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街の声と世論調査

 まぁ、こんな大変な時ですからね、助け合うって言うんですか、私達もそりゃ少しは我慢しなくちゃいけないと思うんです・・・・。

 大手メディアの流す基本的な “街の声” というやつである。 この際だから復興のための増税は仕方ないですね、というのが世論調査結果で多数を占めているのだと、まず第一にそれを報道のアタマに持ってくる。 「増税やむなしと国民は考えているのである」 との御旗を高々と掲げる。 癒着利権構造の牙城、絶対死守に努める連中にとって思うがままに事は運ぶ。 国が沈みかけている難事に、根本的な悪しき要因に触れもせず、おめでたい話である。

 これが街頭インタビューの結果ですと流しまくるTV報道ほどいかがわしいものはない。 真っ昼間の街中で忙しくもなさそうにプラプラ歩いているオバチャンを取っ捕まえて 「御意見頂戴」 などとやったところで、国家やら外交やら国防だの利権汚職だのを日頃から考えているような人種でないのは明らかだ。 物価下げてくれりゃいい、旦那の給料上げてくれりゃいい、程度が彼女等の世界だろう。 それが大衆の声で御座いますと言わぬばかりに報じる様は、芸能人の浮気話も尖閣諸島・竹島侵略も何ら区別無い議論扱いで、間抜けな毒素を国民に撒き散らかすだけの行為だ。

 小沢一郎の弁ではないが、世論調査というのも、ある程度は誘導尋問的側面を持つだろう。 三択なり五択なりでひとつ選べという質問では、「お前、その質問の仕方はおかしいだろうが」 という声も多いと思われる。 もっとも、短時間で集計しておおまかな傾向を掴むだけの調査なれば、ややこしい斜めからの突っ込みをいちいち受け入れたのでは調査する側がたまらない。
 要はその程度の調査でしかないものの、トップニュースで報じればそこに重みが加えられる点がミソなのだ。 だが実際はその主要問題の背景なり裏側なりに言及した問い掛けは一切なされない。 何を隠そう、彼等は御用メディア故に、オカミに都合悪い質問内容の世論調査はタブーだからである。

 政府の原発事故対応は適切であったか? という投げ掛けはしても、情報の出し渋りと初動対処不手際の第一原因はどこにあったと思うか、次の中から選べ、などという調査はしない。
 責任のなすり付け合いだったのか、政財官によるズブズブダラダラな癒着利権構造を守ろうとしたのか、或いはまったくの能無しばかりだったからか。 それらが世論調査データとして表立ち、夕方のトップニュースで全国民に報じられたのでは困るからである。

 戦争へ戦争へと世論扇動に傾倒し、挙げ句は大本営の嘘八百報道機関に堕落した当時から少しは学ぶものを得ているのかと疑問を懐く。 原発事故に至る責任は一体どこにある、例によって政財官のうやむやで誤魔化しなのか。 過ぎてみればどこも責任取らず、それの追及も無いまま、今やメディアはなりふりかまわず増税へ増税へと煽るかの論調ではないか。 当該の政財官に罪はないのか。 まずお前達が身ぐるみ剥いで国の出費を極力抑えに努めるのが先ではないのか。 それとも不始末責任は国民にありとでもいうのか。
 いつの時代も国家中央からの圧力はある。 だが国民のためのメディアを自負するならば、オカミの顔色伺いな姿勢はいい加減に改めねばならない。 腰のない業界にも少しは正義というものがあるだろう。

タヌキとヒゲおやじ

 10日ほど前だろうか、出くわしたタヌキを捕まえてやろうとしてお袋さんに笑われた。
 お袋さんと買い物の帰り、我が家近くの道でタヌキが飛び出してきて側溝の中へ入った。 蓋のないU字溝だが畑への乗り入れ箇所は埋設のヒューム管になっている。 φ300 とおぼしきその中に潜り込んだ。 あんにゃろうめ、ウチの畑へも入って好き放題荒しぁがった奴に違ぇねぇ、叩きゃホコリの出るヤローに決まってらぁ、ここで出会ったなぁ百年目、覚悟しぁがれぃ、とばかりにクルマを停めて忍び足でヒューム管に近付いた。

 どうしてくれようか、お袋さんは戦力にならないし出口は二つ。 片方に何か詰めて塞げればと思うものの、妙案はない。 そうこうしていると上流側から飛び出しやがった。 あ、てめぇ、コノヤロー! と小石を投げても当たりはしない。 こちらの間抜け面を嘲笑うかのようにふくよかな腹をボヨンボヨンと波打たせて藪に消えた。 実にけたいくそ悪い。
 一部始終を助手席から眺めていたお袋さんは大笑い。 そんなもの、出くわした一匹捕まえたところでなんにもなりはしない、相手はどれだけの数だと思っているのかとカラカラ笑う。 確かにおっしゃる通り。

 アルカイダのビンラディンが消されたというニュースを聞くに、あの日のタヌキとお袋さんの笑い顔がぶり返される。 ヒゲおやじ一人消したところでどうなるのだという思いがある。 麻原を取っ捕まえて上九一色の施設を排除してもオウムの連中はゴキブリのように残存する。 仮にダイサク爺ぃが天寿を全うしたとしてもなんたら学会はそれを更に神格化するだけだろう。

 米国民の熱狂ぶりは少し解る気がする。 彼等にしてみれば自国本土内が建国以来初めて急襲された 9.11 だったのだから衝撃も大きく、報復への欲求は当然だったろう。 今の平和ボケ日本にしても、東京をはじめとする主要都市のどこかで何千人という規模の死者を出すテロに遭えば、世論は一挙に軍備増強だ報復だ仇討ちだとなるのは火を見るより明らかではないか。
 もっとも、そういう種を蒔いた大国のエゴと傲慢姿勢は否定できない。 世界の覇権を握るため、瀕死の弓状列島に必要以上な核爆弾までを使用した。 我が国の国益に添う行為は全て正義なのであると、世界警察を気取ってはいけしゃあしゃあと 「核を使っていいのは我が国だけだ」 とでも言いたげなスタンスが国家スピリッツだとするならば、傲慢大国の屁理屈もここに極まれり。

 ただ、あの国には日本よりも幾分マシなジャーナリズムがそれでも存在し得るかに思う。 異色のドキュメンタリー映画を作る 「華氏 911」 のマイケル・ムーアなどは政界や大企業にとって煙たかろうし、9.11 同時多発テロは仕組まれた政府の陰謀だと主張して止まぬ人々もいるらしい。 いいに付け悪いに付け、一見突拍子もない主張まで世の中を賑わせる。 アポロ計画を遂行した国で 「Capricorn One」 のような猜疑に満ちた映画が作られる。 自分が肺ガンになったのはタバコ販売を容認している国が悪いのだから補償して慰謝料よこせと訴えた奴もいる。
 公民権運動家の黒人牧師も若き大統領さえも、都合悪い者はみな撃ち殺してしまう国だけに、まずはオカミを疑って掛かり、主張したいことは周囲の嘲笑を買ってまでもやってしまう土壌があるのかもしれない。

 我が国を振り返ればどうなのだ。 議員報酬と公務員人件費をとにかく切れと、ここまで庶民が叫んでいるにもかかわらず、その件に触れることタブーと言わぬばかりに貝の如く口を閉じ、話題にも挙げぬ日本の新聞・TVなどは所詮揉み手の御用メディアでしかない。 気骨のジャーナリズムは存在し得ず、その独裁体制を卑下してきた中国などと実は何も変わらぬ有様である事を、一体どれほどの国民が自覚しているだろうか。

 アルカイダの報復行動はあるだろう。 それなくして彼等の存続意義はない。 我が国にも及ぶのかどうか、用心に越したことはない。 タヌキ一匹捕まえたところでお山にまだどれだけいるのか知れたものでなく、畑の作物は我が手で守らねばならない。 元はと言えば国策のみみっちい補助金に踊らされてお山を “杉畑・檜畑” にしてしまった人間のせいではないか。 世界の縮図が田舎にも見て取れる。

「まだ足りない」

 東電が打ち出した役員報酬50%削減などについて、経済産業相が 「まだ足りない。世論や国民感情も考えていただきたい」 と更なる削減を求めたらしい。
 元が半端な高額報酬でないだけに、国民感情としては確かに 「まだ足りない」 のではあるが、では、国も補償責任がある以上、お前達国会議員報酬は据え置きなのか?  国家公務員人件費も5~6%削減でお茶濁しなのか?  との腹立ちも同時に湧き上がる。
 とどのつまり、政府、省庁、東電による利権腐食のツケを国民に対する増税で済まそうという卑劣な腹が丸見えで、更には 「悪いのは東電だけ」 と言いたげな発言は政府の責任逃れ以外なにものでもない。

 親方日の丸な東電などは、経産相の言うようにもっと報酬削減すべき。 しかし、その事によって自分達に降り掛かる火の粉が少なくできると政府が目論んでいるのであれば、それはとんでもない間違いである。 国民はそれほど甘くはない。

身を正さねば

 復興のためには第一に消費税増税、との論調はどこで仕掛けているのか、 大手メディアは扇動役を買っているように見える。 この際だからそれいけやれいけでやっちまえという動きはいただけない。 ヤマモトヨーコじゃあるまいし、それゆけ音頭でそう易々と増税を謳われてはたまらない。

 まず国会議員と国家公務員人件費の削減をやりましょう、と言っている連中が国会内でどれほどいるのか。 せいぜい渡辺のトコぐらいではないのか。 それをまずやらずして増税だ増税だと説くのは本末転倒だろう。 やがての増税は仕方ない。 それは誰もが承知している。 震災復興のためにみなさんはもっと多くの税金を納めて下さい、私らは相変わらず高額給料で税金を貪らせて貰いますよ、というのでは 「てめぇら、そのうち殺されるぞ」 と憤怒の刃を抜く輩も少なくなかろう。

 実際の話、国会もお役所も、それこそ国民の空気を読んで身を正さねば、やがてはよからぬ大事件にでも繋がりそうな恐れがある。 民衆の我慢にも限度というものがあるだろう。 ムシロ旗があちこちで揚がるうちはまだいいが、一部の思慮薄き国民がテロに走りかねないではないか。 大戦前の暗黒時代だ。

 携帯非常食の乾パン囓りながら遺体捜索に当たっている最前線の自衛官まで給料下げよとは言ってない。 全体プールで2割切れと言っているのだ。 国会議員など3割切ったところで政治活動に支障が出るとは到底思えない。 当然ながら地方公務員人件費も準じて切るべし。 これもプールで考えればいい。 一家四人、年収300万そこそこで生活している人々も多くいるのだ。 未曽有の国難ですが私らはそのまま高給貰い続けますというのでは、そのうち役所の建物にダンプで突っ込む奴等も出てこよう。 そうなったのでは火事場泥棒どころの騒ぎではない。 全国規模で治安は大いに乱れまくる。 そういう種を蒔いているのが中央政府であり国会である事を自覚すべきだ。

太政官布告みたいに

 この国難にハラキリ出来る奴が政界にいないという現実は、我々にとって最大の不幸である。 事が一段落したら打ち首だろうが釜茹でだろうが好きにしてくれという気概がない。 故に何ひとつ案も出せず先導も出来ず、知恵を下さいみんなで議論しましょうと、訳の分からん臨時組織ばかりあちこちに作りまくって、にっちもさっちもどうにもブルドッグだ。 (かなり古いな)
 こういう事態の場合は、無茶とも思える強引さもある程度必要ではないか。 自販機とパチンコ屋の電力消費をやり玉に挙げた都知事などは、元々過激な発言を売りにしている知事とはいえ、ある種の信念がそこに表される如きもっともな御意見ではなかったか。 パチンコ屋など百害あって一利無しだ。 バカ親が駐車場のクルマの中で赤子を煎り殺すだけの施設ではないか。 国民がより一層阿呆になるだけのお遊戯だろう。
 
 「過多なゴルフ場無用論」、「ゴルフ場農地換地論」 を提唱する自分としては、今こそこの有事のついでに土地に関する法律改正を成し遂げてはどうなのだと思う。 ただでさえ中国マネーが我が国土を買い漁っている現状なのだから、外国人土地法を筆頭にこれは急務でもあるという焦りすらある。

 何度も言うが、国土面積の割に存在する我が国のゴルフ場数は、その比率、世界で群を抜いているのではなかろうか。 全国で 2,000 を越すゴルフ場があるそうだ。 何も生まないただの芝生だけなエリアはなんとも勿体無い。 こんなもの全部要らん、と言えば宮里も石川も困るだろうから、ランキングで格付けしてしまえばいい。 明治の太政官布告のようなものだ。 有無を言わさず全国の神社に格付けしてしまったあのとんでもない暴挙である。 それを敢えて今、ゴルフ場に布告するのだ。 2,000 以上あるのなら8割方無くしたところで差し支えなかろう。

 下位ランクにされたそこは、有事の際に国家が強制的に一時没収出来るとする。 鉄道はないが道路はある。 仮設住宅敷地にでも何にでも使えばよいではないか。 勿論、持ち主企業の猛反発はあるだろうし、政治屋の利権も絡んでいる。 そこに強行性が必要になる。 有無を言わさずやってしまうのだ。 グダグダ言う奴は固定資産税を現行の5倍くらいむしり取ってやればいい。 こうなれば中国やヒットラーよりひどい話ではあるが、狭い国土の有効利用に遊び地の活用は欠かせない。 なにせ造成する期間、費用が随分助かる。

 地球観測衛星 「だいち」 からならよく分かるだろう、殊に関東の首都周辺は虫食いだらけの土地になってしまっている。 また、ああいう施設は農地のように人間が口にするものを作っているわけではないから、毎日どんな薬剤を撒きまくっているか知れたものではない。
 千葉、茨城なんて県には合わせて300近いゴルフ場があるそうではないか。 県の土地利用に関係してきた連中もちょいとアタマおかしいのではないのか。 和歌山のようなド田舎県でも20程あるのだから、宮城と岩手合わせれば優に50以上はあるだろう。 広いフェアウェイに片っ端から仮設住宅建てまくればいい。 電気と水道だけ引っ張ればガスはプロパンでいい。 敷地内道路は現存の管理道路をちょいと広げてやればOKだ。 スーパーやコンビニの仮店舗ぐらいも出来るだろう。

 居酒屋噺の夢物語には違いないが、永田町や霞ヶ関は少しはそういうとんでもない思い切った発案が出来ないのかと、一向に進まぬ復興対策に苛立ちを覚えるのだ。

鬱陶しい

 体調は悪くないのにこの鬱陶しさは何なのか。 被災された方々に言わせれば 「お前達が何を言ってる」 となるのだろうが、肩首の辺りに鉛板をぶら下げられたような煩わしさ。 明日に向かって解き放たれる開放感を欲しているような、妙な感覚だ。 なんなんだ、このせいせいしねぇのは、と自分に毒突いてみる。
 大震災の壊滅的被害による無情さか、無力感なのか。 いや、そうではない。 天災の計り知れぬ規模を前にすれば地球の営みと喧嘩したところで勝ち目などないと、それについてはとうに白旗挙げている。 なにあらん、我が国はここまで腐敗、堕落してしまっているのかという失望、どうやらその辺りらしいのだ。

 福島原発の事故対処だけはいただけない。 無知、無能、無責任と保身。 世を欺き続けて利権を貪り続けた果ての事故惨状に、隠蔽で誤魔化しきれるとした結果が取り返しのつかぬ惨劇となった。 あきらかに人的過ちの二次災害だろうし、代償が大きすぎる。 被災地は地震、津波の上に決定的な追い打ちを掛けられ、それはまた風評被害を含めて数ヶ月、数年で取り返せるとは思えないだけに、甚だ深刻だ。
 「たら・れば」 を言ってもしょうがないのはスポーツ競技の世界だけで、原発事故対処のそれはまさに痛恨。 多くの人命に関わるからには 「たら・れば」 の当事者共に掛かる責任は極めて重大だ。 初動処置で防げたであろう悪化の食い止めは、公的配慮無しで保身に走った私利私欲に打ち砕かれた。

 最悪の事態が充分想定される中で米の手助けをなぜ断ったのか、そこまでして隠さねばならぬ問題の根源が何であったのか。 いずれ白日の下に曝さねばならぬ。 挙げ句にはどこへも連絡無しで放射線物質の水をしゃあしゃあと垂れ流し、「苦渋の決断」 などと取って付けた猿芝居である。 その結果がこのザマで、漁協はオトシマエ付けろと怒鳴り込み、国際社会からは厄介者扱いされ、西の大陸や半島には余計な 「付け入る隙」 を進呈してしまった。

 癒着の天下り軍団・東京電力は言うに及ばず、永田町、霞ヶ関の政府、中央官庁に於いて、国難に対する姿勢がまったく見えない。 国民が 「信用出来ない」 とする情報の出し方は、自分達の保身、延命がまず先にあるからだろう。 責任を問われるのは火を見るより明らかなだけに、少しでも有利な情報の出し方へと操作に余念がないように見える。 結果、振り回され、とんでもない人的被害を被るのはそこに住み、そこに生活の糧を持つ国民である。

 莫大な復興費が目前に迫っている現実にも平然たるものだ。 国家を挙げてなんとかせねばならぬ事態に、とりあえず体裁悪いので議員報酬から一人頭300万だけ一時金としましょう、国家公務員は5%の人件費カットにしましょう、では国民を鼓舞することなど出来ようか。 どこまで根性が腐っているのかと怒りを禁じ得ない。
 地方政策方針の是非はともかく、各地方の人気首長達が大衆支持を得ているのは、税金である自分の報酬を真っ先に削ってその姿勢を示したからだ。 税金であるお役所内の経費削減、人件費削減に努めたからだ。
 我が身可愛さで情報を出し渋り、体裁付けだけの議員報酬半年カットでは国民の誰も納得せず、不信感を膨らませるばかり。国の中央を司る者共の 「姿勢」 の問題なのだ。 国家公務員の人件費も大ナタ振らねば知らぬうちに元へと戻っているだろう。
 今更マニフェストもクソもない。 国民があれだけやめろと騒いでいるにもかかわらず、この有事にもそれをゴリ押しする様は、国費をバラ撒いて票田にしがみつく横領行為ではないか。 この人心柔和な列島に核ミサイルぶち込まれても、こやつらは自分達の票田保護だけに動いているのだろう。

 自民党もえらくおとなしい。 それもそうだろう、自分達が長年に亘って育んできた癒着腐食の構造が生んだ重大な人的災害だ。 あれはいけなかった、根本的な構造改革を、と大声挙げる自民党員は一人でもいるのか。 この機に乗じて政権転覆しか考えていまい。 森だの古賀だのといった古狸がウロウロし始めているのを見れば、自民の中堅若手議員共にはやはり何の発言力もなく、政権に胡座かいて利権汚職だけが仕事だった昔のままだろう。

 壊滅的被害の大震災・大津波。 その上に国際的信用をここまでなくし、泣きっ面に蜂ではないか。 一体誰が悪いのか。 そんな国会議員しか選べぬ国民が愚かなのか。 そんな役人共が蔓延るのを笑って見過ごす国民が馬鹿なのか。 一億総白痴か。 毎夜のニュースを見る度に虚しく沈鬱な気分になる。


 ええい、どうにもせいせいしない、とばかりに水樹の奈々様を幾つか聴いてみる。 少しばかり気が晴れる。 「夢幻」 ってなぁ難しそうな歌だな、こんなのカラオケで流暢にやってのけるトーシロの女の子、そんじょそこらにいるんかい? なんて思ってみたりする。

 ついでに 「WHITE ALBUM」 のアニメを見る。 やっぱしよォ、理奈ちゃんって、ええコだよな、ウジウジしねぇしよォ、などと呟く。 しかしなぁ、コワーイ弥生ネェさんも棄てがてぇわな、ああいうネェさんとメイク・ラブでヒィヒィ言わしてぇモンだ・・・・。 いつの間にかドスケベな日常に戻っている自分がある。 アニメはこんな時、それなりに良薬でもあるらしい。
 

それでも花は咲く

 避難所の人々のために一刻も早い仮設住宅が必要だ。 この際、被災地の高台に大規模造成してしまうのが一番いい。 校庭や公園を利用するのも手っ取り早いが、必要面積の桁が違う。 首相はエヘラエヘラ笑いながら避難民を見に行っている暇があるなら、強権発動でさっさと造成指示でも出して全国の重機屋を掻き集めて貰いたい。 首相も駄目なら取り巻き連中もさっぱり役立たない。 今どういう人間と資機材が必要とされるのか皆目分かっていないようだ。
 食料届けるのも炊き出し支援も大事だ。 だが、人間が生き長らえるためには喰って排泄せねばならん。 トイレがないからメシも喰いたくないという人が多かろう。 そんなものはスコップ持ってその辺で済ませてしまえというのは達者な者に通じることで、歩くのもままならぬ高齢者が圧倒的なのだから、早く対処せねばならない。 衛生管理は二次災害防止の鉄則だ。

 原発に関して政府には意図的な隠蔽があるだろう。 TVメディアやネット情報の方がはるかに先んじているのを見れば、少なくとも国民の大半はそう思っている。 それにアワ喰って後出しで 「実は・・・」 というのがいかにも多い。
 それだけでもなさそうだ。 実際、ろくに現状把握出来ていないのだろう。 なんでもかんでも自分の目で見に行きたがる首相などは、情報を吸い上げる術など何も持たないド素人だと非難されて当然だ。


 身元不明なまま多くの遺体が埋葬されている。 墓標はアルファベットと数字による番号だ。 やむなき事とはいえ、報道写真を見るのも辛い。 先の大戦では本土爆撃開始以降こういった光景がおそらく毎日のように長く続いたのだろう。
 どのような場所に埋葬されたのか知らないが、やがては当該被災地の山にも桜は咲く。 何事もなかったかのように花が咲く。 アルファベットと数字がその人々の戒名だとされても、どうぞその魂は青空に咲き誇る桜花を見上げて下されと祈りたい。

こいつらで大丈夫なのか

 事が重大事故だけに、ノムさんみたく 「バッカじゃなかろか、ルンバ」 なんて呑気に歌ってもいられないが、それにしても、なにをやっているのかと馬鹿さ加減にそら恐ろしくなる。

 なに? 福島第1原発2号機のピットにクラックがあって、そこから海へと汚染水が流出している? お前達は今頃なにを言っているのかとまず思う。 えらいこっちゃとワアワア騒ぐばかりで、敷地内を何も見て回っていないということではないか。 よくそれで何年間もメンテナンスしてこれたものだ。

 それで、なに? 明らかにこのクラックから出ているので生コンを流し込む? おい、大成建設も行っているのだろう? お前達はクラック充填の方法も知らんというのか。 コンクリート入れましたけど止まりませんでしたってか。 あたりまえだろうが。 生コンを牛のクソみたいにボトボト落としただけで水が止まりゃあ世話ァないわな。

 あ、アホかぁー!   ・・・・・ いかん、また腹が立ってきた。

殺された耕作地

 農水省のとりあえずな調査では 24,000 ha の田畑が津波に覆われたという。 これは津波による浸水被害だけの面積で、地震によるクラック、段差、崩壊、等の被害は含んでいない。 それらと共に農道寸断やら用排水設備の被害などを合わせれば、使えなくなった作地面積はどれほどに上るのか。 更には追い打ちの放射能による土壌汚染の心配もある。

 船や家屋を押し潰しながらどす黒い津波が数分の間に田畑を覆う。 そこにある耕作地の全てが死んだ。 豊穣を生んだ肥沃な田畑表面は見渡す限りヘドロと廃材のゴミである。
 重い足取りでゴミの撤去から始めねばならない。 木材、金属、プラスチック、ガラス、ゴム、あらゆるゴミがごちゃ混ぜに押し流されてきている。 大雑把に取り払ったとしても小さな釘やら金属破片、ガラス破片などはヘドロに混じっている。 ヘドロを丁寧に鋤き取っても、そこに現れるのは元の土ではない。

 海水が夥しい塩分を運んできている。 更には船や湊の重油、廃油やクルマのオイル、ガソリンもかなり含まれているだろう。 放射能を被らなくても土の物理性、化学性はおそらく破壊し尽くされている。
 水を使う水田は当然ながら水平面に保たれていたのだし、畑地にしても目立つほどの傾斜を設けていたのではない。 そこに溜まったヘドロと瓦礫ゴミは何日経っても流れ去りはしない。 第一、津波の荷重が馬鹿にならない。 2mの厚みで津波が田畑を襲えば、静止状態で単純に考えても平米当たり2トン以上の荷重が全域を覆うのだ。 これだけ上から押さえられれば、田畑は締め固まってしまい、表面の標高も低く沈んでしまっていると思われる。 ますます津波水の退いていく出口が少なくなる。 まるで悪徳な産廃処理業者による不法投棄場所の様相ではないだろうか。

 それだけではなかろう。 海岸近くの耕作地は、少し掘ればそこに必ず砂の地層があるだろう。 最初の揺れで地割れと共にそれが田畑表面に上がってきている。 いわゆる液状化という現象だ。 土の物理性死滅というだけでなく、土そのものがまったく別物に入れ替わっている可能性も大きい。

 場所によっては軽傷にて、来年には耕作できる土地もあるだろうが、まるで見通し立たぬ田畑も多かろう。 この上に放射性物質による致命的な土壌汚染だけはなんとしても防がねばならない。 東方の空を仰ぎ、西の地の農家は漠然とそのように考える。

どいつらもこいつらも

 ニューヨーク・タイムズ電子版はコラムにて 「日本の人々には真に高貴な忍耐力と克己心がある」、「これからの日々、日本に注目すべきだ。間違いなく学ぶべきものがある」 と大層な称えようをしたそうだ。
 被災地での車上荒らしや燃料盗っ人、被災地以外でも店頭の義援金箱をかっぱらって逃げる輩など、取っ捕まえてジェラシックパークの山ン中へでも捨ててしまえと思えるような非国民はちらほら耳にするも、諸外国からこの国全体を見れば信じられないほど 「高貴な忍耐力」 を持つ民族なのだろう。

 石原都知事の 「天罰」 発言は大津波被災という最中でそれを言葉の主語に使ってしまった。 これは各方面からそれこそ大津波のような叱りを受けて当然だ。 ただ、レスキュー隊員の苦悩と御苦労に向かって涙ながらに頭を下げた知事の姿勢は、危険を承知でそこに赴かせた責任者の一人としてその心中、分かる気がする。
 現職知事に批判的な人々は 「ありゃあ選挙用のパフォーマンスだ」 と早くも口撃に忙しいようだが、危険地に向かいて使命感と高い士気を維持し続けた勇敢で頼もしい人々の姿に、国民の誰もが胸に熱いものを懐いたであろう事は疑い無いところではないか。 「この荒んだ日本で、人間の連帯はありがたい、日本人はまだまだ棄てたもんじゃないという事を示してくれた。これを踏まえて、これに縋って、この国を立て直さなければいかん」 との発言は大多数の国民の代弁でもあったように思う。


 各国の報道機関が見る我が国は、我々があまり意識しない部分を時として摘み上げてくれるものの、ああやはりそのように分析されているのだろうな、もっともな見方だ、というのもかなりある。 つまりは、先進諸国の一員としてどう見られているだろうかという想像は概ね当たっている。
 「素晴らしい日本の市民意識」 と賛辞をくれる傍ら、「やはり閉鎖的な特権階級意識の官僚とそれを使えず依存するしか能のない政府」 というのは我々が常日頃口にしている政治と国民の意識乖離にまったく同調している。 人間個人が窮地に面して当人の本質的性格を表すのと似て、今回のように国難の有事となれば国家運営システムそのものの特徴が際立って浮かび上がる。


 半官半民の電力屋は親方日の丸の商売だけに危機意識もなく、まるで無防備な実態が明らかになった。 こと工作員によるテロ攻撃でもあれば、電力、石油、水源といった箇所を狙い、押さえに来るのは小学生にでも解っている。 原発の震災イコール放射性物質漏洩と繋がるのは当たり前の話で、事の重大さがどうにも解っていない。 というよりも、左団扇で安閑とお茶飲んでいるのが仕事だと思っているフシがある。
 原発施設には日々多くの関係協力業者が働いているだろうし、勿論東電の現場職員もいる。 地震が来てとんでもない津波にも襲われ各所がイカれたとなれば、作業している人やオペレーターはどの程度の損傷なのか、何が機能しなくなったのか、即座に知り得ていた筈である。 被災状況が本社に届いたとしても、おそらく現場と本社には緊急度、緊迫度に相当の隔たりがあったのではないか。 原子炉緊急停止装置は働いたのだろう、ならばまずはよかった、との楽観視がどこかになかったか。

 日を追う毎に悪化する状況と、口を濁しながら情報資料を出し渋るのを見れば、当初に現地から上がってきた被災の有様とその情報への対処を今更開示できない困惑に見えた。 後は周知の通り、不祥事続きの大相撲理事会の謝罪会見と大差ない。 どこまで喋って良いものか、会見場本番でヒソヒソと楽屋協議を始める始末。 また、今対処しているのだから素人がとやかく言うなと言いたげな上から目線に思える説明では、国民が不安と疑いの目を向けるのも当然のな成り行きだった。 彼等は何か隠している、非常に危険だと、米国を筆頭に各国がそう読み取るのも無理はない。


 経産省の保安院はあくまでも他人事を貫き通す。 指導はするが責任は持たぬというよく解らない存在だ。 省庁とはそういう処で、日頃は民を縛りつつ餌を与えて天下り先の段取りに余念が無く、都合悪ければすらっ惚けて火の粉から逃げ回る。 「ワシゃ知らん」、「ウチに責任はない」 が、有事に於ける“仕事”である。 我が保身ためには何でもやり、またそれに長けている。
 そんな事を発表すればどうなると思っているのか、この私のクビが飛ぶのだぞ、考えてモノを言えと電力屋を脅す一方で、あの総理では何を言い出すか分かったものじゃない、こことここはお茶濁しておけ、いいな、あくまでも東電の不手際なのだからな、と立ち回る。 それ故、保安院の会見などは中継したところでさしたる耳寄りな情報など無い。 あれは一体何のためのどういう組織であるのかをいぶかしがる海外メディアも多いだろう。 典型的な日本の中央官庁体質がかなり透けて見える。

 このような危機的状況下に於いて、では保安院という処は一体どれだけの具体的対策方針を打ち出しているのだろうか。 怪しいものである。 責任回避が仕事ならば、こうすべきであるからこうせよとは言わないだろう。 文句の一字一句に必ず彼等の逃げ道を含めている筈である。 早い話が有事に際して何の役にも立たない。 知識もなければ経験もない、所詮は役所の事務方なのだ。 自衛隊が有するその道の専門部署や消防のハイパーレスキューの方が遙かに詳しいに違いない。
 被災地では緊急住民避難を呼び掛けて奔走し、幾多の駐在警察官や役場職員が津波の犠牲となった。 命を惜しむことなく住民の生命保守に最期まで職務を全うしてくれた彼等を思えば、都知事でなくとも込み上げるものに言葉が詰まる。 同じ公職に就く者にしても、大変な違いではないか。

 細かなことにケチつけよう。 まず原発の被災状況把握が実にお粗末だ。 放射線の危険がある、水素爆発で建屋が吹っ飛んでしまったというのなら、ラジコンヘリにカメラ付けて飛ばせばどうだったのだ。 河川敷で飛ばしているマニアでもそれぐらいは考えつく。 肝心の部分をまず知ることからせねば始まらないだろう。 ヘリで水を投下するのを見ていた生コン圧送屋がたまらずウチのポンプを使えと申し出た。 瓦礫にしてもそうだ。 建屋が爆発したのなら辺り一面まともな足場が無くなっているなど子供でも分かる。 建機メーカーなら無人ブルや遠隔操作ショベルぐらい、とうの昔から研究済みだろう。 すぐ持って来いと言えば一台や二台あるのではないのか。 ゼネコンはじめ多くの業界に知恵を借りているのか、問い合わせぐらいしてみたのか。 はやぶさミッションまでやってのける技術大国がロボット機械を真っ先に考えなくてどうするのだ。 結局は、内輪の実状を世に知られたくない隠蔽と保身根性、情報開示不足があらゆる支援、対処作業をより困難にしてしまったのだ。


 死に体であったハチャメチャ内閣がこの震災騒ぎで少しながら支持率を上げたのだとかいう話だ。 この国難にお前達を叱り飛ばしている暇はない、能無し政府でも引き摺り下ろしている場合ではないから、とにかく国を挙げて救助せよ、原発を抑えよと国民から尻を蹴飛ばされたのだろう。 批判政党そのままで耳障りの良い大風呂敷を広げて衆院の多数を得た政権与党。 権力争いの内輪もめに分裂し、国難政治の執り行える人材もいない。 震災に向けた官邸の対処は自分達の能力過信や傲り高ぶりからなる後手踏みばかりに見える。
 意気高々にラッパ吹いて怒鳴り散らせば組織が機能するというあさはかな素人考えでは、国家の難局を乗り切るのは極めて難しい。 首相が早朝、東電に乗り込んでどのような怒声を浴びせたのか、経産大臣が消防隊に何を言ったのか知らないが、それらも稚拙さ露呈のひとつだろう。 役人を扱えず外交でも諸外国から嘲笑され続けている政府の脆さが有事に際して一挙に吹き出る。

 国民目線の政治を行いますと能書きを垂れながら元々謙虚さを持ち合わせていない与党だ。 あれは選挙用の大風呂敷で御座いました、まことに申し訳御座いませんが改めますという政治に対する誠実さもない。 世論から叱責されている国費バラマキ政策をこの国難にかこつけて少しずつ改められる、これは党の看板にとって都合良いとでも考えているのではないのか。
 未曽有の災害に官邸周囲の人材不足。 このままでは国が潰れる。 蓮舫や辻本を引っ張り回すものの自分の身内ではその程度、たかがしれている。 今更小沢に頭も下げられず野党自民党に手伝ってくれと頼むのはいいが、入閣してくれというのでは蹴られるのは当たり前だろう。 それもこれも自己能力過信と批判政党根性で通してきたツケなのだ。

 頼みの綱としたのが官僚とのパイプも太いと言われる仙谷・党代表代行で、官房副長官に据え、被災者支援に特化させるという、実質上、官房長官復帰である。 官僚との風通しはけっこうながら、では被災地最前線で奮闘中の自衛隊とはどうなのか。 「暴力装置である自衛隊」 と暴言吐いたのは他ならぬこの男ではなかったか。 つまらぬ揚げ足取りをするつもりはないが、災害でそれこそ頼みの綱である自衛隊と、その組織を暴力装置と見なす内閣官房が程良く意志疎通出来るとはあまり考えられない。 内閣官房から暴力装置と見られながら隊員は日夜瓦礫を除去し、被災者遺体を黙々と運ぶのである。 有事とはいえ、なんと悲しいことだろうか。
 原発事故援助にしても米の手助けを断ったのだとかどうだとか、真相は分からぬにせよ、労組に支えられ反米意識を内包しながら公務員制度改革をやり遂げて日米安保条約保持という与党の自己矛盾、欺瞞とも言える体質がボクシングのボディブローのように利いてきている。 現政府の対応を見ていればそう思わざるを得ない点、多々ある。


 これら政・官・財のありようは大震災と原発事故に直面してその腐敗と非機能性をさらけ出した。 無論、これは現政権だけに非があるのではない。 今や傍観者と成り下がった自民党政権時代からの膿溜まりである。
 世界中で日本の災害救助支援が広がる中にあって、国会議員共は何を思い何をしているのであろうか。 政権与党でなければ何ら力を発揮できないとでも言うのだろうか。 超党派で何らかの動きがあるだろうに、それが一向に聞こえてこないのが不思議である。 それがこの国の国政システムなのだとすれば末期的状況だと悲観する。