画ながら、思わず泣きそうになるのを堪えるこの美琴は絶品。 彼が私を捜してくれていた、私を手助けしてくれる、それはなにものにも代え難い支え。この一瞬の彼女は物騒なレベル5ではない。愛しの彼が差し伸べてくれた手の温もりに胸熱くするただの少女で、これこそがお姉様の魅力である。

 超能力は人間の特権能力ではない筈だと包帯サラシ巻き女・結標淡希は語る。然り、人間以外の獣や鳥や虫にこそ我々には理解出来ぬ能力があるように思う。魚の脳がどれほどのものか知らないが、鮭がその生まれた川に遡上してくるのははたして記憶能力だけによるものなのか。ネズミやヘビや鳥が地震や噴火の予知に長けているとされるのは何故か。今の科学では超能力として片付けられてもおかしくなかろう。
 それはさておき、脳を持たぬ非有機体物質にプログラミングをもって相応の同等能力を与え得るというこの女の話は面白い。この作品ならではのサイエンスアプローチではないか。もはや科学と魔術の境界は混沌としており、超能力という視点から見れば明確な線引きは出来かね、それはあたかも相対論の如く、どの分野からの研究によっても目指すコアの真実に間違いはないように見える。科学と魔術の融合はなにやら特異点の解明を試みるに似たり。

ファイル 56-2.jpg 能力は能力、それを操るも生かすも殺すも人格次第。物事の理を闘わせて白井さんに勝てる訳がない。サラシ女がたじろぐのは道理を覚えず芯を持たない脆弱さ。さすがのジャッジメント・白井さん、窮地にありながらも冷静さを欠かない。テレポート出来ないからには肉弾戦。フロアスタンドでぶん殴りにかかる勇ましさに拍手喝采である。
 危機一髪を救ってくれた人の腕に抱かれ、その目に映ったのが類人猿の殿方だったのはいささかショッキングな事実だったろう。見舞いに来てくれた恩人の横っ面をなにもひっぱたく事もなかろうにと思う一方、気の毒な当麻君はとことん間の悪い人間であるらしいのがここでも描かれており、妙な安堵を覚える。至近距離の銃弾から守ってくれたのがお姉様であるのを黒子は知ってか知らずか。少なくともお姉様の闘う世界を知ったのは貴重な事件だった。

 刺々しく、およそ子供の相手などしそうでないアクセラレータと、屈託ないラストオーダーが同居する空間、この取り合わせは実にいい。今後の両名のやりとりに、ミサカはミサカは期待してみたり。

ファイル 56-3.jpg

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