記事一覧

日韓

 アジア杯の日韓戦は白熱のゲームだった。圧倒勝ちというのがない強い相手だけに、いつも韓国戦は見終えるとどっと疲れが来る。やたらホイッスルばかり吹かれてしまうと解説者は嘆き気味だったが、偏りさえなければ少々厳しくともルール上の判定なのだから、それで良いではないかと思う。
 日韓両チームのプレーには “小狡い” 動きが目に付かない。あからさまにファウルを誘うというのも戦法ながら、自分はそういうプレーを好きでない。小狡いちゃちな野郎だ、と見てしまうのだ。力負けなら力負けでもいい。レフェリングの厳しさも手伝ってか、双方共に気色良い試合運びに思えた。
 
 キ・ソンヨン選手がPKを決めた直後に猿まねのパフォーマンスを演じたのだそうだ。観客席の旭日旗が目に入り、我が胸に込み上げるは涙であったという事らしいが、それはまた大袈裟な話ではないか。この選手のお爺さん世代ならばまだしも、日韓の文化交流がこれほど頻繁な世に生まれ育ち、なおも続く反日教育のガチガチ固めに、日本は仇、日本との試合は戦争なのだという訳なのか。もしもそうであるならば、世界で活躍するプロ選手としてその精神はあまりに不幸だろう。

 国会で議長がどつきまわされる事態が茶飯事なお国柄だと片付けてしまうのでは韓国国民に失礼だ。我が国を含め中国も北朝鮮も、その日を細々と生きている庶民は同じ似たようなものではないのか。互いの国家を非難罵倒し合うのは坊主がけしからんのであって袈裟の端々まで中傷するのではない筈だ。

 真逆に、JR新大久保駅であのイ・スヒョンさんが亡くなって10年のこの日、偲ぶ会が開かれた。日韓の懸け橋になりたいという意志を持った真面目な好青年は、ホームから落ちた酔っぱらいを助けようとして日本人の関根さんと共に若い命を散らせた。今想い出しても胸の痛む出来事だった。この日の会見でイ・スヒョンさんの御両親は亡き息子の志を大切にしたいと語った。恨み節ひとつ口にするのでもない、日韓の架け橋が息子の夢であったのだと。この御両親に頭が下がる。
 アフガンで現地農業指導に就き、武装グループに殺害された静岡の伊藤さんの悲しい事件が頭に浮かぶ。この人の親父さんも語っていた。 「よく頑張ったと息子に言ってあげたい」 

 旭日旗に感情が昂ぶったというキ・ソンヨン選手とは異なる意味で、胸に詰まるものがあるではないか。

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://www.yotchn.com/diarypro/diary-tb.cgi/79

トラックバック一覧