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逃げる親玉

 往生際の悪さでは小沢も菅も負けてないが、どこで撮したのかカダフィの映像はみすぼらしすぎる。 ワシはまだ負けてない、健在じゃ、と虚勢を張りたかったのだろうけれど、そこらで拾ってきたかのような貧乏傘とパルチザンでも使いやしなかったろうと思わせるポンコツクルマでは、どうみても落人だ。 ひょっとするとお付きの者が水道ホースで雨を降らせていたかもしれない。

 あれを見せられたのでは独裁政権の各親玉達は気が気でない。 ああなったのでは世も末である。 オレんトコだけは絶対ああはさせんと意気込む裏で、人民の血と涙からなる莫大な私服財産をどこかへ移し隠す手筈を整えているに違いない。 まったくロクなもんじゃない。
 徹底的に取り締まれ、プロバイダはみな機能停止させよ、電話線も切ってしまえ、街中で屁もひらせるな、と号令かけたにしても、その理不尽な弾圧強化は地下のマグマ溜まりをより大きく熱くさせる結果でしかなさそうだ。 諸国の民主化デモ情報はどのような策を講じようとも必ずどこかから入ってくる。 デジタルファイルひとつあれば例え手渡しにしてもあっという間に国内全域へ知れ渡る。 独裁政権に胡座かく者共にとって厄介な鳥インフルエンザウィルスと違わない。

 世の中を生き物として見るならば、民主化へのうねりは人類社会の本能だろう。 当分の間、独裁国家元首の面々は断頭台の悪夢にでも苛まれればよい。 背筋に走る悪寒と共に自らの終焉をとくと味わうのも、そう遠い先の話ではない。

持ち出し厳禁

 南京で工場申請していたシャープに対し、中国側は最先端技術の工場を持って来いと要求。 左様で御座いますかと大事な虎の巻をまさか差し出しはすまいとは思うものの、そのような事がニュースに取り上げられねばならんというのは、それだけ日本の国としての構えなり経済外交策なりがまるでなっとらんという証ではないか。
 向こうは最先端技術を盗むのが目的なのだから、当たり前の対応だろう。 それでなくてもスパイ防止法のない日本。 中国のスパイはなにも軍事関連だけではない、産業スパイもうじゃうじゃ入り込んでいるだろうに。 今のままでは赤いスパイに何もかも盗まれ放題だ。

 我が国は資源に乏しくとも技術を持っていますから、などと寝とぼけた発言の脳天気政府では話になるまい。 百歩譲って海外への工場移転もやむなしとしよう。 だがそこで持ち出してはならない技術というのが必ずあるのだから、国としてそれをどこまで厳しく保護規制しているのか。 どうにも頼りなく、怪しい。
 大陸は一大市場だと、進出を煽るばかりではそのうち農業まで向こうへ行ってしまうだろう。 気が付けば国内には何も無く、幾世代にも亘って蓄積向上させてきたあらゆる分野の技術を全部タダでくれてやり、貰うもの貰ったから用はない、とっとと帰れと蹴飛ばされて日本海で溺れ死ぬ。 落語にさえこんな間抜けは登場しない。 馬鹿丸出しである。

 自衛隊の機密漏洩にしてもそうだが、向こうはあらゆる手段で盗みに来るのだ。 我が国のそれなりの立場にいる者をとっ捕まえて酒池肉林漬けにしてしまうなどお手のものである。 ましてや赤旗好きな左翼民主党。 尖閣事件の対処など見ていれば、こやつらは既にチャイナマネーのおこぼれを口にねじ込まれているのではないのかとさえ疑いたくなる。

 国としての断固たる姿勢がないからどの方面でも駄目なのだ。 例えば今回のシャープの一件。 企業秘密を差し出す馬鹿がどこにいるかと、机ひっくり返して帰ってくるくらいの交渉が出来なければ話にならないだろう。 中国に続きインドもソースコードをよこせと通達してきた。 相手はみな完全にナメきっている。 それもこれも、国策がだらしないせいである。

 ネット上で 「売国奴」 という文字が飛び交うのは問題だ、と苦々しく愚痴っている暇があるのなら、さっさとスパイ防止法でも成立させてしまうべきだ。 大事なものは国が重要保護指定し、それを流した場合は文字通り 「売国奴」 扱い。 いささか大袈裟ながら、極刑含む厳罰処分にしてもよいのではないか。 不穏な世界情勢を見れば、全てに於いて我が国の今ある姿は脆弱で生ぬる過ぎよう。

市民の本音はどこに

 この年度末、なにかと決め事も多かろうに、その市議会の機能を止めてまで、お前達は一度解散せよとの住民投票結果だ。 竹原の乱暴とも言える手法は問題あったが、議会のお前達もけっして正しくはなかろうというのだろうか。

 振り返れば、市長も議会も駄目だとされた結果になっている。 だが、単純に市民が激しく市政を叱責したのだとは言い難い。 先の市長選も今回の議会リコール賛否も、どちらに転んでもおかしくない僅差ではないか。 どちらか片方が投票の6割超えを獲得したというのではない。 民の意見はほぼ半々なのだ。

 黒澤明の 「隠し砦の三悪人」 では雑兵に駆り出された百姓の 「欲」 を巧みに操って敵国内を逃げ延びようとする。 あの太平と又七の二人はまったく欲の塊で、釣られ易さに笑ってしまう。 えてして庶民の大半はそうであるのに違いない。
 市や町が二分されるという事態は往々にしてある。 例えば村落にダムを造る、空港を造る、街中にヘリポートを造る、工場を誘致する・・・・・。 土地買い上げや保障費だの迷惑料だの、道をつけるならワシの山を通せだの、あいつの土地は用地にかかってワシの土地は蚊帳の外だから一銭も入らんだのと、全ては我が懐の利害関係にある。 なんとも強欲であさましい限りである。

 賛成派、反対派という分かり易い二分割はそのような降って湧いた甘汁を吸えるか否かによるところが大なのだ。 その土地の将来を真面目に展望し、どうあるべきかと考える者は多くない。 いきおい、行政は札束で横っ面ひっぱたけば事が運ぶと踏んでくる。 それは全部与えなくてもいいのだ。 その場のちょろまかしで上手いこと言って釣ってしまえば勝ちなのである。 お後、その地方がどうなろうが知ったことではない。 地元住民の賛同が多かったのだと主張すればいい。 実際、多数決で多ければ 「住民の意思」 たる錦の御旗が掲げられる。 ピィ~ヒャ~ラ、ピッ、ピッ、ピッ、なのである。

 阿久根の場合はそのような公共事業絡みの騒ぎでないにしても、では投票権を持ちながら行使しなかった人々は一体どう考えているだろうか。 投票率が意外に伸びない背景に何かあるのだろうか。 国政選挙並みに 「遠い永田町の出来事」 と同様に感じているのか、それともうんざりしてしまっているのか。 或いは、市が二分されている現状から、棄権すると決め込んだのだろうか。 田舎町ならそれもあり得る。 あいつはどっち派だのなんだのと余計なお世話を嬉しそうにも吹いて回り、「それだからお前らはヌケ作のドン百姓だなんて罵られるのだ」 とでも言ってやりたいほど愚かな連中がゴロゴロいるものだ。

 事の発端は議員報酬と市民平均所得にあまりな隔たりがあるという点ではないのか。 横暴には違いないが、竹原の大声がなければ市民はその詳細など知らなかっただろう。 その高額な報酬は田舎市議の職務に於いて何に必要なのだと人々は改めて考えたのだ。 竹原が二度も市長に担ぎ上げられたのはそれが問題視された要因でもあったろう。
 既得権益絶対死守の議会と手段を選ばぬ強行市長の泥仕合。 これを目の当たりにした市民はどう思ったのか。 既得権益にしがみつく議会の姿は永田町や霞ヶ関そのものだと感じたろうか。この市長にやらせていれば市政も何もかも無茶苦茶にされてしまうと慌てただろうか。 議会はけしからん、しかしこの市長ではヤバくてしょうがない、というのが案外本音だったかもしれない。

 ただ、多くの市民はこの双方に対してまったく利害関係がなかったとは言えまい。 市政だけに、携わる者は地元各業界と無縁である筈もなく、選挙では必ず組織票が働く。 今こそ市民は自分の懐ではなく市民全体の懐を第一に考えねば市の将来は無いものと覚えるべきだ。

反政府デモ

 東欧の旧共産圏崩壊を見ているようだ。あれから約20年、アラブ諸国に広がる反政府デモはどうなるのか。言いたい事も言えない抑圧された世界の、これが運命でもあるのか。
 日本企業もそのような情勢にもっと敏感にならねば危険だろう。とりわけ中国。この大国は言論情報統制に更なる重しを掛け、共産党中央はギラついた目で徹底監視に努める。彼等にとって最も有効な手立ては、ガス抜きの矛先を日本などに向ける事だと思われる。反日教育はそのために延々続けられているのであって、他意は無かろう。

 大陸に進出或いは画策している企業は、中国の現状圧制下とバブルの浮かれ景気ならばアラブのようなああいう民衆エネルギーも弾けまいと踏むのだろうか。しかし所詮は綱渡り、博打である事を忘れてはならない。
 今のところ、マッチもライターも取り上げてしまっているかの如き中国政府の統制である。せいぜい竈で湯沸かしの火がチロチロ燃えている程度。政府はこれを火事にしてはならないと躍起なのだ。特に民族ナショナリズムに沸き易い貧困層からの出火は絶対許すわけにいかない。

 あの天安門事件。中国の若い衆は民主化に餓え、新しい世界を夢見てエネルギッシュだった。銭金に踊る今の沸騰とは本質的に違う。 騒乱の中、軍の水平発砲に傷付いた血だらけの若者が他国の報道カメラに向かって叫んでいたではないか。 撮ってくれ、これを撮ってくれ、全世界に見せてくれ、と。 せつなく、狂おしいまでの欲求がそこにあった。ああいうエネルギーというものは、日常生活が少々豊かになったところで完全消滅したとは到底思えない。 なにせ、自分の意見を自由に述べられる世界が奇異に映るというまで洗脳教育を施し、それで体制保持しようとしている国なのだから。

おぞましい

 これは何であるのか。高専の大講義室で真っ昼間からメッタ刺しの殺人事件。死亡した女子学生の刃物傷は30箇所に及ぶというのだから猟奇的だ。 男子学生の方は一命を留めているようで、校内であるし、発生時刻から見ても割合早くに事の真相が解明するものと思われる。

 女子学生が絡んでいるからには取っ組み合いの日常喧嘩とは思えず、少しややこしい。それにしても白昼の学園で尊い命が失われた事実は極めて重大だ。刺し殺されたと見られる少女の親御さんの心中思い計れば言葉もない。学校内で愛娘が惨殺されるなどあり得ない出来事だ。 悲しみも憤りも当然ながら、親御さんは冷静な目と耳を持って警察や学校の話に向き合わねばならない。そこに二重の辛さがある。

 校舎のアタマに日の丸掲げている国立校なのだろう。いわば文科省直轄な教育機関な訳だ。それなりのなんたら博士というような肩書きが並んでいるものと思えるが、現場教官から本省事務方まで 「ワシゃ知らん」 「私はこの件には無関係」 といった立ち回り画策がはや渦巻いているかもしれない。

 一部報道では可能性として無理心中を挙げている。 刃物を持った鬼畜の不法侵入や米国の銃乱射も背筋の凍る出来事だ。 しかし、ようやく股ぐらに毛の生え揃ったかのような子供による無理心中など、おぞましくて想像もしたくない。 人の世の喜びも悲しみも、渡世の非情も恩情も知らずして、お前を殺して自分も死んでやるなどという発想はどうすれば生まれるのか。 考えたくもないが、もしもそうであった場合、最悪の真相と言わざるを得まい。

いつもの茶番ながら

 菅と小沢が何をコソコソ話したのか、前もって世間が見透かしている通りのなりゆき。それこそ臭い芝居である。菅にしてみれば、一応要請だけはしたのだから党代表・総理の務めはこなしているとでも言いたいのだろうか。いくらなんでも党員資格停止なんぞで逃げようとしているならば、野党の追及は激しさを増すばかりだ。
 確かにCIAの工作もあるだろうし、小沢個人へ向けられたよからぬ力は存在するだろう。それにしても脇が甘すぎるし、若い衆を自分の囲いに閉じ込めてしまい、お前達は何も考えなくていい、“オザワ先生” の言うこと聞いて地元で選挙対策だけしていればいいのだ、といったいかにも旧自民党らしい手法は時代遅れぶりばかりが目に付く。今の自民党の派閥領袖でもここまでやれるやつはもう既にいない。

 一体誰が党の代表なのか。代表選で勝った菅なのか、その菅が御機嫌窺う小沢なのか。小沢派と反小沢派とに分けるならば、実に仲の悪そうな二つの政党が無理矢理同居しているようなもので、それぞれ他党との連立の方がまだ風通し良さそうに思える。その意味ではとうの昔に分裂したままの民主党なのであって、政権の座から降りたくない延命しがみつきというだけで同一政党のふりをしている。これでは野党が付け込むのも当然だ。党としての機能が全くないのだから 「党案を出しなさい」 と攻め込むのが手っ取り早い。そんなもの出せっこないのが分かり切っているからだ。

 驚くべきは、それでも今の政権支持率が 20 % あるという事実。 10 人に 2 人以上が支持するという訳だ。それが自民党アレルギーから来るものであれば、目の覚めるような変貌を遂げられない自民党の罪も甚だ重い。自分達が築いてきた政財官の癒着利権構造に対する画期的な対策を掲げねば、10 人に 2 人は今の腐れ政権の方がマシだと思っているということではないのか。

どのツラさげて

 厳つい赤軍合唱団のおじさん達による 「トロイカ」 を古ぼけた蓄音機で聴きながら、ハラハラと落涙に身を任せる民主党議員もいるのではないかと思ってしまう、この惨めでしかない通常国会。


  凍りつくヴォルガ川の上を走り行くトロイカ
  馬を操る若者の悲しい歌がひびく

  「何を嘆くか若者よ」 優しく尋ねる白髪の老人
  「聞かせてくれ 心の中の悲しみを そのわけを」

  ああ優しい親父さん あの娘に惚れた一年前
  異教の村長が目を付けて 苦しむ俺はただ耐えるだけ

  外はもうすぐクリスマス あの娘にはもう届かない
  金持ちの村長に嫁いでく 楽しい日々ももう終わりだ

  若者は黙ってムチをしまう
  「おい馬共!止まれ!静かにするんだ!」 悲しげな若者の溜息が響いた

                --- by worldfolksong.com ---


 野党時代に小沢、鳩山、菅 というトロイカの名を売った民主党。 政権の座に座ればそのトロイカの三馬が最も悪臭を放ち、国を混乱に陥れたのは皮肉と言うべきか。 いや、なるべくしてなった然るべき姿と言うべきだろう。
 与党幹事長の実権を握った途端に強権発動、傍若無人、ごり押し横暴三昧な小沢。 お前はハイネの愛の詩でも語っているのかと思える現実離れな理想論しか喋れないボンボン小僧の鳩山に、未だ批判政党根性丸出しで、挙げ句は手当たり次第抱き付きまくるしか出来ない菅。 三馬共この豪雪の中に浮かれてウオッカを飲み過ぎ、道さえ判らず脚も挫き、てんでバラバラに引っ張り合っているうちに倒れ込んでしまった。 おかげで橇の荷物はみなコケた。ろくでもないトロイカである。

 白紙から与野党議論しようではありませんか、だから野党案の具体的内容を提示して下さいよ、などと言うのは一見門戸を開いて自由会議場を提供しているように聞こえるが、実は小学校の学級会的なチイチイパッパでしかなく、私らでは政策立案すら出来ませんのでどうか助けて下さいと縋っている。積み木をバラバラに崩してしまい、積み直すどころか元の形にさえ戻せず、大人の顔を見て泣きわめいている幼児そのもので、極めて惨めったらしく哀れ。ふざけるなこの野郎と国民は怒りこそすれ叱咤激励の余地など全くない。

 そもそも、白紙から与野党議論を願いたいとはどういう了見か。それならそれで政権奪取した総選挙の際に、そういう国会運営が私どものスタイルなのですからどうぞよろしくと有権者に説明すべきだろう。実際やったことはその逆で、デカデカと大風呂敷を広げまくっては国民が泣いて喜びそうな甘い蜜汁滴るマニフェストを用い、そのパンフレットで有権者の横っ面をひっぱたいては票を獲得したのではないか。民主党に票を投じた者共が 「欺かれた、まったくの騙し討ちだ」 と憤るのも当然である。

 政権を担う与党として理念なりビジョンなりというものがないのか、と自民の石破は突っ込む。そういうものがきちんと出せないのは党としての統一見解がまとまらないからだろうと畳み掛ける。 的を射ている。 党をまとめられないのなら党を割れ、とバッサリ切り捨てる。 その通りではないか。
 雑多寄せ集め集団。批判だけしている政党ならばそれでもいいだろう。しかし与党として国家を与るに超多党連立政権と同じ形態では、よほど力量ある世話役がいなければそれぞれアサッテ向いて言いたい放題、ただの烏合の衆である。カネと数合わせだけに長け、肝心の本業に能がないのでは、さっさと分裂して貰わねば国民はたまったものではない。

 衆院選に勝って政権を取った日、のぼせ上がるばかりで、如何なる民意で勝たせて貰ったのかが解っていない。労組に支えられているような政党に公務員改革なんぞ誰も期待してはいなかったのは明白で、長年続いた自民党政権を降ろしたのだから速やかに政界再編に動けという民意のうねりではなかったのか。そもそも爆弾を幾つも抱かえたままの与党に、お前達に全て任せるなどと国民の誰も頼んだ覚えはない。
 読み書きソロバンの基本がない。動勢を読めず政策も書けず銭勘定も出来ないままに、音痴な外交と税金バラマキが使命であるとの戯言を言い続け、内紛と国民の罵倒に八方塞がりとなり果て、ま、ま、みなさん落ち着いてみんなで議論致しましょうとはどのツラさげて言えるのか。

哀れ、ナオ吉

 なりふり構わず縋り付く・・・の名場面。 



「頼む、ナツ子ォ~、オレを見捨てねぇでくれぇ~!」

「しつこいねアンタも、いい加減にしとぉくれ!」  ドスッ! バキッ!

「ぅぐぁっ! おめぇも去年はその気だったじゃねぇか。
             な、なんでいきなり邪険にすンでぃ!」

「フン、イチさんならともかく、あたしゃね、アンタに気があるなんてこたぁ、
        ひとっことも言った覚えはないさ。世間様も見えないこの能無しが!」

「な、なんだとぉ・・・!」

「アンタのやってることはなんだい! 長屋からイチさんを追い出そうってンだろ。
   あン人はね、ウチの父っつぁんのお墨付きなんだよ。知らないのかい、唐変木!」

「そ、そりゃ、大作爺とイチ野郎の仲は知ってらぃ! け、けどよ、このまんまじゃ
    オレぁ首括らにゃなんねぇんだ! 頼む、ナツ子ぉ、オレを助けてくれぇー!」

「うっさいね! ヤだったらヤなんだよ!」  ボカッ! ボカッ! バキッ!



 それにしても哀れである。 ストーカー用GPSを足首に巻かれないうちにナオ吉は退散した方が身のためではないだろうか。

かぁくぎゅうつ

 言い間違え、読み間違えはするわ、質問内容はすっ飛ばすわで実にしまりがない這々の呈。元より突っ込まれどころ満載にて先客万来の一大バーゲンセール国会だ。
 与野党で熟議を願いたいというのは市民運動家らしい反面、それではお前達政府はどういう策を持っているのかと突っ込まれれば何もないのである。野党の皆さんにもぜひ御協力願って・・・との低い腰は決して謙虚な姿勢ではなく、自民幹事長の言う「縋り付き」そのものだろう。鳩山も菅も、国政をしっちゃかめっちゃかにしておいて、身動き取れなくなったので責任を分かち合いましょうというのでは虫が良すぎており、根性が腐りきっている。

 実際の話、代表質問に対し何ひとつまともに答えてはいない。言い逃れさえ出来ない状況であるのが判る。現実を直視しない以上、野党は激しく突っ込みこそすれ論壇に上ってはくれまい。ヨレヨレながらも延命だけを考える麻生政権末期と同じである。そういえばあの総理も度々漢字を読み間違えた。
 「席巻」を「せきまき」と読んだNHKの女性アナなら、新婚の浮つきで心ここにあらずなんだろうと嘲笑されてそれで事は済むが、一国の首相答弁で他人の書いた原稿をアワくって読み違えるなどは「恥」と思わねばならぬ。

 自民党時代よりこの首相はイラ菅で煽られ易く、野党時代の突っ込みには饒舌であったが、こと守らねばならん立場になるとイラ菅が邪魔をして滑舌機能がまったく働かなくなる。痛いところを突かれて早く反撃に転じたいとの心理からか、実にいい加減な日本語発声になるのだ。
 「熟議いただきたい」 が 「熟議いたぁきたい」 になり、「科学技術」 などは 「かぁくぎゅうつ」 となるのである。障害を持つ人が懸命に発声練習して話してくれるのとは訳が違う。お前、内閣総理大臣だろう、辛いのはもっともだろうが、もうちっと落ち着いて喋れよとこちらはTVの前で呟いてしまうのだ。

日韓

 アジア杯の日韓戦は白熱のゲームだった。圧倒勝ちというのがない強い相手だけに、いつも韓国戦は見終えるとどっと疲れが来る。やたらホイッスルばかり吹かれてしまうと解説者は嘆き気味だったが、偏りさえなければ少々厳しくともルール上の判定なのだから、それで良いではないかと思う。
 日韓両チームのプレーには “小狡い” 動きが目に付かない。あからさまにファウルを誘うというのも戦法ながら、自分はそういうプレーを好きでない。小狡いちゃちな野郎だ、と見てしまうのだ。力負けなら力負けでもいい。レフェリングの厳しさも手伝ってか、双方共に気色良い試合運びに思えた。
 
 キ・ソンヨン選手がPKを決めた直後に猿まねのパフォーマンスを演じたのだそうだ。観客席の旭日旗が目に入り、我が胸に込み上げるは涙であったという事らしいが、それはまた大袈裟な話ではないか。この選手のお爺さん世代ならばまだしも、日韓の文化交流がこれほど頻繁な世に生まれ育ち、なおも続く反日教育のガチガチ固めに、日本は仇、日本との試合は戦争なのだという訳なのか。もしもそうであるならば、世界で活躍するプロ選手としてその精神はあまりに不幸だろう。

 国会で議長がどつきまわされる事態が茶飯事なお国柄だと片付けてしまうのでは韓国国民に失礼だ。我が国を含め中国も北朝鮮も、その日を細々と生きている庶民は同じ似たようなものではないのか。互いの国家を非難罵倒し合うのは坊主がけしからんのであって袈裟の端々まで中傷するのではない筈だ。

 真逆に、JR新大久保駅であのイ・スヒョンさんが亡くなって10年のこの日、偲ぶ会が開かれた。日韓の懸け橋になりたいという意志を持った真面目な好青年は、ホームから落ちた酔っぱらいを助けようとして日本人の関根さんと共に若い命を散らせた。今想い出しても胸の痛む出来事だった。この日の会見でイ・スヒョンさんの御両親は亡き息子の志を大切にしたいと語った。恨み節ひとつ口にするのでもない、日韓の架け橋が息子の夢であったのだと。この御両親に頭が下がる。
 アフガンで現地農業指導に就き、武装グループに殺害された静岡の伊藤さんの悲しい事件が頭に浮かぶ。この人の親父さんも語っていた。 「よく頑張ったと息子に言ってあげたい」 

 旭日旗に感情が昂ぶったというキ・ソンヨン選手とは異なる意味で、胸に詰まるものがあるではないか。