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電子書籍

 どうにも世の中は鈍感で時代遅れな感覚だと感じざるを得ない。電子書籍端末がまたまた新たに登場だとニュースで取り上げられるのはともかく、有名作家の作品にBGMを付けるだのイメージ映像を組み込むだのと、UFOにでも出くわしたかのように大袈裟なパフォーマンス報道には幻滅の至り。

 考えてもみよ、デジタルノベルというやつは遙か10年以上前既に氾濫していたではないか。シミュレーションゲームから派生した素人作のそれは一端のシロモノだった。幾多のアマチュア作家達は物語を練り上げ、自分で絵を描き、自分でBGMまで添えるクリエイターだった。今更電子書籍に驚く輩の気が知れない。
 この自分でさえそう思うのだから、ゲーム愛好家の人々から見れば、何をそんなに騒ぐのかという感覚ではないだろうか。ストーリーを持ち、登場人物達がキャラ立ちし、感動に泣かせもするゲームは掃いて捨てるほど積み上がっている。彼等にとってそれらは売れっ子小説家の書く物語に対してどれほど遜色があるだろうか。

 かつて Microsoft のOSが Win95 になってようやく Mac と併走出来る操作性だと思えたように、出版界もやっとこさここまでになったのかなという思いはある。確かに端末の処理能力、ネット速度の向上あってこその今には違いない。 それでも、紙媒体以外で書を読む行為にそこまで芝居じみた驚異の表現をせずともよいではないかと、アタマの後ろをポリポリ掻いてしまうのだ。

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